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海賊戦隊ゴーカイジャー』感想・第17話

◆第17話「凄い銀色の男」◆ (監督:加藤弘之 脚本:荒川稔久

 ――「来たよ来たよ来たよー、赤座伴番が60億の期待に応えて地球に帰ってきちゃったよ~。天上天下唯我独尊、拍手喝采、乞うご期待! うっそぉー?!」

 今回も冒頭から巨大戦が展開し、スゴーミンファイター部隊を焼き尽くしたマジゴーカイオーは、地上でデカゴーカイオーになるとガトリングパトカーを射出して全方位に鉛玉をばらまき……なんかそれ、ふつーにSPDに配備されていそうですね……。
 更なるスゴーミン軍団に対して、劇場版(『199ヒーロー大決戦』)で手に入れたばかりのゴセイジャーの“大いなる力”を発動するとゴーカイ生首ミサイル大進撃で天罰が執行され、ギミック関係は劇場版を前提にした作り。
 「いいねいいね、ゴセイジャーの“大いなる力”は、ゴセイヘッダーかーっ、いいな~。他のも早く見たいなー」
 その戦いを目にする凄い猿顔の男(念のために書き添えておくと決して悪口ではなく、戦隊シリーズにおける一つの系譜を示す専門用語です)が満面の笑顔を浮かべている事など知らずに海賊達はガレオンへ帰還し、だからマベはどうして、凄くナチュラルにコートをアイムに持たせますか(笑)
 「お疲れちゃーん! いやー、それにしても、ここんとこ、アゲアゲだよねー」
 「なんたって“大いなる力”をまとめて11個も手に入れちゃったからね」
 時系列通りに劇場版を見ていると「え? あれはそういう事だったの!?」であり、リアルタイムで劇場版未視聴だと「え? 劇場版で何があったの!?」であり、後に劇場版の存在とタイミングを知らずに見ていると「え? 追加戦士キーに“大いなる力”もついてきたの!?」と誤解が生まれそうな、どう転んでも豪快な力技で、既成事実化。
 バスコから手に入れたレンジャーキーについても触れられ、宇宙最大のお宝に向けて勢いづく海賊たちは、鳥占いを実行。飛んでくるくる凄い奴、天に輝く五つ星ならぬ、なんか凄い銀色の男を探す事に。
 「なんか凄けりゃいいんだろ? 行くぞ!」
 かくして、凄い銀色の男を探しに繰り出す海賊達だが、そこに近付いてきた凄い猿顔で桃色ズボンの男が、転んだ子供を助け起こすようにマーベラスに指導(笑)
 「スーパー戦隊の人なら、道ばたで転んだ子供には、優しく手を差し伸べてあげましょうよ」
 「なに言ってんだおまえ? ちょっと転んだぐらいなら、自分で起きりゃいいだろ」
 「そうだよ!」
 転んだ体勢の維持を要求された少年は自ら立ち上がり、表面上はギャグとして成立させながら、型にこだわって本質の見えていない男・型破りだが本質は外していないマーベラス・ただ助けを待つだけの弱い存在ではない地球の少年、の三者三様の姿が凝縮されているのが、鮮やか。特に少年が自分で立ち上がるのが、バランスが良かったです。
 変質者扱いを受けた男が弁解をしている内に海賊達はその場を立ち去り、「ちょっとかわいいかも」と評価するルカだが、続いて出会った銀色……は、ゴーミンとそれを率いるタガメ行動隊長。
 「ったく、見かけちゃったら、ほっとけないんだから」
 スゴーミン部隊を囮にして街中に爆弾を仕掛ける作戦行動中だったザンギャックに対して5人は変身すると、さっそく前回手に入れた追加戦士セットでゴーカイチェンジ。
 「いきなりオール追加戦士きたー! やっぱこっちのレンジャーキーもあったんだ。いいなー、凄いなー!」
 どうやら警察は呼ばれずに済んだらしい凄いストールの男はそれを見てケタケタと喜び……もしかして、ここはまだ、浦沢時空?
