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海がとっても青いから

忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第25-26話

◆巻之二十五「オバケと女学生」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久
 サタラクラが呼び寄せた超小型の蚊忍者が謎の忍術を放つと、突然、吼太に抱きつく見知らぬ女子高生が現れて……ゲストヒロインは宇宙忍法により若かりしの日の姿で甦った祖母という、大変咀嚼の難しい回でした!
 吼太の祖母が甦ったのは守護霊への流れ弾で、サタラクラの目的は、ジャカンジャ忍者を復活させ日本各地を同時多発的に攻撃する事。全国各地で活動を始めた再生宇宙忍者を倒す為にハリケンジャーとゴウライジャーは一人一殺を目指すが、再生忍者は、蚊忍者を倒さない限り不死身。
 昔から蚊が刺したくなる体質を称する祖母が囮になって蚊忍者を誘き寄せ、理由付けはともかく、祖母の元にカイトで駆け付け、超小型の蚊忍者を一閃するイエローは、ちょっと格好良かったです。
 妹以外の家族を失い施設で育った過去を持つも、介護士や保育士の免許を取って極めて真っ当な道を歩んでいた孫が、何を思ったのか忍術道場にスカウトされて悪友たちと道を踏み外している姿を見ていたらそれは心配も募るというものですが、孫が心配でならない祖母と、その祖母に今の自分の強さを見せる吼太の関係性などは悪くなかったものの、戦時中はデートとか出来なかったから祖父そっくりの吼太を振り回して現代を謳歌する祖母、の図は果たして必要だったのか。
 掛け合わせたアイデアとアイデアの相性があまり良くなくて、飲み込み方の難しかったエピソード。
 巨大戦では旋風神からドルフィンが分離したところに天空神が合体する天空旋風神が誕生し、巨大扇風機で瞬殺。
 次回――色々なものの板挟みから来るストレスで、一鍬、壊れる?!

