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気分を変えて連続『マスクマン』

 この精神的貯金を活かして、来週一気に『ゼロワン』に追いつきたい……予定。

光戦隊マスクマン』感想・第7話

◆第7話「爆発!ケンタの愛」◆ (監督:長石多可男 脚本:藤井邦夫)
 予告からそんな気配はありましたが、藤井先生が参戦し、ぶれない、本当にぶれない。
 「よーし、俺も可愛い女の子と友達になって、青春しちゃうぞ~!」
 ここまで生真面目なサブリーダー感のあったケンタが リーダー 道行くカップルに嫉妬の炎を燃やすと、スーツにグラサンできめて時代を感じる映像の竹下通りで弾け飛び、戦士の心構え、とは(笑)
 鬼教官に率いられた職業軍人チェンジマン、宇宙で研ぎ澄まされた復讐の刃フラッシュマン、からスカウト式民間人チームに戻った影響もあってか、覚悟完了済みの戦士の顔と、それはそれとして今を生きる若者としての顔と、どの程度のバランスで見せていくのかが調整しきれていない気配が窺えます。
 道行く女性に声をかけるも連戦連敗のケンタは、とうとう犬をナンパして海に行こうとするが、老人を乱暴に扱うバイクの愚連隊を目撃。正義の炎を燃やすも、一歩早く飛び出した女性が老人を助け起こすと勇敢にも愚連隊をたしなめ、気色ばむ男達の不穏な気配を感じたケンタは、これに乱入。
 背後からジャケットを掴んで男二人をバイクから引きずり下ろすと躊躇なく暴力を行使し、サングラスを外してから顔面に拳を打ち込む流れがスムーズすぎるのですが、元々何していた人なんだ、ケンタ(笑)
 愚連隊は這々の体で逃げ去り、思わぬ偶然から助けた女性と仲良くなる……かと思いきや、急ぎの用があると女性は足早に立ち去ってしまい、しかしそれを、地底赤影が見ていた。
 店頭のマネキンの中にしれっと混ざっている地底赤影がやたら格好いいのですが、長石監督の、岡本美登さん愛を感じます。
 チューブでは、赤影の報告を受けたハゲ将軍が、ドールドグラーの解凍をゼーバに要請。
 「優しく可愛い女……面白い」
 ゼーバは将軍の作戦にゴーサインを出し、化粧と扮装で顔かたちのわかりにくい悪役サイドに、徹底して目で芝居させているのが一つの特徴になっています。
 そんなある日の事……どうやら花束常備でバイクを走らせていたらしいケンタ@闇のストーカー候補生は、先日の女性と再会してミユキという名を知る事に成功するが、果敢にアタックを仕掛けようとした所で無粋に鳴り響くオーラ通信機。
 「何してんだ! トレーニングの集合時間はとっくに過ぎてんだぞ」
 「平気平気。たまーにトレーニングなんか休んだって、大丈夫」
 ドスの利いたタケルからの通信をケンタはにこやかに切断し、戦士の心構え、とは。
 ところが、ケンタが隠れて通信中に赤影にさらわれたミユキはドールドグラーに取り込まれてしまい、その姿を写し取ったドールヘッドが偽ミユキに変身すると、ケンタに積極アプローチ。
 俺は美緒を失ったのにトレーニングをさぼってナンパとか絶対に許さねぇと怒り心頭でケンタを探すタケルは、バイクで走り去るケンタ達と行き違いになってチューブの攻撃を受け、海岸ではケンタとドールミユキがきゃっきゃうふふ。苦戦するタケルの元には仲間が駆け付けてオーラマスクし、ヘッドが入れ替わり作戦を進行している間、ボディがマスクマンと戦う、という形で怪人の分離機能を活用。
 ブルーマスクがドグラーボディに囚われたミユキの声を聞く一方、犬に噛まれたドールミユキは赤い砂をこぼしながら逃走し、不審を抱いて追いかけたケンタは、正体を現したドールヘッドの奇襲を受ける。
 「地底獣! ミユキさんはどうした?!」
 「お前を罠にかけるために、腹の中に閉じ込めた」
 ……あ、あの、赤いアメーバみたいな見た目なのに、なんでそんな格好いい声なのドールヘッド(笑)