 タイム炎、マジ金、ドラゴン緑、メガ銀、アバレ白、はしかし、タガメ隊長の無敵バリアに苦戦。それを見て「俺の出番だ」と何やら動く凄い交通安全の男だが、緑が空中で落とした剣がバリア発生装置の弱点に直撃するラッキーヒットとなり、気合いを入れて構えた男が何かするよりも早く、タガメ隊長は撤収。
 「嘘……そんなの……あり?」
 ひたすら空回りを続ける凄い柄タイツの男は、いよいよ海賊たちに直談判。
 「俺の名は鎧。伊狩鎧。誰よりもスーパー戦隊を、愛する男です!」
 “大いなる力”詐欺、炎のジェラシーパワー、マベちゃんインパクト、猿、そして熱狂的スーパー戦隊ファン……ここ数話、関わる相手の芸風がジェットコースターすぎませんか。
 わざわざ高いところに立ってポーズを決めた凄い愛の重い男は、ゴーカイジャー6番目の仲間になりにきたと宣言。
 「はぁ?」
 「えーっ!」
 「仲間にしたらなんかいい事あんのかよ?」
 凄いやかましい男は、赤ちゃんからお年寄りまで幅広ーく愛される素晴らしいスーパー戦隊になれると売り込み、「清く! 正しく! 爽やかな!」妄想OPがスタート。
 「やあみんな! 元気かい? 僕はキャプテン・マーベラスさあ、みんなでコンドールマンの歌を唄って、美しい日本を守ろう!」
 ……じゃなかった、
 「やあみんな! 元気かい? 僕はキャプテン・マーベラス。時々勢い付きすぎて、失敗もするけど……みんなの笑顔のために、頑張るから。よろしくね! BANG!」
 声音を変えているのが一番大きいですが、爽やか好青年モードのマーベラスが、ちゃんと爽やか好青年に見えて、役者さん、怖い(笑)
 「僕はジョー! 野球が大好きで力持ち」
 続けて、もはやNHK教育ノリのジョーの満面の笑顔は、突き抜けすぎて大変面白い事に。
 ルカは猫かぶりスキルを持っているのでそこまインパクトはなく、アイムは自己申告もある程度にほぼ一緒で、とにかく赤青二人が抜群の破壊力を発揮し、存在を消し去られたハカセに代わっていかにもな名乗りを決める伊狩鎧。
 「地球の平和は、俺たちが守るぜぇ! ……みたいな感じです~うふふ」
 だが、誰も、興味が無かった。
 「おまえなんかいらねぇよ」
 ばっさり入団拒否を受けた凄い押し売りの男はがっくりと座り込み、海賊たちはその間にガレオンへと帰還するが、自分の立場がちょっぴり不安になってくるハカセ
 「安心しろ。マーベラスが認めない限り、俺たちの仲間にはなれない」
 セルフパロディ的なギャグの後にジョーが極めて真剣な表情で口にする事で、スイッチを切り替えつつ、「海賊戦隊とはなにか?」については崩さず示したのは、良かったところ。
 「ま……そういう事だ」
 ……ただ、ことファッションセンスに関しては、マベちゃんと通じるものがありそうですね……。
 それはそれとして、ところで凄い銀色の男は? と普段雑に扱っている鳥から至極真っ当なツッコミを受けた海賊たちは、ゴーカイオーから拡声器で情報を募る力技を繰り出し、豆腐屋のおじさん情報で公園に向かうがそこに居たのは凄い銀色のフードファイターで、またも空振り。
 落胆したところにゴーカイジャーへの雪辱に燃えるタガメ隊長の襲撃を受け、その気配に気付くや誰よりも早く身を挺してフードファイターをかばっている凄い花柄シャツの船長が、格好いい。
 攻撃の気配に気付く実力の高さに加え、仮に流れ弾で他者に被害を及ぼすのは海賊の流儀にもとるという決断力に、ここまでの旅路の積み重ねも見える躊躇無い行動、そして凄い鬱陶しい男の見えていない所でごく自然にそれを選択しているのが、おいしいポイント。
 フードファイターを逃がして変身したゴーカイジャータガメ隊長の再び激突する寸前、間に駆け込んできたのは、あの凄いテンションの男。
 「おい出てくるな。あぶねぇぞ!」
 「大丈夫です。今度こそ見ててください!」
 こと戦闘中となると安全に気を遣う赤だが、凄い騒がしい男は、銀色のレンジャーキーを取り出すとモバイレーツとは形の違う変身アイテムにキーを填め込み、まさかの、ゴーカイチェンジ。
 ポーズは……逆蒸着?
