東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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轟然一発ギャラクシー

光戦隊マスクマン』感想・第21-22話

◆第21話「霧の谷の黒い影」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 「もう駄目だ……光戦隊もおしまいだ」
 「なに言ってんだ!」
 「だって! グレートファイブ無しでどうやって戦えっていうんだよ!」
 「……ごめんなさい」
 「誰のせいでもない……それだけチューブが上手だったって事だ」
 グレートファイブを地底に失った光戦隊は意気消沈。年少のアキラの不用意な発言をタケルが取りなし、ここ数話、だいぶリーダーらしい顔を見せるように(この点に関しては、徐々に変化を見せていくのを諦めて、従来通りの描き方に戻した、という感じですが)。
 その頃、独り本部を離れた長官は、セーラ服の少女から平手打ちを受けていた。
 「あなたは鬼です! ……父さんを殺したロボットを、甦らせようなんて」
 走り去った少女は、光戦隊の結成にも関わり、姿にとって無二の親友だった山形博士の娘、山形由美
 「実は……グレートファイブに代わる、巨大ロボがあるかもしれないんだ」
 かつて、光戦隊巨大ロボ建造計画における選考会議で、姿設計のグレートファイブと山形設計のギャラクシーロボが最終選考を争った末、グレートファイブが選ばれた過去が判明。姿長官がただの闇の狩人ではなく、ロボットも設計できる闇の狩人だったのは驚きでしたが、選考会議の壁に国際連合旗めいたシンボルマークが掲げられている事から、謎多き光戦隊の背後には国際的な組織が存在している模様……まあ、国際的悪の秘密結社かもしれませんが。
 姿と山形は互いの健闘をたたえ合い、組織的にグレートファイブの建造が進められるが、どうしてもギャラクシーロボを諦めきれなかった山形は、私費でギャラクシーロボを建造(笑)
 貴様のグレートファイブを私のギャラクシーロボが倒す!
 ……じゃなかった、正気は失ったが理性まで失ってはいなかった山形博士は、これから試運転を行う、と姿に告げるが……
 「――それが、山形博士の最期だった」
 姿と由美は、何かを掴むように手を伸ばして絶命している山形博士の死体を発見する、という割と刺激的なシーン。
 「ギャラクシーロボは、山形を殺し、行方不明になってしまったのだ」
 果たして博士は、自ら開発した“心を持ったロボット”にフォージャスティスされたのか?
 「たとえ、どんなに危険な奴でも、君たちなら操縦できる。私は、そう信じてる」
 だが姿は、地上防衛の為、亡き親友の遺した巨大ロボと、自らが鍛え上げた若者達に一縷の望みを託し、どう見ても、博士の死体が発見された湖畔に立ててしまったとおぼしき、東映名物・勝手にお墓に手を合わせる。
 「山形……助けてくれ。おまえのギャラクシーロボが必要なんだ。俺はおまえの作ったロボットを信じてる。どこへ行ってしまったんだ……おまえのギャラクシーロボは」
 姿は山形の墓前で心情を吐露し、突然の新戦力を姿の旧友への想いと繋げる事により、姿の人間味を引き出しつつ物語の中に落とし込みを図るのは、巧いアプローチ。
 「帰って下さい。お父さんを殺したロボットの事なんか、二度と聞きたくありません」
 「……由美さん、君のお父さんは、心を持ったロボットを作ったと、私に言ったんだ」
 そこに更に、傷ついた少女の心を溶かす要素を盛り込む事で、2号ロボにドラマ性を乗せ、グレートファイブに並ぶキャラクター性を与えようというのは、前作『フラッシュマン』に続く2号ロボ登場第二弾という事で、工夫が見えます(前作はやはり、そこで出てきたのが甦ったヴァイキング爺さんだった事に問題があったのでは感)。
 「信じよう、君のお父さんの作ったロボットを。……このままでは、山形が浮かばれん。……君と私、二人だけでも、お父さんが作ったロボットを信じたいんだ」
 父への愛情とその喪失を、「ロボットへの憎悪」で埋めている由美に対し、「ロボットへの信頼」に移行を促す姿の説得に由美は頷き、墓参りに訪れるといつも父の声が聞こえてくるような気がする……と湖の対岸に口を開ける峡谷に視線を向けるが、フーミンの盗み聞きによりギャラクシーロボの存在を知ったイガムが、キメンドグラーを連れて登場。
 「おまえが光戦隊長官、姿か」
 そういえば初顔合わせを経て、長官のゴッドハンド! で一撃解決しそうでドキドキしましたが、姿は由美を守る為に守勢に徹し、駆け付けるマスクマン。鬼面ドグラーの怪光線から身を挺して姿と由美を守るマスクマンがオーラパワーを集中するとそれが何かを呼び覚まし、谷の奥から謎の巨大ロボが姿を見せる……!
