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天に輝く流星雨

海賊戦隊ゴーカイジャー』感想・第22話

◆第22話「星降る約束」◆ (監督:竹本昇 脚本:荒川稔久

 ――「将児よぉ……オーラチェンジャーで起こしてくれなんて、俺は頼まなかったぜ。悪いジョークとついていい嘘があることぐらい、おめぇわかんねえのかよ」

 海賊たちに向けて自作したスーパー戦隊大百科をガレオンに持ち込み、冒頭から面倒くさいマニア全開の鎧はジョーの買い出しについていくと、もっと地球を好きになってほしいと熱弁し、“この星を好きな気持ち”が極めて真っ直ぐな人間性を形作っている鎧ですが、それを共有しましょうと迫られるとやはり面倒くさいな、としみじみ(笑)
 鎧における、郷土愛とスーパー戦隊愛の濃厚な一体化は好き嫌いの分かれるところかとは思いますが、少々苦手。
 「別に嫌いじゃないぞ、この星は」
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 「一つ知った。地球の子供は悪ガキだ」
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 「約束なんだろ。早く行け」
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 「ジョーさん、本当に行けるとおもってるんですか?」
 「無理かもな」
 「だったらどうして」
 「ああいう馬鹿は嫌いじゃない。どっかの誰かとそっくりだ」
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 それに対して、熱狂に流される事なく己が信念の道をひた進むジョーが、強い決意を胸に抱く少年に優しさを見せ、ニヤリと笑い、真剣な視線をぶつけ、山中を疾走し、少年を助ける為に生身では多分初めて銃を使い(ゴーカイチェンジすると普通に使うのでタブーにしているわけではないのでしょうが、普段は使わない銃を躊躇なく使うのが大変格好良かったです)、バラエティ豊かな魅力と格好良さ満載でお届けされる、ジョー・ギブケン祭(そういえばメイン回はシンケン前後編以来でしょうか)。
 ただ、一番印象的だった台詞は、
 「出ましたね。雑魚さん達」 (アイム・ド・ファミーユ)
 に持っていかれてしまいました(笑)
 買い出し帰りに、ザンギャックに追われる少年を目にしたジョーと鎧は少年を守って戦いとなり、海賊戦隊でも表面体温の差が一番激しいジョーと鎧ですが、普段のノリはともかく戦闘の呼吸はぴったり。
 ヒトデ隊長を撃退する二人だが、その狙う鉱石が、少年が友人との約束の為に向かった山にあると知って慌ててその後を追い、山中で生身バトル。少年を見つけた鎧は、“子供を守るのはヒーローの務め”という事でか、意外や常識的に引き返すよう説得するが(某JPさんの戦闘記録を見せたら、憤死してしまうかもしれない)、「約束」にこだわるジョーは、敢えて少年を先へと進ませる。
 「ザンギャックは俺たちが倒せばいいだろ」
 海賊戦隊は山を占拠するザンギャックの雑魚さん達を次々と切り刻み、約束の為にひた走る少年を応援するジョーの中に強く存在する、シド先輩との「生きていれば、宇宙のどこかでまた必ず会える」、マーベラスとの「……付き合うぜ。……夢の果てまで」、二つの“約束”について改めて描かれないのは、(尺の都合だったかもですが)渋い見せ方。
 「海賊戦隊」
 「「「「「「ゴーカイジャー!!」」」」」」
 「派手に行かせてもらう」
 山頂に辿り着いた海賊戦隊は、二つの鉱石の力を吸収して地球に小惑星をぶつけようとするヒトデ隊長に戦いを挑み、抑えた声で剣を構えるブルーがやたらめったら格好いい。
 だがヒトデ隊長は鉱石エネルギーで強化されており、苦戦するゴーカイジャーは天装→気力転身→超力変身の連続ゴーカイチェンジで畳みかけ、今回、ゲスト少年2人の名前(大吾、将太)が、『五星戦隊ダイレンジャー』オマージュ(天幻星・大五、天重星・将児)と思われるので、護星天使→五星戦隊→顔に星、の星繋がりでしょーか(『ダイレン』本編における将児の親友ポジションは天火星・亮ですが、こちらは劇場版に本人出演済みというのがあったか)。
 大百科を参考に超力ダイナマイトアタックが炸裂するも仕留めきれなかったヒトデ隊長は、作戦の完遂を目論む殿下の手によって巨大化。青は、さすがに巨大怪人に怯む少年にゴーカイオーの中からエールを送り、立ち上がった少年視点による、ヒトデ隊長の方に向かうゴーカイオー・時空の彼方から飛んでくるドリル戦艦・呼ばれて飛び出てきたライオン、が格好いいカット。
 シンケンゴーカイオーはヒトデ隊長を一刀両断するも既に小惑星は地球の重力圏内に入ってしまうが、ゴーカイフルスイングで投げ飛ばした豪獣神小惑星をドリルで砕き、ヒュウガへの誓い通りにこの星を護り抜いてみせるゴーカイシルバーなのであった……!
 実質2号ロボといえば2号ロボなのですが、デカいは強い、の基本法則に当てはまらない割に、強いぞドリルドリーム。
 そして無数に砕かれた小惑星の破片は、お互いに約束を果たした少年達の前に流星雨(龍星王、でもある……?)となって降り注ぎ、狙い澄ました綺麗なオチ。
 「スーパー戦隊って、みんなの命だけじゃなくて、夢も守る人達です。……だから、ジョーさんはスーパー戦隊のブルーです」
 「それはどうでもいい」
 俺をさらっと、デカブルーとかシンケンブルーとかと同じフォルダに入・れ・る・な。
 「あいつがよく頑張った。それだけだ」
 「そんな頑張る奴が居る地球、どうですか? 更に好きになりました?」
 「……だから。…………ま、嫌いじゃない」
 濃い目のレジェンド回が2話続いた後で、非レジェンド回単発エピソードがおまけになってしまわない出来を持ってくるのが、今作の優れたところで、まとまりのいいジョー回でした。
 難を言えば、ジョーと鎧の関係性の掘り下げ、としては弱かった点ですが、ジョーが試験採用の時点で鎧の事を割と気に入っている上に、うざ絡みされても平然と流す性格の為、いっけん水と油のようで、実は水と油が成立しないので、鎧×ハカセほどには劇的になる要素が無い、というのが組み立てとして難しかった所でしょうか。
 その中で、お互いの大事にしているものの違いが2人の差として描かれているのですが重点的には掘り下げられず、回想シーンが挿入されなかったように、鎧がジョーの抱える二つの“約束”を知らないままなのは、この後、拾われる事があるのかどうか。序盤、海賊戦隊内部での情報の流通を慎重かつ丁寧にやっていた作品なので、新入りに対する情報公開の手順が若干難しくなっているように見えますが、巧く転がしていってほしいところです。
 次回――バスコ! 女性コンビ回! 絶対そこに辿り着く! またも盛り沢山。