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忍風戦隊ハリケンジャー』感想・第23-24話

◆巻之二十三「コロンと名探偵」◆ (監督:大井利夫 脚本:宮下隼一)
 疾風流の忍者データベスに該当流派無しの、天空忍者シュリケンジャーとは何者なのか? 御前様に問い合わせるハムスター館長だが、「おまえなに? 儂のする事に口を挟むの?」と上意下達の徹底されるニンジャコミュニティの壁に阻まれ、敢えなく玉砕。ハムスター館長も、所詮はサラリーマンなのだ……!
 という、姿も声も見せない偉い人にへこへこしているハムスター館長の図は、謎の黒幕が居たり、シーズンに1回か2回、大御所俳優が登場したりという時代劇パロディの意図なのでしょうが、個人的にはあまり面白みを感じず。
 “口うるさいけど根は思いやりのある師匠”(&現在超不遇の身の上)である館長が、より偉い人の指示に従っているのはキャラとしての格を変に下げるだけになってしまっている気がします(“アレ”と手法を被せているのも、作風としてくくるほどの魅力は感じられず)。
 謎が謎を呼ぶ中、サタラクラ配下の香水忍者が宇宙忍法で生物を次々と香水に変えていき、ハリケンジャーより早くそれを目撃したのは、焼き肉の好きそうな顔の名探偵……?(演:大柴邦彦
 マンマルバの呪いにより兄者が腹痛に苦しむハリライジャーは、青と黄が香水に変えられてしまう大ピンチに陥り、24時間経たないと固定化されないものの割と一撃必殺。
 ……なおここで、『重甲ビーファイター』第32話「恋する漬け物!!」(監督:渡辺勝也 脚本:扇澤延男)を思い出したのは、日本で私一人だけではないと思いたい(笑)
 「ブルービート甲斐拓也は間もなく死ぬ。漬け物地獄で悶え苦しみながらなぁ!」
 ……主人公が魔法の漬け物樽に封印され、漬け物にされて死にかける、そんな迷作があったのです。
 戦力激減で苦境に陥るハリライジャーだが、マンホールに落ちたと思われた間抜けな探偵が突如飛び出してくると、キレキレのアクションで下忍を蹴散らし香水忍者に発信器を取り付けてアジトを突き止める腕の冴えを見せ、天空シノビチェンジで、緑の光弾・野球忍者シュリケンジャーへと変身。
 香水にされた人々や動物は、香水忍者がちょっとダメージを受けると唐突に元の姿に戻るが、香水忍者が隠し持っていた七海香水と吼太香水はそのままで、人質に取られてしまう事に。
 香水忍者は指先から出した火で香水の瓶をあぶり……大丈夫か……蒸発して……元に戻った時に……少し、減らないか……?
 赤紅蒼緑が武器を捨てるも「遅かったコローネ」と瓶が砕け散ると、ダメージを受けながらも青黄は元の姿に戻り、生物を香水に変える忍術が強力すぎた為か、状態異常からの復帰が凄まじく雑で、盛り上がりを損ねる事に。青黄に駆け寄った赤紅蒼はまとめて火あぶりにされてまたも大ピンチに陥り、「仲良く火だるまになるコローネ」と高笑いを浮かべる香水忍者だが、武器は捨てたが駆け寄りはしなかったので、火あぶりになっていない奴が、約一名。
 「just now! 怒りの封印が、今、解かれる!」
 凄く、説得力がないぞ(笑)
 約一名ことシュリケンジャーはジャケットを脱ぎ捨てると「大逆転」でフェイスチェンジし、江戸っ子が憑依したファイヤーモードを発動。「宇宙統一忍者流」を名乗るとテーマソングに合わせて分身魔球から近接攻撃の猛攻を仕掛け、トドメは秘打千本ノックの消える打球で逆転サヨナラホームラン
 謎だらけの新忍者! 独特の台詞回し! 野球! フォームチェンジ! 江戸っ子! 宇宙統一忍者流! と、立て続けに濃厚なスパイスを振り掛けてくるシュリケンジャー、単独で見たら面白かったかもしれませんが……なまじ霞兄弟の背景が好みのテーマだっただけに、そこから間を置かずに投入された、つゆだくねぎだくガラムマサラだくの牛豚カルビ丼特盛り生卵付きに体が対応できず、凄く、胃もたれします……(笑)
 まあ、芸風的にはむしろ、シュリケンジャーの方が序盤に近いとはいえますが、それならそれで、何故ゴウライジャーを挟んだのか、という事になってしまいますし……。
 シュリケンジャー活躍の余地を作る為に、協調路線を取った早々に兄者が腹痛に苦しむ役回りになっているのもスッキリしない組み立てで、せめて1話ずつでも、霞兄弟の私生活や個性を掘り下げるエピソード(出来れば吼太・七海と絡む形で)を挟んでからの新展開にして欲しかったところ。
 巨大香水忍者は、旋風神ハリアーのホイールクラッシュ(なんか、こういう見た目の刑罰があった気がして仕方がない……)と天空神のアバレ駒のダブルアタックで撃破するが、一甲の体調不良は悪化の途を辿るのであった……。
 焼き肉の好きそうな自称名探偵は、シュリケンジャーの正体ではなく、変装の参考にされたただの一般人であった事が判明し、かなりの変化球。
 20の顔を持つ忍者を名乗ったシュリケンジャーは、
 「シュリケンジャーは、いつも、君たちのそばに居る」
 と言い残して去っていき、それを聞いたハムスター館長は、シュリケンジャー=御前様本人? と大興奮。
 えーとつまり……20の顔を持つ忍者→七つの顔の男・多羅尾伴内片岡千恵蔵→「山の御大」→御前様、という事なのでしょうか。

◆巻之二十四「タイコと稲妻」◆ (監督:大井利夫 脚本:宮下隼一)
 霞兄弟・遂にOPに正式登録!