 「ギャラクシーロボだ!」
 赤・黒・銀がパーソナルカラーだったグレートファイブに比べると、赤・青・黄の玩具カラー三原色が目立つギャラクシーロボが地響き立てて現れるとイガム一派は軍勢を引くが、ぎこちない動きを繰り返すギャラクシーロボは体勢を崩してその場に倒れ、巨大ロボの下敷きになって全滅しかけるマスクマン。
 何かと苦戦傾向のあるマスクマンですが、姿&由美ともども、普通に下から這い出てくるとは思いませんでした(笑)
 開幕のギャラクシーボディプレスに感じた殺意から第一印象最悪になりかけるマスクマンだが、ロボのコックピットから、レコーダーに遺された山形の声が響き、ギャラクシーロボは試運転の際に落雷の直撃を受け、動作不良を起こしていたという真相が判明。
 「姿……光戦隊を頼む! そして……由美を……娘の由美を頼む!」
 (……この時、ギャラクシーロボから放り出されてしまったのか)
 ……前半、だいぶしんみりと描かれた山形の死(および姿や由美の関係性)ですが、だいぶ、酷い死因でした。
 チューブがギャラクシーロボの存在を知らない為、実はチューブのスパイに殺されていました、とするわけにもいかず、純然たる事故死なのですが、これ、由美のいう「父さんを殺したロボット」が、レトリックとしては何も間違っていないのでは……。
 「山形を失ったギャラクシーロボは、怒り狂う狼となってしまったんだ。……山形」
 ギャラクシーロボが姿を消していたのは、飼い主を失って野生化していたからなんだ! と長官が理屈をつけ、なまじロボットに心を持たせたばかりにグラヴィトン。
 「よし。このギャラクシーロボで戦うんだ!」
 地面に倒れ込んだGロボに、今が好機とチューブ戦闘機部隊が襲いかかり、タケル達は、Gロボが殺人ロボでない事を由美に証明する為(これが今回の、ヒーローとして誰かを救う事になっているのは、曽田さんらしいツボの抑え方)にも、その操縦を決意。
 「山形博士、由美さん、長官! 見ていて下さい!」
 ちなみにここで、コックピットへの搭乗時及び、姿&由美の退出時に、オーラあやとりからの縄ばしごを繰り出しているのは、巨大ロボット物という観点で見てなかなか便利で格好いいアイデア
 緊迫感と迫力を出す狙いからか、コックピットから降りた長官と由美が思い切り戦闘機の標的にされるシーンが入るのは若干どうかと思いましたが、姿長官のオーラシールドなら、20mm機関砲(地上のF-15戦闘機の搭載火器相当)の掃射ぐらいへっちゃらです!
 マスクマンとなにがしかの意思疎通を図るのかと思いきや、至極あっさり再起動したGロボは、ランドバルカンで次々とチューブ戦闘機を撃墜。胸部から突き出したダブルバルカンが容赦なく未来のお義兄様へと撃ち込まれ、鬼面ドグラーは敢えなく爆死。
 「さあ、グレートファイブを助けに行こう!」
 新戦力の入手にまずは喜ぶのかと思いきや、あくまでもグレートファイブの回収が重要事項、と驚くべき切り替えの早さ(笑)
 脚部の車輪を駆動させ、一目散にダッシュするGロボだが、ゼーバ様はオケラを地上に送り込み、巨大化した鬼面ドグラーがその前に立ちはだかる。Gロボは、車輪付きの鎖・ギャラクシーアンカーによる攻撃から、華麗な空中回転キックを浴びせるとマウントを取って連続パンチ。最後は合体武器のギャラクシーバズーカを至近距離から叩き込むが、鬼面ドグラーの突撃を受けて相討ち?! 果たして、Gロボの運命は……で、つづく。
 前半じっくりとGロボ誕生の背景を描き、その存在に厚みを持たせてくれたのは良かったのですが、その反動もあってか後半はだいぶ駆け足になってしまい、心を持ったロボット、という要素も拾われないまま再起動してしまったのは、バランスが悪くなって残念。再起動シーンの盛り上がりが不足した為に、その後も新ロボットのギミックを順々に消化していくだけになってしまいましたが、次回――まさかのロボ座禅!!