 渋い声に動揺している隙を突かれ、地底忍法・砂地獄により生き埋めにされてしまうケンタだが、なんとか本部へと帰還を果たし、物事を解決するのは、大体、筋肉。
 本部で合流した5人は情報交換し、ミユキを助けるべく激情にかられて飛び出したケンタの生存を知った赤影は、再びケンタを襲撃。バイクで走るケンタに奇襲を仕掛けると、地底忍法・水走りを披露して、どうしてこんなに忍者押しなのか、『マスクマン』(翌年の《メタルヒーロー》が異色の快作『世界忍者戦ジライヤ』ですが、この当時、「第○次忍者ブーム」とか来ていたのでしょうか)。
 「ミユキの姿をしている限り、おまえにドールを倒す事はできん」
 「ケンタ、惑わされるな!」
 赤影に誘い込まれたケンタは、偽物とわかっていてもドールミユキの顔面に拳を叩き込めず窮地に追い込まれるが、そこに駆け付けたタケルが全力で飛び蹴りをぶち込み、物事を解決するのは、大体、筋肉。
 それはそうだではありますが、攪乱による葛藤が当の本人を置き去りにして筋力に瞬殺されるだいぶ身も蓋もない展開で、それは忍者も再び水の上を走って逃げます。
 戦隊シリーズとしては『電子戦隊デンジマン』から数えても8作目、既に『仮面ライダー』~『ストロンガー』までの放映年数は超えており、純粋にアイデア面での消耗もあるのでしょうが(前年『フラッシュマン』では新たな脚本家を探して、井上敏樹が参加する事に)、シリーズ物にとって不可避なマンネリズムとどう向き合っていくのかが、深刻な課題になっていた時期なのかもしれません。
 同年の《メタルヒーロー》シリーズは、5年続いた広義の宇宙刑事フォーマットから大きく転換した『超人機メタルダー』であり、今作も主題歌バトルを基本の約束事にしていた『チェンジマン』と比べると固定バトル尺は減っているように思えるのですが、ではそこからどう見せていくのか、タケルと美緒のロマンスを軸に3話をかけてオーラパワーの覚醒を描く、というコンセプトが明確だった立ち上がりに比べると、定式のあるキャラ回に入ってから、作劇に迷いが見える気がします。
 赤影を追ったマスクマンはドールドグラーらと激突し、どうもここまで、長石監督が意図的にバトルで主題歌を使っていない節があるのですが、その辺りも含め、アプローチはだいぶ違いますが、シリーズヒーローを捉え直して再構築する過程の試行錯誤、という点において、現在見ている『ウルトラマンネクサス』と、時代を超えて通じるものを感じる部分。……逆に言うと今『ネクサス』を見ている事で、『マスクマン』における時代の中間的作品の部分が気になる、のかもしれませんが。
 ミユキを助け出そうとする黒は、「貴様が、吐き出すまで、殴るのをやめない!」と怒りの連続攻撃を叩き込み、物事を解決するのは、大体、筋肉。
 愛のソルジャーの猛攻の前に、ミユキを解放したドールドグラーはショットボンバーで弾け飛び、巨大戦はあっさりめでフィニッシュ。
 そしてケンタは、ミユキをチューブとの戦いに巻き込まない為に声をかけない事を選び、ミユキがキャンバスにケンタの肖像を描いていた事に気付かぬまま、二人は今は、別々の道を歩むのであった………………EDのいちゃいちゃ回想が、別の意味で突き刺さります(笑)
 ケンタ、闇に囚われるな!(混線)
 タケル×美緒と丸被りになる事を避けてか、悲恋度は薄めで明るい雰囲気が主体も、ラストで独り去って行くミユキの背中はぐっと切なさを漂わせ、酌み取った演出も含めて、今作でも安定の藤井節が炸裂(なお藤井邦夫は、同年の『メタルダー』にも参加して、割といい仕事)。
 前回-今回と、ただでさえキャラクターの固まっていない序盤戦において、マンネリを割り切るのか、新しい見せ方を積極的に組み込むのか、という模索が影響してか、デコボコとした印象のエピソードになりましたが、早めに色々噛み合ってほしいところ。
 次回――いよいよ、モモコ出撃!