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雨のちロールプレイ

『魔進戦隊キラメイジャー』感想・第7話

◆エピソード7「トレーニングを君に」◆ (監督:竹本昇 脚本:三条陸
 「突然だけど、特訓たーいむ!」
 河川敷でスケッチブックを広げていた充瑠は、基礎体力を付けるべしと瀬奈に引きずられてランニングをする事になり、いつの間にやら年上の女性を名前呼び捨てで呼べるようになっている充瑠(数話前まで「瀬奈さん」だった)、やはり根の順応力が高い。
 ガチガチ体育会系女子の指導でへろへろになる美術系男子の充瑠の前に続けて現れたのは、何事にも本気すぎる俳優・押切時雨。
 「さあ、これを身につけろ。――特訓だ」
 タメにタメて、人生で一度は言ってみたかった台詞です!!
 「まだだ。立て!」
 人生で二番目に(以下略)
 待望の格好いい師匠プレイに盛り上がるスタ……じゃなかった時雨だが、そこにベルの音が鳴り響き、目覚まし時計を片手に持ちつつ道着姿で微笑むのが可愛い理系とか体育会系とかそんな枠組みを超えた何かである小夜が、降臨。
 「もしかして……次は小夜さんっ?!」
 「特別訓練、略して特・訓よ」
 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 その笑顔に何を感じ取ったのか、充瑠は悲鳴と共に後ずさり、恐怖政治は、もう、始まっている。
 細かいところでは、「もう1時間経ったのか……全然鍛え足りない」と呟きつつ、竹刀を中段に戻し、納刀して一礼する時雨、キャラが出ていて大変良かったです。
 逃亡むなしく充瑠は小夜に確保され、投げ飛ばすや即座に腕を極めにいく小夜さん……
 「ありがとうございまーーーす」
 充瑠はなんか段々、綺麗なお姉さんに投げ飛ばされ続けるいけない悦びに目覚め始め……
 「あら? もう時間……残念」
 「助かった……」
 ていなくてホッとしました(笑)
 タメくんはきっと文系だよねむしろ引きこもり体質だよねちょっと待って今日は『あ○森』のカブ価を確にぁぁぁぁぁと為朝に首根っこ掴まれた充瑠はシミュレーションルームでの射撃訓練を行う事に。
 4人が突然、充瑠のトレーニングに目覚めたのは、とあるドキュメンタリー番組に影響を受けたからという内幕が博多南から明かされ、それぞれ自分の指導こそが最重要、と考える素人トレーナー(皆、それぞれの分野で自信に溢れすぎているのでタチが悪い――また恐らく、全員の根底に充瑠への感謝の意識があって、それに対して全力で恩返しをしようと考えているのがますます加熱を生む事に)達は、充瑠の育成方針で揉め始める。
 「待て。――仮に、充瑠の一日の睡眠時間を3時間としよう」
 ひ・ど・い。
 「時雨くん。……駄目よー、持ち時間は揃えなきゃ」
 こ・わ。い。
 滅茶苦茶な事を言い出す時雨、都合良く話を誘導しようとする時雨を締めに行く小夜、と年上コンビの暗黒面がテンポ良く引き出され、個性強めのキャラ重視の三条さんは、今作とは相性が良さそうな気配(スーパースター揃いのメンバー、というのはメインライターを務めた『獣電戦隊キョウリュウジャー』と繋がる要素でもあり)。また、個人的には大変久々となる、竹本監督の参戦が嬉しい。
 思わぬ形で、かつてない亀裂の走るキラメイジャーだが、見かねた姫様が「充瑠の意見を聞くべきでは?」と割って入ると「それもそうか」とあっさり納得し、基本的には仲良しです。
 ところが充瑠は、4人が喧々囂々やりあっている隙に魔石格納庫に退避しており……
 「きつそうだな充瑠、大丈夫か?」
 「でも、みんな俺の為にしてくれてるから」
 君はどれだけ、周囲に肯定されない人生を送ってきたんだ……(泣)
 割と本気でこれまでの歩みが心配になってくる充瑠は笑顔を浮かべ、その言葉に、アニキに剣を学べるとか羨ましい、瀬奈お嬢様に踏まれたい、と魔石たちが次々と賛同を示していると、物質が自然発火するほどの高温を生じさせる“熱き炎の”オーブン邪面と、吹雪が巻き起こるほどの低温を発生させる“冷たき氷の”フリーザー邪面が街に出現。
 「名乗りやがった……!」
 敏感に反応するタメくんは多分、eゲームのチームメイトに徹夜で考えた二つ名を付けようとして、拒否された過去がある。
