東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

熱い星を掴むのさ 命のヒーロー

超獣戦隊ライブマン』感想・第1-2話

◆第1話「友よ君達はなぜ?!」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 友よ、君たちは何故、悪魔に魂を売ったのか?!
 ……しかし、こいつら、友達なの……?? が、ちょっと気になる第1話。
 ブルーバックに瞳のアップ、そしてリーゼント(正確にはポンパドール)の強調は、かなり前作からの流れを感じるOP映像で、主題歌はかなり好き。
 物語は科学者たちの島・アカデミア島から始まり……
 ナレーション「島にある科学アカデミアでは、世界中から集められた優秀な若者達が」
 浜辺をランニングしていた。
 そう、10年後の異能天才集団アルケミースターズ(のごく一部)も言っています。
 物事の基本は、体力……!
 若者達は真理に近づくべく筋肉を鍛えあげ、地球の未来を担う最先端科学を学ぶと共に、国連化学省の巨大プロジェクト、巨大宇宙衛星・スペースアカデミア号建造計画に若い夢を燃やしていたが、それに反抗的な態度を取るメンバーが約3名……。
 ある日の夜、船内活動強化スーツの実験中だった主人公トリオは大爆発を起こして友人二人を抹殺しかけるが、強化スーツの性能によって事なきを得たのも束の間、アカデミア号反対派の月形剣史(広瀬匠……!)を中心とした3名が、謎の輸送機に乗り込もうとする姿を目撃した事で、その二人、卓二と麻里は月形の手にかかって射殺されてしまう。
 月形ら3名は輸送機に乗って宇宙へと消え、降りしきる雨の中に主人公たちの慟哭が響き、それから2年――。
 スペースアカデミア号の乗組員発表式典が行われ、いよいよ宇宙へ向けて発進したその時、謎の戦闘機部隊が襲来してアカデミア号を攻撃。プロローグで敢えなく射殺され、今また、アカデミア号に乗せられた写真が無惨な墜落炎上で吹っ飛び、1話で実質2回殺される卓二と麻理の扱いが鬼すぎる……!
 アカデミア島は大爆撃を受け、え、星博士、もう死んだ……?
 爆撃開始までがAパートというスロースタートから一転、逃げ惑う人々と次々と巻き起こる爆発の物量による混乱状況の演出には大変力が入っており、いきなり爆発爆発そして爆発に巻き込まれる主人公トリオ。
 特に、青が自転車で爆発から逃げているシーンが、見ていて心配になる爆発の近さ。
 なんとか猛火の中を生き延びる赤黄青だが、科学アカデミアは灰燼と化し、そこに降り立ったのは……
 「月形……!」
 「……ほう。下等生物は生命力が強いな」
 2年前、宇宙に消えた月形ら3名が奇抜な衣装で地球に帰還し、ここで主役の名前を呼び返してくれれば印象に残ったのですが「下等生物」扱いされてしまい、この第1話、主人公の名前が全く印象に残らない、ちょっと困った作劇(笑)
 「黙れ! 貴様等こそそれでも人間か!」
 「あの日から俺達は、人間を捨てたのさ」
 ――2年前、月形ら3人は、宇宙空間に浮かぶヅノーベースで、大教授ビアス中田譲治……!)に謁見。
 「俺は武装頭脳軍VOLT、Dr.ケンプとなったのだ!」
 「そして私は、Dr.マゼンダ」
 「Dr.オブラー」
 「おまえ達……」
 「地球は真の天才、大教授ビアスを中心とした、天才だけによって支配されねばならん!」
 「その為に、おまえたちのようなクズを掃除しにきたのさ」
