『光戦隊マスクマン』感想・第23-24話
◆第23話「悪魔になった美緒」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
グレートファイブを奪還されてお怒りのゼーバ様をなだめるアナグマスは、地底地獄から掘り出してきた封印地底獣・マジンドグラー(人語を喋る知性あり)を地上へと送り込む。かなり凝った造形の魔神ドグラーは、通りすがりの女性を美緒そっくりに変身させると洗脳し、その標的になっているとは知らぬタケルは、美緒の夢を見てうなされていた。
「これまであんな夢を見た事は無かったのに……何故、何故あんな夢を」
ベッドサイドのランプが、明るすぎるのではないか。
(グランプリも、美緒も、夢なのか? みんな遠い夢なのか?)
タケルと共に美緒のイメージカラーである真っ赤なスポーツカーでサーキット?を走るタケルはいちゃいちゃ妄想を膨らませるが、なんとそこに、懐かしい服装でタケルの名を呼びながら姿を見せる美緒。二人は熱烈な再会の抱擁をかわし、心配そうにタケルの走りを見つめていた仲間達も駆け寄ると口々に再会を祝し、君たちは、本当にいい奴だなぁ……!
だがその喜びも束の間、美緒を追って地上に現れるイガム一派。
「地底帝国チューブから、逃れられると思っているのか!」
「タケル、ここは俺達に任せろ!」
ケンタ達4人は即座に足止めを買って出て、君たちは、本当にいい奴だなぁ……!!
「夢みたいだ……まるで、夢を見ているようだ」
タケルと美緒は車に乗り込んで逃走し、助手席に座る美緒の存在に早くも緩みきった笑顔を浮かべるタケル、いや今、君の仲間達が必死に敵を食い止めているからな!
「私もどんなに会いたかった事か」
美緒の手がそっとタケルの手に重ねられると相好ますます崩れ、いや今、君の仲間達が必死に敵を食い止めているからな!
だが二人のラブラブ逃走劇は戦闘機部隊の強襲を受け、トンネルに入るとそこには謎の棺桶が。
「この棺桶は、お前達を葬るためのもの」
不思議な空間に引きずり込まれたタケルは、オーラマスクすると何とかその空間を突破するが、魔神ドグラーと戦闘員に更なる追撃を受ける。
「地底の魔術師から、逃げられるか!」
美緒を連れて逃げるタケルは秘密の通路を開き、第2話以来?となる移動用シューターを使用。だがチューブの狙いは偽美緒の身につけた発信器により、光戦隊の本拠地を突き止める事にこそあった!
「これで光戦隊の秘密基地を暴く事が出来る。一挙に総攻撃をかけるのだっ!!」
大変気合いの入った号令を掛けるゼーバ様、首領ポジションの割には幹部ポジションと目線が近いというか、どうも、地上侵攻が上手く行っていない事に自覚があるらしいのが、ちょっとした特徴になっています(笑)
意気上がるチューブだがしかし、一枚上手の姿長官は、秘密通路を探るドグラーらの姿をモニターで確認すると、その目的を看破。
「タケル、敵の狙いはシューターだ! ……5秒後に、シューター305を爆破する。オーラパワーを信じるんだ!」
……じゃなかった、
「タケル、敵の狙いはシューターだ! ……5秒後に、シューター305を爆破する。早く脱出するんだ!」
基地の所在を突き止められるわけにはいかんので私は私の選んだ若者達を信じている、と長官は自爆スイッチをぽちっとな。
そう、皆さん声を揃えてご一緒に……
自爆は宇宙最強のセキュリティ!