 変身して揃い踏みするキラメイジャーだが、能力の相性の悪さからかダブル邪面はいきなり喧嘩を始め、あの決めポーズを維持したまま、画面手前で炸裂するドロップキックを見つめるシーンが色々と凄い(笑)
 予想外の展開に思わず黄が緑を取り落とす一方、青はあくまで丁寧に桃を下ろし、スタッフの方でも時雨が埋没する可能性は危惧していたのか(役者サイドからのアプローチもあるでしょうが)、今回、端々で時雨が個性を出してきます。
 「何あれ、仲間割れ?」
 「兄弟げんか?」
 兄のオーブンは弟のフリーザーをぺしぺしと叩き、それを物陰から、ガルザが見ていた。
 「弟のくせに……か」
 ちょっと面白くなっているけど、それでいいのか(笑)
 とにかく攻撃を仕掛けるキラメイジャーだが、特訓の成果が発揮されているか気になって仕方がないコーチ達が次々と攻撃を受け、更に赤も、何かの異常?で射撃のタイミングを逃した上に冷凍攻撃を受けてしまう大ピンチ。だが、弟に手柄をやるものかとオーブンが横槍を入れた事で窮地を脱し……どうして、この2人、同時に出撃させたの!?
 「兄者……貴様ぁぁぁ!!」
 怒りのあまり、とうとうオーブンに殴りかかろうとするフリーザー邪面だが、闖入したガルザがそれを制すると、なんと自らオーブンを攻撃。
 「弟が功を成すのがそんなに悔しいか……」
 先程は体勢もあってギャグ寄りになっていましたが、国をひっくり返すほどの憎悪だけに物凄く根深く、今作の根底に横たわる要素と綺麗に接続。
 オーブンがフリーザーを小突き回す姿を見てコンプレックスのツボを刺激され、フリーザーに肩入れするガルザですが、クリスタリアでの兄弟関係はまだ詳細不明なものの、オラディン王は1ミリの悪意も無いが他人の神経を逆撫でするタイプだったのではないかという気もしてきた今日この頃。
 「ガルザ、昨日発売した新作ゲーム、徹夜でクリアしたから貸してやるよ!」
 「あ、ありがとう兄上!」
 「いや~、ヒロインの△△ちゃんが超かわいいんだけど、実は宇宙クラゲだった事が途中で判明してさ、しかも宇宙クラゲ軍団を使って世界征服を目論む○○の正体は主人公の母親だった! て、めっちゃ驚いたね。すげー面白かったから、楽しんでくれよな!」
 みたいな。
 「戦いの場で見苦しいぞ! 頭を冷やせ、オーブン邪面」
 若き日のトラウマが甦るガルザは兄弟邪面を連れて一時撤収し、クリスタリア御用列車と同型らしいのでなんらかの特殊能力なのでしょうが、恐竜レッシャーは飛び抜けて便利な移動性能。
 「なんなんだあいつら?! 兄弟なら当然連携して、闇エナジーを集めて邪面獣を召喚してくれると思ったのにぃぃぃ!!」
 ……報告を受けて怒れるクランチュラさん、ホントに、いい人(ヨドン軍基準)なのでは…………こういった、地球人類から見た時に組織としては「悪」でも、その組織内部には内部における真っ当な倫理観が存在している(「兄弟なら連携する筈」とか「助けられたら感謝する」とか)、という見せ方は好みです。
 「ふふふ。兄弟は力を合わせるもの、というお前の前提が間違っているのさ。この場は俺に任せておけ」
 ガルザは背後で醜い喧嘩を続行している兄弟に近付くと、フリーザーに親しげに声をかけ……
 「兄というものは腹立たしいものだ。ほんのわずか先に生まれたというだけで、弟を、見下し続ける。兄を憎むおまえの気持ち、俺には痛いほどわかる」
 共感を示すと、謎のコーラ瓶を提供。
 一方、ココナッツ基地では無理な特訓がたたってか、充瑠がろくに線も引けないお疲れモード。
 「絵はいくら描いても、疲れない筈なんだけど……」
 「お絵描きは後だ。再特訓を開始する」
 だが、兄弟邪面師対策の為、代役ンを使って分身した為朝が特訓再開を宣言し、その後に並ぶ仲間達。
 「テンポ良く頼むぞタメ」
 「後が使えてるからね!」
 「みんな心を鬼モード♪」
 充瑠の抗議を無視して特訓は再開され、心配する姫様の前でしごきを受け続ける充瑠は、突如、巨大な電車のビジョンを目にして河川敷にダイブ。
 「遂に、幻覚が見え始めたのでしょうか……」
 姫様、酷い。
 充瑠を巡って混迷の続くキラメイジャーだが、W邪面が再び出現。ガルザから渡された闇のエナジードリンクの力で超強化された冷蔵庫は、兄を圧倒する冷気を発しキラメイジャーさえ凍結させる!