 「真っ赤な太陽背に受けて、青き心に正義は宿る! 黄色い歓声浴びまくり、ぷにぷにほっぺをピンクに染める。緑の若葉のニューヒーロー。金銀輝く! その名も! ゴーーーカイシルバー!」
 この星の住人らしく、ひとりゴレンジャーをキめた凄い詰め込みすぎの男は、背後でクラッカーの中身を散らしながら銀色の海賊戦士へと変身し、あまりの事態に、青、黄の肘鉄をガード失敗。
 マーベラスさえ知らない謎のレンジャーキーで誕生した自称ゴーカイシルバーは挿入歌をバックにゴーミン軍団へと突撃していき、挿入歌の歌詞にそのまま「凄い銀色の男」のフレーズが入っているのが凄い(笑)
 ゴーカイスピアを手にしたシルバーは、ガンモード、スピアモードを使いこなし、海賊は海賊でも見た目はヤートット寄りであり、変身前はなんとなく三下属性だったが、なんか、普通に、強かった。
 「見てますか皆さん! 俺の戦い! お願いします! 俺を仲間にしてくださーい!」
 ゴーミン軍団を全滅させたシルバーの攻撃はしかしタガメ隊長のバリアに阻まれ、その弱点を突こうとするゴーカイジャー。だが殿下はインサーンに命じ、バリア発生装置の弱点を補強すると偽って、そこに強力な爆弾を仕掛けていた! ゴーカイジャーが弱点と思い込んで攻撃した瞬間、行動隊長もろともに大爆死……の筈が、違和感を覚えたシルバーが咄嗟に止めに入ると、スピアを駆使して発生装置を外し、それは中空で大爆発。
 勢いに乗るシルバーは、バリアを失ったタガメ隊長を攻め立てると、レンジャーキーを填めた槍を投げつけるゴーカイシューティングスターでタガメを爆殺し、初登板初勝利を飾るのであった。
 「ああ?! なんか凄い、銀色の男の方」
 もしやこの猿顔で桃色でやかましい男が、鳥の予言した凄い銀色……? 急に食いついてきた海賊達に思わずにやける「誰よりもスーパー戦隊を愛する男」の正体や如何に?! で、つづく。
 ……リアルタイムで見ていたら、どう感じただろうか……? と、つくづく思うニューカマー登場(笑)
 これまで、“大いなる力”を手に入れる過程で接触や理解はあったものの、トータルとしての「スーパー戦隊」に対してはまだまだ距離のあった海賊戦隊に対して、スーパー戦隊をこよなく愛するあまりゴーカイジャーを清く正しく美しいスーパー戦隊に導こうとする完全なる異物・明確な劇薬が投入され、そのもたらす衝撃の種類は、バスコよりもむしろ『カーレン』回寄り(笑)
 芸風の違いすぎる新キャラ・基本的にうるさい・セルフパロディめいたギャグ、と前半はどうなる事かと思いましたが、後半は意外や真っ当に追加戦士初登場回らしい活躍が描かれ、海賊戦隊と珍奇な入団希望者、今後の関係性の変化がどう描かれていくのか、楽しみです。