かくして、尊い犠牲により光戦隊基地の秘密は守られ(まさかチューブも、都心の高層ビルに堂々と居を構えているとは夢にも思ってはいない罠)、善玉サイドの自爆攻撃で思い切り宙を舞う着ぐるみ怪人と戦闘員、というのは割合と珍しいような。
タケルと美緒はからくも自爆の巻き添えを逃れ、主に味方の攻撃で血まみれのタケルは、吊り橋でがっくりと座り込む。
「やはり君は美緒ではない……」
タケルは、幾つかの言動から、偽美緒を看破。魔神ドグラーの魔術に操られた偽美緒の隠し持っていた拳銃が火を噴くが、タケルの携帯していたペンダントに、その銃弾は食い止められる。
「そいつは美緒じゃない。……俺の美緒は……ここに居る」
銃弾を受けたペンダントは表面の装飾が砕け剥がれてしまうも、その下に隠れていた美しい水晶のような面を露出し、キーアイテムがモデルチェンジ。魔術が解けた偽美緒は元の姿に戻り、純然たる被害者ながら事情のわからないマスクマンから完全に敵視されていて、勢いでマスキーローターされなくて本当に良かったです。
作戦失敗した魔神ドグラーは海中より棺桶を浮上させ、マスクマンと不思議空間で激突。魔神の操るデス棺桶攻撃を受けそうになる赤だったが、咄嗟に体勢を入れ替えると逆に魔神ドグラーを棺桶に詰め込み、5人でレーザーマグナムを一斉発射。このダメージで不思議空間が消滅した際の爆発にまとめて吹き飛ばされるマスクマンだが、棺桶から抜け出そうともがく魔神ドグラーをオーラあやとりで封印するとショットボンバー! を叩き込み、美緒を利用してタケルの逆鱗に触れた魔神ドグラーは、マスクマン史上空前のえげつない手段で爆殺されるのであった。
巨大戦では、ターボランジャーに格納されたランドギャラクシーの発進シーンが描かれ、変形・武装・回転、とたっぷりGロボらしさを見せた上で、謎のオーラロード開放からの鉄拳オーラギャラクシーで、合掌。
「美緒は、生きている……。美緒は、重い秘密を一人で背負っていながら、決してそれを表には出そうとせず……いつも、笑顔で居た」
チューブの卑劣な作戦に、戦いの日々の中で秘めた恋情を揺さぶり起こされたタケルは、水晶のペンダントを手に海を見つめながらいちゃいちゃ回想にふけり、夢のようなあの日々を思い起こす……。
「……必ず、どこかで、生きている」
氷柱の中で眠る美緒/イアルの姿が挿入され、持て余した激情の赴くままに海に向かって「美緒ーーー!!」と絶叫しながら走るタケルの青春爆発ファイヤーを仲間達が生暖かく見つめ、君たちは、本当にいい奴だなぁ……!!!
二号ロボ登場編が一段落し物語もそろそろ折り返し地点といった所で、タケル×美緒の関係に再びスポットが当たり、美緒が絡むとタケルのブレーキが利かなくなり、それを暖かくサポートする仲間達の好感度が自動的に上がっていくという、良くも悪くも序盤の内容をなぞるような一本。
一応、偽物を見破ったところにタケルの愛の力と戦士としての成長(物語としての前進)が描かれている意図なのかもしれませんが、長官の無慈悲なぽちっとなが無ければ致命的な失策寸前だったので、説得力は弱め(笑)
棺桶にこだわった演出は見所がありましたし、タケルがただの浮かれたぼんくらではない(マンホールから顔を出した美緒が何か秘密を抱えている事にさすがに気付いてはいた)事も示唆され、何より首飾りのモデルチェンジは今後に繋がってきそうなので、どう転がしてくるか楽しみです。
◆第24話「鍾乳洞の少年怪獣」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
見所は、目撃者を確保しようと鍾乳洞の中で光線技を放った結果、落盤事故を引き起こして逆に閉じ込められるイガム一派。
残念! これが、残念の呪いなのか!
静岡件引佐町を舞台に、麦わら帽子に短パンランニングでちょっと太ましい田舎の腕白少年と、夏休みに都会から遊びに来た少女の交流が描かれる、ザ・夏休み、というエピソード。題材に興味が無いので淡泊な感想になりますが、少年と少女の絆の象徴をペンダントにする事で、思い入れの爆発したタケルが積極性を発揮する、というのは今作ならではの話運びとなりました。
リュウドグラーの特殊な消化液により原生生物にされてしまった少年(容赦なくグロテスクなデザインは秀逸)が、地元の山狩りに合うなど難儀するも、オーラパワーとペンダントに填め込まれた石の共鳴による不思議な作用で元の姿に戻り、マスクマンはダム湖に消化液を流し込んで人類総アメーバ計画を実行しようとするイガム一派と激突。
「子供達の夏休みを、恐怖に陥れたリュウドグラー! 許さん!」
強敵リュウドグラーに苦戦するマスクマンだが、二刀流を振るった赤が怒濤の連続攻撃を決め、トドメのショットボンバー。今回はグレートファイブが出撃し、後輩(ただし年上)に負けてはいられないとドグラーを豪快に投げまくると、ファイナルオーラバーストで合掌。
あと、ハルカが久々に手裏剣を投げました。
次回――高原竜登場。