 「勝利の栄光も邪面獣も、両方俺のものだ」
 勝ち誇る冷蔵庫だがその時、ドリンクの飲み過ぎによる副作用に崩れ落ち、凍結能力も解除されたところに現れたのは、実は最初からオーブン邪面と示し合わせていたガルザ。
 「そんな……兄を憎む気持ちがわかるといったのは、嘘だったのか?!」
 「そいつは本当だ。だが、同じ兄弟でも、俺と兄の場合とは違うところが一つある。おまえ達は弟の方が弱かった。弱い方が捨て駒になるのは当たり前の話」
 共感を示しすぎたところで怪しくはなっていましたが、ガルザが生産力もとい邪面師に自らの立場を重ねるような性格ではなかった事でしかるべき着地としての説得力を上げつつ、ガルザにとっては「強い者が上に立ち弱い者を切り捨てる」事が当然なので、より優秀な自分による兄への反乱とそれに伴う暴虐が正当化されている事が示され、認めるべきでない邪悪としてのガルザの存在感がグッと増したのは非常に良い感じ。
 ……ところで、最初の戦闘時に物陰から「弟のくせに……か」と呟くのは、冷静に考えてみるとフリーザー籠絡作戦には不要なので、純粋に視聴者へのミスディレクションなのですが、思えばマブシーナを騙す為の「ワタシハセンノウサレテイタノデス」作戦の際も列車から落ちてくる熱演で始まっており、今回も作戦の為に役柄に入りきる所から始めていたのかもしれず、こんな出会いでなかったら、時雨と意気投合して親友になっていたかもしれません……。
 「最後に覚えておけ。俺は兄だけでなく、弱い奴も嫌いだ」
 ガルザは冷蔵庫を真っ二つにし、これによって保険が適用され、二首邪面獣が地球に出現。
 シールド構えて出撃するキラメイジンだが、超高温と超低温を続けて浴びせられたところに、参戦した恐竜レッシャーのチャームポイントであるチェーンソーの連続攻撃を受け、全身のキラメイストーンに亀裂が入る大ダメージを受けてしまう。
 二首邪面獣との連携の為に今回の作戦に介入したと語るガルザですが……「キラメイジャーを倒す」だけならガルザが余計な手出しをする必要が無かったと思われ(ままありがちな本末転倒ではありますが)、どうして連携がしたかったのか、の動機付けが不足していたのは残念だった部分。
 ガルザの背景やここまでの言行を繋ぎ合わせると、恐らくは充瑠の「キラメイストーンに形を与える(兄と同じ)力」によって生まれた「キラメイジンを完膚なきまでに撃破する」事で自らの優位性を証明する、という妄執かとは思われるのですが、第4話時点ではこれといってガルザがキラメイジンにこだわっている節は見えていなかったので、色々と急ぎ足だった第4話の描写が響いてしまった印象。
 冒頭から面白かっただけに、ここは残念でした。
 キラメイジンは恐竜ダークブレスを受けて追い詰められ、窮地を閃きで乗り越えようとする赤だが、疲労の為かコックピットで意識を失ってしまう。赤い魔石へのエネルギー供給不足で行動不能に陥ったキラメイジン絶体絶命のその時、なんとか意識を取り戻した赤は再び謎の列車の光を目にし、それと同じものを目にして攻撃を中断するガルザ。そして両者の間に割って入るように降り立つ、謎の巨大ロボ。
 「光の……巨神?」
 「なんだ……これは……」
 で、つづく。
 コーチ熱に盛り上がる為朝たち4人が、充瑠のキラメキを蔑ろにしてしまっている、というのは暗に匂わされていますが、果たしてそれをどう乗り越えるのか。そこから新ロボとの接続が吉と出るか凶と出るか若干の不安がありますが、どうまとめてくるか楽しみです。
 ……後やっぱり、白いキラメイストーンは人間の精神に干渉しているのでしょーか(笑)