 マゼンダは改造した指先から銃弾を放ち、ケンプは美獣ケンプへとダークバーストし、濃いビジュアルでぐいぐいと押してきます。
 「見たか! 大教授ビアスの元で2年間身につけた、この 筋肉 科学力を!」
 「おまえ等に2年の月日があったらな、俺達にも2年の月日があったんだ!」
 ここの返しは格好良く、2年前の出来事から外敵の存在を確信した3人は、殺された卓二と麻理の仇を取る為にも密かな準備を進め、腕にはめていたブレスで変身。
 「俺達はな、生けとし生きるものを守る戦士! レッドファルコン!」
 「イエローライオン!」
 「ブルードルフィン!」
 「超獣戦隊」
 「「「ライブマン!!!」」」
 「この強化スーツ、2年前のものとは違うぜ!」
 友人達の復讐という極めて“私”の動機付けが、全ての命を守るという“公”の大義に最初からひとっ飛びで繋がってしまうのはこの時代という感じですが、主人公達のパーソナルな目的をヒーローの戦いに接続した上で、敵幹部との極めつけの因縁を物語の開幕に設置し、『フラッシュマン』『マスクマン』を踏まえた上での工夫が窺えます。
 ヒーロー自身が独力でバトルスーツを製造するのは恐らく戦隊史上初だと思われますが(アメコミだったりソロヒーロー寄りといえましょうか)、2年前の因縁のスーツである、というのは上手い設定。また、主役トリオが乗組員どころか発射当日に私服(発射に関する仕事を割り当てられてさえいない)だったのは、復讐の為にバトルスーツの開発とかばかりしていたからというのは、成る程納得(笑)
 剣・弓矢・手甲、を身につけてモヒカン兵士に立ち向かうライブマンだが、研究開発にかまけて筋トレをさぼっていたのかロボット兵士の攻撃に苦戦した上、全身に重火器を仕込んだサイボーグマゼンダの攻撃を受け、初名乗りからおよそ1分半で壊滅の危機!
 だがその時、大地を揺るがし巨大なライオンメカが姿を現すと、掟破りのダイレクトアタック!
 しばらくメカ特撮シーンでライオンが大暴れするが赤と青は爆撃に追われて逃げ惑い、爆発がまた近い!
 ライオンメカも敵機の反撃を受けて炎に包まれ、ライブマン苦境のまま、勢いよく、つづく。
 Aパートほぼ戦いの前振り、変身してはみたが気持ち良く勝てない、バトルスーツも巨大メカも自家製(優秀な科学者なので)、苦戦したままつづく、ついでにボスキャラは顔見せだけで一言も喋らない、と当時のスーパー戦隊のマンネリを避ける為の試行錯誤と生みの苦しみが窺える第1話。
 生まれ故郷の星で親を探す『フラッシュマン』、赤が生き別れの恋人を取り戻そうとする『マスクマン』、と侵略者との戦いと並行したパーソナルな目標設定とキャラクターの掘り下げが過去2作の流れだったのですが、2年前の死、海を見下ろす崖に並んだ墓標、写真立ての爆発炎上、と徹底的に強調した友の復讐を、かつての同輩である筆頭敵幹部と強烈に因縁付けた物語が、うまく転がってほしいです。

◆第2話「命に誓う三つの力」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 第1話を踏まえると、二匹の蝶(魂の象徴)が光線銃で打ち砕かれる導入が、成る程、というOP。
 感想が書きにくいので諦めてクレジットをチェックし、レッドファルコン/勇介・イエローライオン/丈・ブルードルフィン/めぐみ、がライブマンのメンバー。3人中2人リーゼントという空前のリーゼント率なのは、恐らく時代です。『チェンジマン』の後『フラッシュマン』(実質制服戦隊)を挟んで、前作『マスクマン』から私服のお洒落度が少し上がったようなそうでもないような。
