東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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親愛なる隣人達の物語

スパイダーマン:スパイダーバース』感想

 ――「僕はいつスパイダーマンになれるの?!」
 ――「……わからない。でも、信じて飛ぶんだ」


 エリート校の気風が肌に合わず、鬱屈した日々を送っていた少年マイルスは、叔父と一緒に潜り込んだ地下鉄の作業用通路で奇妙な蜘蛛に噛まれた事から、不思議な力を得てしまう。壁や天井に張り付き、五感が鋭敏になり、人並み外れた身体能力を発揮する……それは、スパイダーマンの力! 一方その頃、10年に渡って街を守り続けてきたヒーロー、スパイダーマンことピーター・パーカーには、かつてない危機が迫っていた――。
 「多元世界のスパイダーマン大集合!」×「若き新たなスパイダーマンの誕生」を組み合わせた、CGアニメ映画。
 多彩なアクションに重力方向の変化などアニメ媒体を活かしたスピーディな映像の中に、随所に原作コミックへのオマージュ的な表現が溢れ、時に別の画風さえ持ち込みながら、コミックとアニメーションの境界を行き来しつつ(これもマルチユニバース的という事なのか)、非常に真っ直ぐなヒーロー誕生映画で、面白かったです。
 ビジュアル先行の作風かと思いきや、かなり段取りを丁寧に進めていくので要素が出揃うまで時間がかかるのが難ですが、“居場所”を求める少年――主人公マイルスと、“居場所”を失ったヒーロー――ピーター・B・パーカーの関係が確立してからは非常に楽しく見られました。
 ブロンドの二枚目でBJともうまくやっている二十代のピーター・パーカーと、何者かになろうともがいている十代のマイルス、二人の物語のみならず、ピーター・パーカーを中心として、マイルスとは反対方向に引いていった線の先に、ヒーローとして下り坂でBJとも破綻してすっかりやさぐれてしまった四十目前のピーター・B・パーカーを置いた、というのが今作の肝。
 これにより今作は、スパイダーマンになろうとする者と、スパイダーマンである事から逃げようとして逃げきれずに居る者が、それぞれ「立ち上がる」、いつかヒーローになりたい誰かと、かつてヒーローになりたかった誰かと、双方に向けた物語になっているというのが、映画の作りとして非常に上手かったです。
 また、そこに関わるスパイダーウーマン・グウェンも、流麗なデザインで非常に格好良い。
 事前の宣伝だとコミカルな部分を強く押し出していた印象で、実際に頻繁にギャグは投げ込まれるものの、骨組みの部分は至極真剣なストーリーであり、やや画風が独特ではありますが、ヒーロー誕生物語が好きな方には、素直にお薦め。
 ……それにしても、ゲーム『マーベル・スパイダーマン』でも思ったけど、キングピン凄い(笑)
 そして、稲田徹さんはホント、昭和ヒーロー声。