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開かれたマッスルロード

仮面ライダーゼロワン』感想・第12話

◆第12話「アノ名探偵がやってきた」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:三条陸
 「え?! ラボを立ち入り調査に来るって?! なんでそんな事を警察が知ってんだよ~」
 遡れば第4話の頃は、
 「飛電の社長として誓う。隠し事なんて、俺はしない」
 なんて言っていた覚えがありますが、すっかり、薄汚れた隠蔽体質に染まってしまったな、アルト……。
 唯阿の入れ知恵により警察が社長ラボの捜査にやってくるが、ドードーマギアに対抗可能な新たなキーの製造を中断したくないアルトは切羽詰まった大ピンチ。ところがそこに、「探偵」を名乗る、旧世代型のヒューマギアが姿を見せる。
 「今回の殺人未遂事件には、不可解な謎が多いーー。この私が、みーごーと、解いてみせましょう。敬愛する、飛電インテリジェンス、社長の名に賭けて」
 声質が特徴的な探偵ギアがその場を切り抜ける為にアルトに授けた奇策……が、ラボのパスワードについて問題が発生したと言い訳した上でゼロワンに変身して逃亡、で、逃げた途端にいきなりバルカンに撃たれる、というのはかなり雑。
 特にアルトと不破の現状の関係を考えると、警告も無しに銃撃、は強引も強引で、ここまでなるべく雑なライダーバトルの発生を避けていただけに、ゼロワンとバルカンを軽く戦わせる為だけの衝突、になってしまい、大変残念でした。
 影に陽にライダーバトルを求める声があったのかもしれませんが、キャラクターの心情も軽い扱いになり、シロクマにあしらわれるバルカンの格も下がり、特に不破さんにとっては損しかないバトルだったなと。
 そこを筆頭に、逃亡者ゼロワン周りの展開は、好みからしても過剰にドタバタで、ノれず。
 一方、滅亡迅雷ネットでは暗殺ちゃんが滅の意志さえ無視して独自の行動を取り始め、更に凶悪な容姿となったアルティメットドードーマギアへと変身し、最初はどうなる事かと思ったドードーマギアのデザインですが、少しずつ強化されていく事で強敵感が高まったのは、良い仕掛け。
 イズのプロトタイプにあたり、先代マッド社長からヒューマギアに関わる陰謀の調査を命じられていた探偵ギア・ワズは、兄を称してイズに親愛の情を向けるも冷たくあしらわれるが、アルトへの協力を約束。イズと共に、暗殺ちゃんの素体が、窃盗犯の手で盗まれた後に違法改造されたお祭り用ヒューマギアである事を突き止め、これまでの暗殺ちゃんが全て同じ容姿だったのは、滅亡迅雷ネットが同じ違法整形を施されたギアを入手していた為だったとわかり……滅パパ、割と凝り性。
 声優ギア回の感想で、ヒューマギア専門の闇整形技師とか存在しそう、と書いたらやはり居ましたが……アルトらはともかく、警察やA.I.M.S.が闇ヒューマギア市場について捜査の目を向けていないというのはどうにも無理を感じ、本来はA.I.M.S.サイドから切り込むべきヒューマギアの闇に、話の都合で探偵ギアが介入する事になってしまった、という印象。
 闇市場は物凄く深い所に潜っていて、「伝説の名探偵」だからこそ、そこに辿り着いて飛電の窮地を救えた、というニュアンスだったのかもしれませんが、そこの衝撃度を高めるには周囲のリアクションが薄く、ワズの「いっけん遊んでいるようだが実は有能」という描写に重点を置きすぎた気がします。
 ワズの存在及び描写は、そこからイズに焦点をスライドする前提だとは思われますが、今回の限りではそこまで物語が進まなかったのも響き、話の流れや持ち込んだギミックからすると「刑事と探偵」(或いは「刑事と裏社会」)の方がスマートにまとまる内容を、物語の要請から「イズと探偵」として描こうとした事でフレームが歪んでしまった感。
 滅亡ギルドの手に落ちていなかったお祭り5号を確保しようとするイズ達だがドードーマギアが現れ、バルカン及びゼロワンと交戦。マンガ愛が生んだ合体必殺・情熱ゴリラファイヤーさえ弾き返す究極ドードーの前に二人は追い詰められるが、新たなプログライズキーがようやく完成。
 なにやら胸騒ぎを感じた探偵はマンモスによる質量攻撃を勧めるが、ゼロワンは新たなキーを使用すると、ピッカピッカのバッタと合体。筋肉量が増し、より鋭角の顔立ちになったシャイニングホッパーが誕生したところで、つづく。
 前回からCMに登場し、予告にも登場し、前半ギャグやドタバタでかなり尺を使った上で、新フォームが誕生したところでつづく、というのは率直にガックリパターン。駆け足すぎない事自体は良いのですが、第9話までの詰め込みが詰め込みだっただけに、ここ3話の急な減速に、心が慣れずに困惑が先に立ってしまいます。
 バッタの足がたたまれてボディのウイング部分とマスクの縁取りになる、という新フォームのアイデアは格好良いのですが、やはり、光=筋肉なのか。
 大胸筋が脈動し、シックスバックが誇示されると共にアーマーが剥がれ落ち、つまり、筋肉こそが真の装甲であり、鍛えれば鍛えるほど、無限の力はミサイルさえ弾き返す、筈。
 ゴリラパワーを信じるんだ! (※ライダー違い)
 考えてみれば、ホッパー=バッタ=昆虫すなわち昆虫魂との濃密な関係性は明白であり、真相を求める取材班は、老師グルの伝説を追って、南米に飛ぶのだった――。(『ビーファイター』と『マスクマン』ネタが激しく混信していてすみません)
 総じて、ドタバタ劇調の展開とテンポが肌に合わず、新フォームが顔見せのみで終わったのもマイナス。ワズ-イズの要素を含め、諸々、後編の挽回を期待したいです。