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世紀の大発見ネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第21話

◆Episode21「受難サクリファイス」◆ (監督:根本実樹 脚本:村井さだゆき 特技監督菊地雄一
 亜空間から抜け出そうとする鉱石ビーストの姿に少し、『グリッドマン』を思い出してしまいました(笑)
 大地に倒れたネクサスに代わり、ビーストを撃破しようとするナイトレイダーは、戦闘機の必殺砲で致命傷を与えたかに思えたがビーストはなおも立ち上がり、それを押しとどめるネクサスの光の鞭は、非常に格好良かったです。
 肩で息をしながらも立ち上がったネクサスは渾身の必殺光線を放ち、遂に鉱石ビーストを撃破。だが、亜空間を解除後に歩く事もままならずに倒れ込んだ姫矢は、石棺の召喚前に、ティルトの別働隊によって身柄を確保されてしまう。
 一方、根来は新聞社に写真のデータを託し、翌朝のスポーツ新聞に掲載されるビーストの写真だが、ティルトの手は既に報道機関に回っており、その日のスポーツ新聞の一面には、河童や首長竜など、トンデモ寄りの与太記事ばかりが並んでいるのだった!
 というアイデアはなかなか、面白かったです(笑)
 「無駄だとわかったでしょ、何をしても」
 MPに囲まれた根来は逃走し、ティルトに囚われた姫矢は、手術台に乗せられる。
 「我々が知りたいのは、彼の力の秘密です。彼がいつ、どのようにあの力を得たのか。それがわかれば……」
 管理官の指揮の下、スキャニングされた姫矢の記憶が映像として共有され……そちらの隊員(元含む)に撃たれまくってますね!
 こいつらちょっと減給する、と心に誓う管理官だが、肝心の遺跡の記憶は姫矢の心を占める強烈なトラウマに蓋をされて触れる事ができず、記憶の調査を断念された姫矢に、イラストレーターが接触
 (どうして抵抗しないの? もうそんな力もない?)
 (……俺も知りたいのかもしれない。俺の力の意味を)
 ネクサスの戦闘が回想シーンで挟み込まれて、薄暗い展開と映像の中にアクション成分が補給されるのが、今作にしては気が利いた演出。
 (そんなにボロボロになってまで、なぜ戦うんだい? 死んでしまうかもしれないのに)
 (覚悟は出来ている。だが、まだ死ぬわけにはいかない。俺が探し求めている答を見つけるまでは)
 (何を探しているの?)
 (それは……)
 姫矢は何者かの陰謀によって送り込まれた、年上ショートカット恋人未満同僚・佐久田恵とのやり取りを思い出し、この映像記憶がイラストレーターと共有されているのかちょっと気になりますが、イラストレーターは他人のいちゃいちゃ回想も無感動に受け入れそう。
 「何を探してるの? ……姫矢くん、いつも何か探してるみたい」
 「俺は、俺が撮るべきもの、やるべき事を、探しているだけですよ。命を懸ける、価値があるような」
 果たして姫矢は、その答を見つける事が出来るのか……一方、ナイトレイダーでは孤門が隊長に相談を持ちかけていた。
 「隊長……我々が、姫矢さんにしてあげられる事はないんでしょうか? ティルトの組織で、なにか」
 「孤門……姫矢は、組織にとらわれるのを、嫌うだろう」
 隊長が「(心理や立場的に)束縛される」といった意味で使っているまさにその頃、姫矢がティルトに「(肉体的に)拘束されている」のは、念の入ったブラックジョークなのでしょうか(笑)
 「でも……」
 「彼はどんな組織にもとらわれることなく、ただ一人、自分が探し求めるものに突き進んでいく」
 そもそも姫矢と二言ぐらいしか会話していない隊長、ここでキャラの好感度が高かったり人徳の積み重ねなどがあれば「さすが隊長だ」と納得度も上がるのですが、特に好感度もなく人徳の積み重ねもなく、むしろ人間性に疑問があるので「また隊長が適当言ってるな」となるのが、『ネクサス』の色々と辛いところ。
 改築作業の技法としては、ほんの僅かしか言葉を交わしていないにも関わらず姫矢の在り方を見抜く隊長を描く事により、姫矢の心情を補強しつつ隊長の人格を持ち上げようという狙いなのでしょうが、もはや、隊長がそんなものを見抜く事に天地がひっくり返るほどの無理があるので、作り手の考える位置づけと劇中で描かれてきた姿とのギャップが、この辺りは既に修復不可能なように思えます。
 「……ある意味、溝呂木に似ているのかもしれない」
 「え?」
 「俺は時々、そんな生き方が羨ましく思える時もある」
 そして、隊長にスポットを当てる事は構わないのですが、その反動で副隊長の存在感が空気中の二酸化炭素(0.93%)のような事になっており、どうしてそう極端なのか。
 孤門に至っては、あれだけ神経逆撫でを繰り返していたのが嘘のように、副隊長をスルーして隊長にしか話しかけない生き物になっているのですが、やはり、この女についていったら復讐を煽られるだけ煽られて最前線で使い捨てられる事に気付いてしまったのでしょうか。
 その頃、MPから逃走を続ける根来は、妙ににこやかな怪しい男達に声をかけられ、おお、斉藤暁さん(好き)だ。
 (俺は……まだ見つけちゃいない)
 管理官は、ネクサスの発する破壊エネルギーの振動数を突き止めるために姫矢にビースト振動波を照射し、苦悶する姫矢、雑な実験で心停止?! で、To be continued...
 Aパート早々に戦闘を片付け、残り時間を全てドラマパートに注ぎ込む、という『ネクサス』何度目かの構成ですが、ドラマパートを戦闘その他で中断しない事にそこまでの意味と魅力があるのかというと、個人的にはそうも思えず、どうにもこうにも好きになれません。せめて人間関係がもっと立体的に展開してくれればいいのですが、孤門くんのUSBポート数が少なすぎる。