 物語の流れ的には前回やってほしかったところですが、合わせて、館長&おぼろさんのアップ、シュリケンジャーに各種ロボットなどが加わり、シュリケンジャー待ちであった模様。
 なお、OPにおける兄者のイメージカラーは紫で、霞兄弟は二人合わせて紫紺と判明。……まあ、本人たちの自己申告を尊重して、引き続き略称は「紅」と「蒼」にしたいと思います。
 「カトンボは、叩き落とすダインゴ」
 何故かサーガイン配下の傀儡がシロッコネタを入れてきて、傭兵時代のゴウライジャーを参考にした雷忍者に苦戦するハリケンジャー。ゴウライジャーも、裏切り者への制裁に燃えるマンマルダイナマイトアタックを受け、またも腹痛に苦しむ紅、変身解除。
 昆虫食を敢行した兄者は、体内に植え付けられた宇宙サソリの卵を発見して自らの不調の原因を知ると、卵の孵化とともに自らを襲うであろう死を受け入れ、限られた命を有効に使う事を決意。
 「500年前……我ら迅雷流は闇に生き、奴ら疾風流は光に生きる宿命を負った。決して相容れぬ存在となったのだ。ならば!」
 「兄者……」
 「このまま闇から光を支え続けよう。それが我らに出来るこの星に対する務めだ」
 「兄者!!」
 陶酔した表情で虚空を見つめる兄者は、スポンサーの目の前で無様に大敗した過去の歴史を「生きる宿命を負った」にすり替え……この、急に光と闇の壮大なサーガが始まる感じは凄く、《メタルヒーロー》時代の宮下隼一を思い出します(笑)
 一鍬の心配を制し、疾風流を頼っての治療も拒否した兄者は、残り僅かな命の使い道としてハリケンジャーを成長させる為の捨て石になろうと敢えて悪し様な挑発行為を繰り返し、出自を考えると頷ける面はあるのですが、なんか凄く、面倒くさい方向に入ったぞ、兄者。
 一方、一時撤退したハリケンジャーに絡むお祭り男(演:西岡竜一朗)の顔を盗んだシュリケンジャーは、タイコ好きの一般市民として雷忍者に近付くと暗殺を試みるが、失敗。
 どうやらシュリケンジャー、レギュラーメンバーを増やさずに過去ヒーローゲストを仮の姿として登場し、毎度変身シーンを見せる趣向のようで、変幻自在の忍者らしさを出しつつサービス要素を盛り込むアイデアは面白いと思うものの、前回-今回と、強引に絡んできたゲストがシュリケンジャーに利用されるだけで、ゲストが完全にサービスの為のギミックでしかないのは、好みからはズレる部分。
 かといって、毎度シュリケンジャーの仮の姿をエピソード内容に絡めるのは作劇の幅を著しく制限してしまいますし、試行錯誤段階の面はあるのでしょうが、面白いアイデアをいざ実行に移してみたら……となってしまっているような気はします。
 この辺り、当時の方がサービス要素を新鮮かつ素直に喜べたのかも、とは思いはしますが。
 雷忍者は逆襲の霞兄弟とのタイコ勝負に敗れ、ダブルガジェットで成敗バイ。巨大戦ではシュリケンジャーから新たなメダルがトスされ、カブトスピアーで一気通貫
 シュリケンジャー=御前様説に傾いていた館長は、巨大戦の途中でかかってきた電話に仰天するが……それ、凄く初歩的なトリックだと思うのですが館長…………。
 心を鬼にしてハリケンジャーを叱咤する(しているつもりの)一甲は、体調を心配する鷹介たちを罵ると一鍬に肩を借りながら去って行き……兄者それ、骨折を隠して強行出場して周囲に不必要な迷惑かけているパターンだから! 足を引っ張るつもりはないとか言いながら戦闘中に急に腹痛を訴えるような味方はむしろ敵より厄介ななんですよ!?
 次回――吼太に春、到来? 果たしてその正体は、犬なのか猫なのか幽霊なのか、それともシュリケンジャーなのか?!
 監督は、第11-12話の橋本一監督に続いて初見の監督でしたが、《不思議コメディ》シリーズ『ペットントン』で監督デビューをしており、東映制作の2時間ドラマなどで活躍したベテランとの事。