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語らうネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第33話

◆Episode33「忘却-A.D.2004-」◆ (監督:北浦嗣巳 脚本:村井さだゆき 特技監督菊地雄一
 放映短縮のあおりにより、スキップされたエピソードで平木と付き合いだしたらしい石掘は、将来的に住宅手当とか出るのかな……と職場について調べていたところ辿り着いたプロメテウスプロジェクトのデータを平木(「詩織」呼び)に見せ、今更ながらTLTについての疑念を口にする……というか、職場で機密情報見ながらイチャイチャするのはどうかと思うと、私の中の副隊長がコルト55を念入りに磨いています!
 一方、謎の球体がレーテに接触しようとするも弾き飛ばされて失敗し、レーテの存在する基地の最深部――セクション0について、今まで一度も触れた事がないので、皆一斉に台詞で説明(笑)
 「セクション0だと?!」
 「この基地の、エネルギー施設があると教えられた場所だ」
 「あたしたちも近付けない、危険区域でしょ?!」
 この辺りの強引さは、放映短縮云々以前のところで今作これまでの仕込みの甘さが見えてしまうところです。
 5年前の巨大隕石落下事件による通称「新宿大災害」で妻を失い、娘の葉月とは微妙に気まずい距離感になっている管理官の家庭人としての顔が描かれ、その新宿大災害の被害調査にかつて関わっていたのが、ティルト北米本部から来日した査察官・水原沙羅。
 怒濤の勢いで浮上した新たなピースがマッハ全開の説明と共に線で繋がれていき、1クールアニメの中盤みたいになってきました!
 水原はまたプロメテウスプロジェクトにも関わっており、プロジェクトによって生まれたデザイナーズチャイルドの一人に、急速な細胞の老化現象という欠陥が見つかっていた、と憐に忍び寄る運命を示唆。特効薬の開発は水原によって中止されていたが、その薬の名前こそが――ラファエル。
 石堀&平木と、副隊長&孤門がこの情報を共有し、やったよリコ、遂に……遂に職場に会話が生まれたよ!!
 憐の背後に横たわるものに孤門が辿り着いたその頃、当の憐は、管理官を気にする娘の葉月から接触を受け、急遽探さないといけない事情もあったのでしょうが、割と重要な役柄で台詞も多い管理官娘が、訥々した喋りなのは地味に辛い(後、あまり女子高生には見えない……)。
 そして、かつてなく和気藹々としている職場から一人離れて査問会議に出席中の信頼感隊長は、査察官からTLTの重大な秘密を伝えられる。
 「レーテ――来訪者によって作られた、忘却の海」
 「来訪者ですって?」
 「今から20年前……アメリカの砂漠地帯に、謎の発光体が墜落した。駆け付けた軍は、数体の不定形生命体を捕獲した」
 「それが、来訪者。そして、彼らを捕獲したアメリカ政府は知ったの。来訪者は、超新星爆発によって故郷の星を失い、光量子情報体となって、地球へ飛来した宇宙の難民だという事を」
 「彼らを保護して、我々は膨大な知識と情報を得た」
 ティルトの各種装備など、数々のオーバーテクノロジーを提供した来訪者だが、その使用目的に一つの制限を課す。それは、スペースビーストによる終焉――地球滅亡を防ぐ事。
 隊長が今になって「しんじつのてぃると」について各種レクチャーを受けている頃、石掘はティルト北米本部をしれっとハッキング。急に皆アクティブになっていて戸惑いますが、給料支払いの遅延でも発生したのでしょうか。
 本部から査察=日本支部倒産の危機、と考えているのでは。
 順調に侵入に成功したかと思われた石掘だが、「俺を誰だと思っている」と格好つけている間に閉め出されてしまい、DLできたのは、一つの映像記録のみ。
 そこに映っていたのは、2004年――新宿の地で戦う、ウルトラマンとビーストの姿であった。
 「では、5年前の新宿大災害も、虚構だと」
 「ええ、それが真実よ」
 「5年前……新宿でウルトラマンとビーストとの最初の戦いがあった」
 「しかし、何故……?! 何故人々の記憶を奪ったんだ!」
 「……その必要があったから。ビーストの記憶が、更なるビーストの災いを招いてしまう。だから来訪者達は、身を挺して、世界中の記憶を封印した。それが、忘却の海・レーテ」
 ほぼ第13話以来の言及となった「レーテ」が物語のコアと繋がり、憐と葉月をストーキングしていた瑞生はあっさりと葉月によって引きずり出され、憐は憐で間接的に瑞生に告白してしまうが、2020年に見ると、今作の素材と志向性は、分割2クールアニメが最適形態だったのかもと思えてきて、当時、適切な放映形態が無かった(為に無理のある企画設計になった)のかもしれないという点においては――あまり好きな表現ではありませんが――早すぎた、というにふさわしい作品ではあるのかも。
 まあ、商業作品である以上、箱に合わせて作らないといけないので、それが出来なかった、という基本的な失点は拭いようがないのですが。
 葉月のちょっとしたお節介により、いい雰囲気になりかける憐と瑞生だが、不気味なうなり声と共に天空に黒雲が生じ、市街地の上空に突如として巨大なビーストが出現。
 瑞生と葉月は待機していたMPのバンに拾われ、ネクサスに変身した憐は、ビーストに吸引されていく人々を救出。
 「なんだあれは……?」
 「銀色の、巨人……」
 「…………ウルトラマン
 その姿は、封じられていた人々の記憶を甦らせる?で、To be continued...
 一気呵成の最終章に入って、成る程、今作は「ウルトラマンが居なかった世界」ではなく、「ウルトラマンが忘れられた世界」だったのか……という仕掛けが見え、それが効いてくるのかどうかはまだなんともいえませんが、果たして、ティルト日本支部は倒産の危機を乗り越える事ができるのか?!