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俺の体が燃えている

仮面ライダーゼロワン』感想・第14話

◆第14話「オレたち宇宙飛行士ブラザーズ!」◆ (監督:諸田敏 脚本:高橋悠也
 「じゃあ、亡と雷も居るって事か?」
 A.I.M.S.ではこれまでの滅亡迅雷ネットの活動が振り返られ、薄々みんなが思っていた事を力強くツッコんでくれる不破さん。
 一方、遅刻阻止の為に宇宙バイクを召喚したアルトは、業務時間外のバイク起動について、衛星ゼアの管理を担う宇宙用ヒューマギア、雷電と昴に社長室まで怒鳴り込まれ、飛電宇宙開発センターに引きずられていく事に。
 実はアルトが召喚したバイクは、毎度衛星軌道まで打ち上げられて宇宙兄弟もとい宇宙野郎ブラザーズによってゼアに格納されていたのだ……という説明は、トンデモ的な面白さというよりは、理屈をつけずに誤魔化していた方が良かったのでは感がありますが、明らかに先代社長が会社の資金をヤバい運用していそうで、裏帳簿の発見が待たれます。
 「俺達は、宇宙を股に掛けるすげー仕事をしてるんだ」
 つまり今後劇中にバイクが出てこなくなったら、飛電インテリジェンスの経営状態が悪化してバイクの打ち上げが出来なくなった為であり、撮影の都合ではありません。
 シンギュラリティに到達したヒューマギアの存在を滅亡迅雷ネットが正確に察知できるのでは、飛電内部にスパイが紛れ込んでいるのでは、と不破と唯阿が宇宙野郎に疑いの目を向け、一悶着して至近距離で睨み合う不破と雷電を、両サイドから唯阿とイズが引きはがす、というのは面白かったです。
 やはりイズは、パンチ一発でコンクリの壁ぐらいは砕けるのではないか。
 滅の指示によりプログライズキーを狙う迅を撃退後、飛電と宇宙開発の過去が語られ、私ずっと、衛星1号ゼア→衛星2号アーク(失敗)→新衛星計画封印、という流れだとばかり思っていたのですが、衛星1号アーク(失敗)→再挑戦→衛星2号ゼア、という順番でありました。
 宇宙兄・雷電は、もともとアークの管理用に造られ、デイブレイクを生き延びた旧型であり、スパイ疑惑を主張する不破と角突き合わせた末に、滅亡迅雷ネットのアジトを見つけてやると宣言。雷電・アルト・不破の3人は、衛星ゼアからのデータを頼りに、デイブレイクタウンの再調査へと赴く……。
 「不破を、このままにしておいて本当にいいんでしょうか? いずれ、自らのを身を滅ぼす恐れがあります」
 「だとしても、見守るしかない。方舟が導く、新時代の神話を」
 「……神話?」
 「そう――仮面ライダーの神話だ」
 ZAIAで社長と唯阿が思わせぶりな会話をしている頃、アルト達の前には再び迅が現れ、雷電は“自覚の無い”隠れスパイであった事を説明。自動的に滅亡ギルドへと情報を流すプログラムが仕込まれていた雷電はゼツメドードーに変身して大暴れし、あっという間にゴリラとサメのキーが奪われてしまう。更に他のプログライズキーも奪い取ったドードーアニキは、それを使って衛星ゼアからプログライズキーのデータを強制的にダウンロードし、それを眠れるアークへとインストール。
 「遂に、アークの機能が復元した」
 再起動したアークはプログライズキーの作成を始め、滅亡ギルドを止めようとするアルトは、シャイニングへと変身。優位に戦いを進めるのも束の間、筋肉痛に苦しむシャイニングだが、この事態を予期していたかのようにゼアが構築した新装備・オーソライズバスターがイズにより届けられ、イズ宅急便はすっかり、ギャグダッシュが定着してしまいました。
 ゼロワンは正当性バスターによりドードーアニキを吹き飛ばすと幾つかのキーを回収するが、そこに現れた滅がアーク製のキーを迅に渡し、しかしそれは運命の悪戯から不破の足下へ。
 「ウルフといえば、俺のもんだろ」