 戦闘機部隊の逆襲を受けてランドライオンが絶体絶命に陥った時、アクアドルフィンとジェットファルコンが出撃して次々と敵機を撃破し、先週ラストで爆撃の塵になりそうだった二人がいきなりメカに乗り込んでいて戸惑いますが、今回はそんな展開が目白押し。
 なんとか戦闘機部隊を退けた3人は、廃墟と化した科学アカデミアの瓦礫の下から辛うじて一命を取り留めていた星博士を発見し、博士が密かに希望岬の沖に秘密基地を作っていた事を教えられる。
 「いいか…………三つの力を合わせるんだ」
 だがその前に姿を見せたケンプが、漆黒のロボット・ガードノイドガッシュを出撃させ(クレジットによると日下秀明さんが声を担当しており、『ジェットマン』のグレイの原型……?)、その放射したカオスファントムにより、廃墟の中から頭脳獣・バラバラヅノーが誕生。
 熱に浮かされたような表情で頭脳獣について早口で語るケンプの口元や目を大写しにしてその狂気をえぐり出し、今回もぐいぐいとビジュアルで押してきます。
 「……ま、おまえ達にいくら講義したところで、わかるまいがな」
 から急に醒めた口調になるのも秀逸で、生身でモヒカンに立ち向かう勇介は、今回も筋肉不足で大苦戦。
 追っ手を振り切り廃墟となった病院のベッドに博士を横たえる3人だが、瓦礫の下で産気づいた妊婦を発見。このままでは全滅するだけだと博士に背中を押され、妊婦を博士に任せて岬へとダッシュ
 「ここから先は通さん!」
 だがその前にたちはだかる、美獣ケンプ。
 前々作『超新星フラッシュマン』で広瀬さんが演じたレー・ワンダは、肌は出ていたものの化粧と髪型が派手で顔の造作はほとんどわからないものでしたが、Dr.ケンプは美獣(凄いネーミング)モードでも役者の顔と表情を活かすデザインとなっており、それ自体が“人面獣心(身)の怪物”を示す効果も発揮しているのですが(スフィンクスのニュアンスも入っている……?)、キャストありきだったのかデザイン先行だったのか、ちょっと気になるところです。
 「こういう知性を感じさせない言葉はいいたくないのだが……くたばれ!」
 額に指をあてて首を左右に振る仕草も合わせて、最高でした(笑)
 勇介たちは変身して、仕切り直しの主題歌バトル。モヒカン兵士は蹴散らすもバラバラ頭脳に苦戦する3人だが、飛び道具で反撃すると必殺バズーカを召喚して撃破に成功し、手製にしては殺意高めの復讐戦隊ライブマン
 ……歴史を遡っていくと、最新(超)技術と直結しやすい科学者系ヒーローというのは珍しくないのですが、組織のバックアップを受けたチームヒーローの伝統を持つスーパー戦隊ではやや説得力が弱い面はあるものの(過去作品だと『ダイナマン』が実態の近い例)、回想シーンを見る限り、こっそり星博士@妖精さんが、あちらこちらに手を加えていそうです(笑)
 「ふふふ、まだまだ甘いな勇介たちめ。このバルブをこちらに繋いで、このエネルギーをこう回してこの回路を取り付けてここの効率を上げれば……ほぅら、ジャンボジェットだって一撃で蒸発させるぞくっくっく……おっと、いかんいかん、私は正義と良心の徒、星なのだ……さて、次は、おやおや、動物型の巨大メカとは、面白い。いいぞ勇介くん、この星が、君たちの復讐に、最高のスパイスを加えてあげよう……」
 かくして消し飛ぶバラバラ頭脳だったが、ガードノイドガッシュのギガファントムにより巨大化され、ギガファントムの説明は省かれました!