◆巻之二十六「弓矢と海水浴」◆ (監督:竹本昇 脚本:前川淳
 「おまえら! 人を呼び出しておいてなんなんだ。やはりおまえらにはついていけん。くだらなさすぎる」
 「あちゃ~、怒って帰っちゃったよ」
 「ホント頭の固い奴だな~、あいつ」
 ……いや、呼び出しを受けて身内の病状について説明をしていたら、突然、これからコネでイケメン俳優と会えるの! と盛り上がりだしたら、普通、怒る。
 七海が憧れる人気俳優・三崎和也には、元メガブルーの松風雅也。マネージャーに連れられてロケ地に向かう七海だが、矢で射られた者が次に目にしたものへの熱狂的な恋に陥る恋煩い忍法を使うネズミ忍者が出現し、和也と一鍬が共に七海への強烈な恋に落ちてしまう。
 「兄者……」
 「なんだ?」
 「兄者は、恋をした事があるか?」
 久々の「忍び恋」どさ回りのステージに、雷鳴と共に滅茶苦茶格好良く現れた一鍬は巻物にしたためたラブレターを渡すが、既に七海は、和也からのアプローチも受けていた。強すぎるライバルの登場に一鍬は鷹介と吼太に相談を持ちかけ、あまりに真剣な様子にアドバイスをする二人だが……いきなり「可愛い動物」をプレゼント、って、重い、重すぎるよ鷹介……。
 そして全てを、壁に貼り付いた兄者が聞いていた。
 (一鍬……おまえが本気なら俺は、応援するぞ)
 術の虜になっている一鍬のみならず、弟を気遣う兄者も真面目な顔して行動がコミカルの領域に足を突っ込んでいるのですが、出来ればこういった、兄弟に愛嬌をつける(&鷹介以外のメンバーと絡める)エピソードを、サタラクラ登場前に入れて欲しかったところです(構成としては、一段落して夏休み? 的な時期だから挟めたのでしょうが)。
 鷹介のアドバイスを受け、「可愛い動物」として牛をプレゼントしようとする一鍬だが、スポーツカーに乗って現れた和也に惨敗。
 一方、矢の効果により無機物にさえ熱愛を向ける人が続出して世間には混乱が広がっていき、その果てに待つのは政治・経済などの機能不全による人間社会の破滅……これ、どちらかというと、魔王カーンデジファー様(『電光超人グリッドマン』)ノリの作戦ですね(笑)
 砂浜でデート中の七海と和也だったが、そこにネズミ忍者が出現。愛のストーカー化して二人を追っていた一鍬は変身するが、和也も突然シュリケンジャーに変身し、「実はシュリケンジャーも恋の忍術にかかっていた」事により、ゲストがしっかりドラマに絡むと共に「この瞬間まではそういうキャラとして成立していた」のは、シュリケンジャーの使い方として良い工夫でした。
 どちらが七海を守るかで揉め始めた二人は同志討ちを始め、そこに突き刺さるネズミアロー。
 「恋に焦がれたものは守りに走る! 守りに走ったものに、勝利はないんや!」
 脈絡なく水着姿で登場したウェンディーヌとフラビージョが優雅に観戦する中、競い合うように七海をカバーリングする蒼と緑は全身に攻撃を浴び続け、遂に弾け飛ぶ……かと思いきや、なんか根性で耐え抜く蒼。
 「恋をすると弱くなるんじゃなかったの?」
 黄「そいつは違うぜ! 恋をすれば強くなる!」
 赤「守る者があればこそ、人は強くなれるんだ!」
 紅「ま……貴様等にはわからんだろうがな」
 なんとなく綺麗にまとめてくるのですが、どいつもこいつも色恋と縁が無さそう物凄い説得力の薄さ(笑)
 こんな回なのに、迅雷棒とクワガタクローを合体させたイカヅチブレイカー(お洒落さすまた)が初披露され、蒼はネズミを撃破。足を負傷した七海を休ませる為、今回は轟雷神と天空神が出撃すると、背中にくっついて両肩から扇風機キャノンが突き出す天空轟雷神が誕生し、プレイバリューが大変豊富な天空神であった!
 シュリケンジャーは、ネズミ忍者の気配に気付いて様子を窺う為に、ロケバスの中で三崎和也に成り代わっていたところをまんまと敵の術に落ちてしまった事を種明かしし、笑って誤魔化しながら逃走。
 「ま、おかしいとは思ったのよねー」
 熱烈なアタックは全て忍術の効果だった真実を知り、七海からするとだいぶ落ち込んでも良い案件なのですが、気持ちを切り替えると一鍬に助けてくれた礼を告げるのが、良いところ。
 「でも……格好良かったよ! ありがとう!」
 笑顔の七海に手を握られ、男所帯で修行・修行・任務・修行、の日々を送ってきた霞一鍬、激しく動揺。
 (?! ……なんだ、この感覚は? 術は解けた筈なのに)
 ……君、それは完全に、女子に免疫がないだけだ。
 なお、弟が宇宙忍術にかかっていた事に全く気付かなかいばかりか、残り少ない命の炎を燃やして恋路を応援するぜ! と盛り上がっていた兄者は、無・言。
 性格豹変アイデアとしてはなかなか面白かった上で、霞兄弟の幅を広げると共に鷹介以外のキャラクターと絡めるという、やって欲しかった事をやってくれ、騒動の末に最後のちょっとした「変化」が発生する事で何もかも御破算にならず人間関係も掘り下げられる、満足できる一編でした。第19話に続いて前川脚本回の出来が良く、この辺りが後の『マジレンジャー』に繋がったのかも、と思うと納得。
 ……ジャカンジャの術中にあっさりとはまるばかりか、イケメン俳優に変装していたのをいい事に七海と浜辺で戯れていたシュリケンジャーの残念度合いが天井知らずになりましたが、今のところ、戦隊ダメンズ(と仮定)史上でも、トップグループに食い込んできたぞ!
 ちょっと気になったのは、竹本監督が気に入っていたのか、前回-今回と、今作の特性としてのマスクオフが多用されている点。前回は、祖母を連れてロボに乗り込んでいるので、と理由をつけられなくもなく、役者さんの芝居の機会を増やすのは撮る側・演じる側双方にメリットがあったのかもですが、個人的にはなるべく、要所中の要所(或いはなんでもない戦闘後の会話シーンなど)以外はマスクは被ったままの方が好み(その後の作品には継承されませんでしたが)。
 次回――鷹介の旧友登場、はなかなか面白そう。