◆第22話「風雲オーラの嵐!」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 鬼面ドグラーと共に爆炎の中に消えたかと思われたGロボだったが、トレーラー形態ランドギャラクシーとなって無事な姿を見せ、巨大トレーラーがひたすら荒野を駆け抜けるトレーラー推し回。
 1号ロボに比べると小回りの利くスピード型、車モードへの変形機構、と前作の2号ロボにあたるタイタンボーイの正統継承者となっていますが、二作続けてやたらトレーラー推しなのは、流行っていたのか……? と思い、トレーラーといえばあれだろうかと調べてみたら、《トランスフォーマー》の日本での玩具発売および東映動画も制作に加わっているアニメ放映が1985年に始まり、この当時も放映中であり、バンダイ的に、タカラへの対抗アイテムであったのでしょうか。
 「グレートファイブを渡してはならん!」
 だが、こちらも無事だった巨大鬼面ドグラーに張り付いていた寄生獣が分離するとGトレーラーを追撃し、地底に沈んでいたグレートファイブをキャプチャーすると、なんと合体。頭部に寄生獣の貼り付いた、グレートドグラーが誕生してしまう!
 「今わかったかマスクマン。地底獣キメンドグラーの恐ろしさ」
 「グレートファイブを使って敵を倒そうなどとは、さすがはアナグマス」
 敵の手に落ちた巨大ロボと戦う事に、というのは定番のアイデアですが、チューブ怪人の特性を活かし、ビジュアル的にもわかりやくグロテスクで、面白い絵。
 グレートと鬼面に前後から挟み撃ちを受け、フルパワーでなんとかその場から逃走しようとするGトレーラーだがコントロール不能に陥り、崖下へとダイブ……と見せて、なんと崖の斜面を疾走すると急停車で5人をコックピットから叩き出す!
 「山形は、心を持ったロボットを作ったといったんだ。信じるんだ、山形の言葉を」
 つまり、敵に背を向けるとは士道不覚悟だから死。
 てっきり、俺に「にげる」コマンドはねぇ!! だとばかり思ったのですが、5人は、Gロボの心とは山形の願いではないか、と考える。
 「それは、平和を願う事。科学と、正義の心で平和を願う事」
 それを聞き、光戦隊本部の壁に描かれたマシン観音の画に目を止める由美。
 「これだわ……これだったんだわ」
 由美は、父の墓参りの際、湖に映し出されたその図像を幻視していた事を語り、今作を象徴する〔肉体×神秘×機械〕三位一体の、不可思議な図像がまさかの回収。
 「そうか……! ギャラクシーロボには、オーラパワーが秘められているのかもしれない!」
 タケルの言葉に、前回の湖畔で、Gロボがオーラパワーに反応して目覚めた事を思い出すハルカ。
 「引き出すんだ! オーラパワーを!」
 今作序盤、「心身を鍛えて人体の秘めた未知のパワーを引き出す」という光戦隊のコンセプトが「それはそれとして巨大なマシンで戦う」番組の事情と目立った齟齬を生んでいたのですが、「心があるならロボットだってオーラパワーを引き出せる筈!」と、神秘×機械を融合させる事により、2号ロボを用いてその難点を克服してきたのは、見事なアクロバット
 ……まあ、穴を埋める為に別の大きな穴を掘った感はありますが(笑)
 Gロボを破壊しようとわいわい繰り出してきたバラバ一派を蹴散らしたマスクマンは、再びGロボに乗り込むと人型へと変形させ――岩陰で座禅を組み瞑想に入る!