 「この島には愚か者どもの命の欠片も残してはならん!」
 巨大頭脳獣が大暴れする中、妊婦をベッドに乗せて岬へ運ぼうとする星博士のサスペンスはだいぶ苦しい感じ。
 一方、巨大バラバラを止めようと躍りかかるも敢えなく吹き飛ばされるライブマンだが、結果として岬までの移動ルートがショートカットされ、海中に隠されていた秘密基地――グラントータスへと辿り着く。そこに待ち受け立ていたのは、星博士の造ったちゅうかなぱいぱい、じゃなかった、女性型アンドロイド・コロン。
 そのナビゲートにより博士が3つのメカに組み込んでいた合体システムが明かされ、「三つの力を合わせる」という博士の言葉の真意を知る3人だが、星博士は倒れ来る鉄骨から妊婦をかばい、死亡。
 「頑張るんですよ……生まれてくる命の為に……」
 命の尊さとそれを守るヒロイズム、それを実行して散っていった先達、を描く事により物語のテーマを補強する狙いはわかるのですが、ただでさえ荒っぽいライブマンの場所移動を加速させてしまった上、博士自身が重傷の為に諸々の行動にだいぶ無理が出てしまい、せめて、博士は軽傷→カバーリング→鉄骨の打ち所が悪かった、でも良かったような。
 星博士の死を知らないまま巨大バラバラに挑むライブマンは合体ライブディメンションを発動し、胸に力強くライオンヘッドが飛び出したライブロボが誕生。戦隊の特性と直結しない兵器モチーフではなく、ヒーローと紐付けされた生物の意匠を明確に取り込んだ個別メカから、その特徴を残した巨大ロボへの変形合体、は戦隊史上初ででしょうか。
 ……というよりも、秘密・(電撃・バトル・)電子・太陽・大・科学・超電子・電撃・超新星・光……と来て、超獣=ファルコン・ライオン・ドルフィン、と戦隊の肩書きと具体化されたモチーフが一致しているのがそもそも初……?
 ジャッカー(JAKQ)電撃隊=トランプモチーフ、をどう捉えるのか難しいところですが、敢えて「○○戦隊」の型式にならすなら、「電撃戦隊ジャッカーマン」でしょうし(笑)
 従来作よりも見た目のアニメ的なスーパーロボット感が強いライブロボが、超獣剣を取り出し振り回す姿は思わぬスピード感で格好良く、スーパーライブクラッシュで一刀両断。
 (甘いな……ライブマン
 だが宇宙ではなにやら壁の装置を見つめた大教授ビアスが独白し……やっと喋った!
 焼け野原と化したアカデミア島では新たな命の産声があがり、それを喜ぶ勇介たちは、同時に星博士の死を報される。
 「ありがとう博士。命を守る事がどういう事か、教えて下さったんですね」
 「俺達は地球を守ります。生きとし生けるものの全てを守り抜きます」
 「誓います。この小さな命に……」
 1-2話にして、友人二人死亡・犯人は裏切り者の同期・アカデミア号墜落・科学アカデミア壊滅・学友大量死亡・アカデミア島全滅・恩師死亡という大量虐殺の生き残りとなって近しい者から見知らぬ顔まで凄まじい量のカルマを背負う事になりましたが、あまりにも重すぎて、この後、ギャグとか入れていいのか心配です。
 パイロット版担当は前作に引き続いて長石多可男×曽田博久。『太陽戦隊サンバルカン』以来となる3人戦隊に様々なアレンジを施し、敵味方の因縁構築を重視した上で、第1話は苦戦のまま終わり第2話で基地と巨大ロボを手に入れる完全な前後編、という構成。
 前作では、第1話でひとまず怪人を撃退するも第2話で巨大ロボがいきなり敗北し、第3話でマスクマンが真の覚醒を果たす構成であり、長期シリーズゆえの模索と工夫が窺えますが、第1話のライブマンはさすがにあまりに爽快感に欠けましたし、第2話も色々な要素を入れようとしすぎてとっちらかってしまい、率直にあまりパッとしない立ち上がり。……この辺り、当時の視点だとインパクトのある要素(例えばライブライオンなど)が、今見るとそうでもない、という部分もあるでしょうが。
 その中で、じっくりと時間をかけた敵味方の因縁構築はOP冒頭にも掲げられている事から作品の顔になりそうなので、上手く噛み合っていってほしいです。個人的には、ビアスとケンプだけで完走の動力に出来る予定ですが、「こういう知性を感じさせない言葉はいいたくないのだが……くたばれ!」はホント最高でした(笑)
 次回――パイロット版では口が裂ける程度の描写しかなくおまけ扱いだったDr.ケブラーに焦点が当たり、友情の存在も確認されるようで、成る程。