 拾得物の所有権を強引に主張し始める不破さん、やはり、「体制の犬」に見えるかもしれないが、俺の魂の本質は「牙を失っていない孤狼」だぜ! プレイが内心気に入っていた模様です。
 「無駄だ。それは滅亡迅雷ネットでなければ使えない」
 「俺がやるといったらやる! 俺がルールだ!!」
 フォージャスティスな叫びと共に、力を込める不破。
 「無理だ! 逃げろ!」
 「笑いなんていらねぇんだよ。必要なのは、怒りだ!」
 不破については以前に、「怒り」と「憎しみ」に押し潰されているばかりではなく、「笑い」の感情を残した描写がされているのは重要な部分なのかも、と触れましたが、ある意味では“第二の誕生の地”ともえいるデイブレイクタウンにおいて、その「笑い」を捨てて、再び純然たる「怒り」に我が身を染めようとする姿により、「笑い」というキーワードが、作品全体に関わる要素として再浮上。
 「デイブレイクのあの日から、俺は怒りで今日まで生きてきた! 滅亡迅雷ネットをぶっ潰す! それが俺の、全てだぁぁぁ!!」
 不破は漲る筋肉で強引にキーをこじあけてオーバーライズし、青き狼、アサルトウルフへと変身。
 ……ところで、第2話の時にも思って書き忘れていたのですが、不破がキーを強引にこじあける変身は、アニメ『無敵鋼人ダイターン3』OPで、主人公・破嵐万丈が鉄格子を強引に押し開くシーンのオマージュだったりするのでしょうか。メガノイド(敵ポジションのサイボーグ)への強い憎悪を原動力に戦いながら、その並外れた身体能力から自身がメガノイドなのでは疑惑(メタ的な範疇ですが)も囁かれる破嵐万丈、というキャラクター像自体が、どこか不破さんと重なっていたりもするので、少々気になっています。
 それはそれとして、ちょっとガンダム系のデザインのアサルトウルフは、社長との筋肉の違いを見せつける正面突破のパワープレイでドードーアニキを圧倒。
 「頭に来るぜ……!」
 「本当の怒りがどういうものか――教えてやるよ!」
 火力不足で押し切れないかと思われたアサルトだが、アルトからレンタルした公認バスターにゴリラパワーを込めたバスターダストで粉砕し、滅亡アニキはまさかの1話で退場してしまうのであった!
 人間の上司にも全く物怖じしないべらんめぇ、という雷電のキャラの面白さは退場前提であったでしょうが、あまりにも都合の良すぎるスパイプラグラムや、あれだけ絆の強調された宇宙弟が後半の物語に全く関わらないなど、やる事が多すぎて、だいぶ荒っぽい展開になってしまったのは残念。宇宙弟に関しては、出来れば次回拾ってくれると良いのですが、それどころではなさそうか……?
 後、不破と「笑い」というキーワードを改めて繋げてくれたのは嬉しかったのですが、高橋脚本だと不破さんの荒み度が急に2割ほど増す傾向があり、高橋さんの中の不破像と、他の脚本家がエピソードを転がす際に用いる不破像との間に存在するギャップが悪い意味で目立っていて、もう少しこのギャップは狭めてほしいところ。
 ドードーアニキを撃破したところで限界に達した不破は、変身解除直後に吐血、という荒技を披露し、アルトとイズに引きずられて撤収。
 「なんなんだ……凄く嫌な気分だ……」
 「迅、おまえがシンギュラリティに近付きつつある証だ」
 滅と迅は逃げる3人を敢えて見逃し、果たしてその見据える先は、どこなのか……。
 「滅亡……迅雷ネットは……俺がぶっ潰す……!」
 アルトの助けを拒んだ不破はよろめきながらも一人でその場を去って行き、孤狼の道の先に、光はあるのか……?
 次回――逃げる奴はテロリストだ! 逃げない奴は訓練されたテロリストだ!!
 年末の一区切りに向けて山盛りといった感じですが、今回は新展開前に色々な理屈をつけておこうとしたら、かえって雑な部分が目立ってしまった感があり、盛り返してくれる事に期待。