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空っぽのネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第34話

◆Episode34「封鎖-A.D.2009-」◆ (監督:北浦嗣巳 脚本:赤星政尚 特技監督:菊池雄一)
 「スペース・ビースト……奴らは恐怖を求め、それを捕食する生命体」
 「だから人々に、ビーストの存在を、認識させてはいけない」
 スペース・ビーストとは何か、と記憶操作へのこだわりを繋げ、繰り返し描写され続けてきた物語の要点に理由を与えつつ敵の正体を明かす、というのは悪くなかったのですが……それらの説明を全て新キャラの査察官に放り投げた上、過去の出来事(映画『ULTRAMAN』)と今作を繋ぐ役割が終わったし、千樹憐には多くの人から想いが託されているからきっと勝てると確信したので、それじゃ、と北米本部に帰ってしまう展開に目が点。
 徹頭徹尾、実はこういう事情でした、実は世界観が同じでした、の説明をする為に出てきただけになった上、
 「恐怖を乗り越える為に必要な想いは……それは憎しみなんかじゃない。それは、人を愛する心。人を慈しむ眼差し。……私はそれを、ウルトラマンから教わったの」
 とか、
 「如何にアンノウン・ハンドが、強大な敵でも、その想いを断ち切る事など、出来はしない」
 とか、
 映画の出来事を根拠に語られても、『ネクサス』の空洞は虚ろになるばかりです。
 5年前の真実を知った事でナイトレイダー隊員の組織への不信は高まり、正直、何を今更というか、この組織に疑問を抱くタイミングはもっと前に幾らでもあったと思うのですが、隊長に続き、石掘と平木も急速に泥人形から人間へ。
 地上に落ちた事で成る程カタツムリだったビーストに、憐は弱った体で決死の戦いを挑む。
 「孤門……俺、行かなくちゃ……」
 「憐! あのビーストは、君を狙ってる! それに君の体は……もう変身するな!」
 「……孤門の仕事って…………人を、この世界を守る事だろ? 俺も、その為に使いたいんだ。――ウルトラマンの力を」
 だが、NRの支援を受けて放った光量子スピンキックでもカタツムリにトドメを刺す事ができず地下に逃げられてしまい、肉体が限界に達しつつある憐は倒れてしまうのだった……。
 管理官父娘に気を遣うMPリーダー(孤門くんに最も優しい登場人物であり、やはり劇中トップクラスのいい人なのでは)の仲立ちにより、管理官父娘は和解。この出来事を葉月が忘れてしまうのを互いに承知の上で仲直りのデートを約束し、
 「忘れないでね」
 「私は決して忘れない。今日の事を」
 と言葉を交わし、記憶を消去される、というのは良いシーンでした。
 後、着実にヒロイン度を上げる瑞生は、遂に憐=ウルトラマンである事を知り、憐の為に懸命に走り回る姿など、終始可愛く描かれているのは、第2部の良いところ。
 一方で、「恐怖なんて、憎しみがあれば打ち勝てる」と足踏みを続ける副隊長は、今回も目を見開き口を半開きにした「!」というリアクションが繰り返され、副隊長は基本、〔おすまし・般若・「!」〕の3パターンしか立ち絵が無いのですが、そういう表情/キャラクターも必要とはいえ、事あるごとに口半開きのカットで撮られるのは、あんまりだよな、と思うのでありました(口半開き系ヒロインといえば『オーブ』のキャップを思い出します)。
 北米本部に後始末を丸投げされる形になったイラストレーターが、炎の中で高笑いする漆黒のウルトラマンを幻視して、To be continued...
 次回――俺達はもう、泥人形じゃない!!