 前回こだわっていたのに後半で消えてしまった「ロボットの心」要素は、この後半への布石だった事が明らかになり、〔心身を鍛える → 人体に秘められた力(オーラパワー)を引き出す〕と〔機械なので肉体は鍛えられないが心がある → ならば未知の力を引き出せる筈!〕の間には広くて深い谷が存在しているとは思うのですが、大真面目に繰り出されるこの画のパワーには、脱帽です(笑)
 それにしても山形博士は、「私費で巨大ロボを建造」に続き、「心を持たせる事でロボットにオーラパワーを組み込む」と姿長官よりもむしろ先鋭的な設計思想の持ち主(これが選考会議で負けた理由か……?)で、愛される父親アピールとは裏腹に、正真正銘のマッドサイエンティストですが……まあ、よく考えてみると、姿長官の「親友」なので、類は友を呼ぶ人なのか。
 かくして、亡き山形博士の意志を継ぎ、今ここに、科学とオーラが融合する! かと思われたが、いきなりの落雷を受け、コックピットで血まみれになる5人。
 「……頑張ろう! これは、ギャラクシーロボに天が与えた試練なんだ!」
 山形博士の死因、なにやら禁忌の領域に触れた為、みたいな扱いに。
 「俺達がオーラパワーを引き出した時の事を、思い出すんだ!」
 タケルの音頭で5人は第2話の爆熱炎上座禅スクラムを振り返り、むしろ死を前にした時こそ人の命は燃え上がり、最高に“生きてる”って感じがするだろぉぉぉ? とまたもや死中に活を見出そうするのが、まあ、作風が貫かれているといえば、貫かれています(笑)
 「この試練に耐えた時、俺達と同じように、ギャラクシーロボ自身が、秘められた未知の力を発揮してくれる筈だ」
 叩きつける雷雨の中で5人は瞑想に入りGロボも座禅を組み直すが、そこに迫る鬼面ドグラーが無防備なGロボとマスクマンに砲火を浴びせる。
 「落ち着け! もう少しだ! 信じろ――オーラパワーを!」
 その光景に真っ当に悲鳴をあげる由美だが……
 「オーラパワーの戦士は負けぬ。マスクマンのオーラが、必ずギャラクシーロボのオーラを引き出す。その時こそ、科学と正義の心で、平和を願うロボットが完成するんだ」
 むしろ叱るように諭す亡き父の親友は、だいぶイかれた人だった。
 鬼面ドグラーの攻撃をものともせず激しい嵐の中で瞑想を続ける内(仏典的なイメージか)、いつしかコックピットに座る5人はオーラマスクし、そのオーラがギャラクシーロボと同調……遂に自らもオーラを発して空中浮揚したギャラクシーロボの背後に巨大なマシン観音が浮かび上がり、話としてはあちこち飛躍が色々と荒っぽいのですが、とにかく、ここでしかない絵を見せつけてくる勢いが強烈無比(笑) 謎の満足感が発生しています。
 「立て! ギャラクシーロボ!」
 オーラの境地に達し、覚醒したGロボは鬼面ドグラーに挑みかかり、しっかりガンもカッターも使うグレートドグラーとの二対一の戦いで苦戦を強いられるが、挟み撃ちを崩してからの銃撃で寄生獣を引きはがす事に成功。鬼面ドグラーと一対一の戦いになると、回転パンチからギャラクシーバズーカ、トレーラー状態でのオーラロードスパーク(移動技)を挟んで、オーラを纏った手刀で標的を真っ二つにする鉄拳オーラギャラクシーにより鬼面ドグラーを撃破。
 ここに、座禅を組んでオーラを発し、敵を両断して合掌する、脅威のオーラロボットが誕生。Gロボは奪還なったグレートファイブと握手をかわし、光戦隊は、亡き山形博士の為にも、地球に平和を取り戻す事を改めて誓うのだった――。
 なにやら目の前で巨大な穴が掘り進められている気はするものの、あまりにも穴のスケールが大きい事と、それを彩る画の強烈さに認知が狂ってくる、大変困ったエピソードでした(笑)
 前作では、スピード型だったタイタンボーイはともかく、タイタンボーイの強化形態であるグレートタイタンが最強すぎて1号ロボと2号ロボを巧く使い分けられず、新要素の物語的消化に手間取った部分がありましたが、それを踏まえた今作で、2号ロボをどう使ってくるのかは、そこまで大きな期待はしないなりに一つ興味のあるところです。
 次回、最近名前の出てこなかった美緒が良いタイミングで再登場。果たして、タケルはまたも敵前逃亡してしまうのか?!
 電撃戦隊なら、今度こそ銃殺刑だ!!