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裸は光の戦闘服

光戦隊マスクマン』感想・第29話

◆第29話「友情の新必殺武器」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 遂に完成した新必殺兵器の最終実験が行われ、「ファイヤー!」した瞬間、暴発に巻き込まれて派手に吹っ飛ぶマスクマン……というのはパターンではあるのですが、よく身内に撃たれるマスクマンなので、別種の面白さが発生しています(笑)
 これも特訓なんですね長官?!
 最終調整に失敗した新兵器だが、昼夜を問わない開発作業の無理がたたって主任技師のアカイケが倒れた事で修繕もままならないまま、ゼーバ虎の子の地底獣、デスガドグラーが出撃し、大規模な毒ガスバイオテロを決行。
 「あのガスは……あのガスは……」
 新必殺武器は無い、だが、このまま手をこまねいて見ているわけにはいかない、とタケル達は技師チームの制止を振り切って出撃を覚悟する。
 「鍛えれば鍛えるほど、この力が発揮できると、信じて鍛え抜いてきたんだ。決して負けやしない」
 「それは驕りだ!」
 ところが目を覚ました主任、正論で、戦士の自己暗示を解いてしまう(笑)
 駆け付けた姿長官も、廊下の角でビックリだ!
 「君たちの驕りだぞ! 幾ら君たちが強いからといって、決して君たちだけでは勝てやしないんだぞ」
 タケル達の無茶を止めようとする主任の心情を含めてサポート要員を含めて光戦隊、というテーゼを描きたかったのかもしれませんが、タケル達にしても不利を承知で己を鼓舞して戦場に向かおうとしている状況なので、反省を促して「そうだ! 俺達だけが戦っているわけじゃないんだ!」という“気付き”に持ち込もうとするのには大きな無理があり、激しいピンぼけを起こしてしまう事に。
 結局、立ち尽くして主任の回復を待っていても仕方がないので、主任を振り切り出撃するマスクマンだが、ドグラーの腐食ガス攻撃により武器を失い、イガム部隊の攻撃を受ける。
 「美緒はあれほど優しい人だったのに! 双子の兄でありながら、なぜおまえは!」
 「言うな! イアル姫はイガム家の恥! その恥をそそぐためには、この俺の手で、手柄をあげねばならんのだ!」
 前回、美緒の秘密を知った赤がイガムと絡み、さっそく因縁を強化してくれるのは、手堅い。
 「愚かな妹とはいえ、よくもイアル姫をたぶらかしてくれたな!」
 「違う、俺と美緒は!」
 「言うな!」
 妹と彼氏のイチャイチャ回想など、聞いていられるかーーーッ!
 変身解除に追い込まれたマスクマンは散り散りとなり、タケルは命がけで現場へ赴いた主任から、20年前、主任の故郷の小さな町がデスガドグラーの毒ガス攻撃を受け、主任はその際に吸ったガスの影響で虚弱体質になってしまった事を過去を聞かされる。
 「それがゼーバの実験だった事を教えてくれたのが、姿長官だったんだ」
 自分のような犠牲者を二度と出したくない……主任技師は、その思いを、裸ジャケットで熱く語る。
 前回今回登場の技師チーム、人数がマスクマンと同じ5人だったり、次作『ライブマン』で戦隊メンバーとなる西村和彦が入っていたり、オーディションの参加者だったりしたのか、妙に押し出しが強めで、なんだかんだ、主任も毎朝の筋トレに励んでいる事が窺えます。
 「でも、俺は君たちのように戦えない。だから、頭脳と技術で、光戦隊の役に立ちたいんだ! 信じてくれ、俺達の技術を!」
 タケルと主任技師は熱く手を取り合い、タケルが本部へと送った遠隔オーラにより、文字通りに入魂の新兵器が完成。毒ガスによって洞穴の中に追い込まれ、脱出も束の間キロスの襲撃を受け、更にイガム部隊の追撃を受けたケンタ達の危機に、レッドマスクが小型ジェットのように空を駆け回る新兵器にまたがって登場するのはインパクトが強く――その名を、ジェットカノン!
 「光戦隊の、友情と、科学、オーラパワーを結集したその力を、今見せてやる!」
 ジェットモードからカノンモードに変形した新兵器が火を噴き、デスガドグラーは木っ葉微塵。黒青黄桃が砲身を抱えて赤がオーラをチャージするというフォーメーションは変わらないのですが、謎の電池パックを背負っていないだけ、見た目の間抜けさは減少しました(笑)
 巨大デスガの腐食ガスを華麗なバック転でかわしたGロボは、連続パンチからマウントを取ると、アカイケ主任技師の恨みとばかり後頭部を掴んで繰り返し地面に叩きつけ、バズーカ、スパートそして鉄拳のコンボで蹂躙し、マスクマンは新兵器のデビュー戦を飾るのであった。
 さすがに、マスクマン5人が力への驕りを反省する、という無理な接続こそされなかったものの、今ひとつパッとしない出来。
 2号ロボにせよ、新必殺兵器にせよ、中盤の敗北からのモデルチェンジにより、物語のメリハリをより大きく付ける狙いがあると思われるのですが、現状、新しいイベントを組み込む(必殺技のモデルチェンジ自体は過去作でもあり)事で新しい面白が生まれるメリットよりも、新しいイベントを従来的な文法で消化しきれていないデメリットの方が目立ってしまい、ならではの面白さを打ち出せないまま展開の要請に振り回されてしまっている印象。
 次回――キロスの登場で嫌でも存在意義の問われるバラバに焦点、はわかるとして、バラバの母親登場?! に何とも困惑させられますが、バラバは、生き残る事が出来るのか?!