東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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迷走迷走大迷走

 ここ数日、めっきり寒くなった結果もののみごとに若干体調を崩した為、本日はざっくり加減でお届けします。

キカイダー01』感想・第21-22話

◆第21話「吸血の館 美人女子寮の恐怖!!」◆ (監督:今村農夫也 脚本:長坂秀佳
 「くそ~~、一度ならず二度までも、この俺を騙すとは……!」
 「騙された、脳の弱さを悲しめ」
 策に嵌まった相手を嘲る言い回しは色々ありますが、これほど酷い言い草を聞いたのは、初めてかもしれません。
 そうか、「脳が弱い」って言っていいのか……に加え、「悲しめ」から迸る、「生まれてきた事そのものを呪え」的なニュアンスが、ヒーローの台詞として凶悪無比。
 ビッグシャドウは、良質な人間の血液を用いてロボットを育てる作戦を発動し、夜な夜な若い女性を襲って血液チェックをするシルクハットの怪しいおじさんにより、今回もやたらに女性の服が切り裂かれる展開に激しく困惑するのですが、映画業界では日活ロマンポルノがスタートした頃であり、演出面でそういう分野からの影響でもあったのでしょうか。
 「背番号16、シャドウロボット、吸血コウモリ」
 女子高生の血液を注ぎ込まれた人形がコウモリロボットへと成長し、なんかもう、本人達がロボットと主張しているだけで、実はロボットではないと解釈するのが、精神衛生には一番良さそうな気もしてきました(笑)
 女子高生の血を集める為、忠誠度100になったハカイダーは女装さえしてみせるが変装マイスター・リエコに正体を見破られ、次から次へとブラストエンドで爆死していく吸血コウモリ。
 唐突に挿入されたミサオとヒロシは新たな吸血コウモリ誕生の場面に行き合うが、もう寝る、とその場に倒れ込むとシャドウ組織には放置され、ゼロワンに投げ飛ばされるも余裕の態度を崩さないハカイダーは、何か切り札でも持っているのかと思えば、ゼロワンカットでさくっと左腕を落とされるとバイクで逃走。
 ハカイダーを追うゼロワンの背後から新たな吸血コウモリが襲いかかり、倒したと思った怪ロボットが繰り返し登場して攻撃してくる、というアイデアそのものは“化ける”可能性があったと思うのですが、作戦の面白さを詰めるよりも映像のショッキングさ優先の作劇と、どうにも巧く噛み合っていません。
 吸血コウモリは女子高生を人質に取ると、人造人間のオイルさえ吸い尽くすという恐るべきドラキュラ首で迫るが、ゼロワンはゼロワンキャッチで受け止めると首を殴り返し、人質は力技で解放。火を噴くコウモリヘッドに本日3回目となるブラストエンドが炸裂して吸血コウモリは全滅し、モチーフへのこだわりの薄い怪人描写・良質の血を求めていた筈なのに切羽詰まると雑に誕生する吸血コウモリ・強引に挿入されたミサオ&ヒロシが筋の破綻を広げた上にその危機がギャグとして処理されてしまう、あまりにあまりな扱いと、端から端まで迷走中。
 問題点は色々とあったものの、まがりなりにも物語の軸となっていた“アキラの背中の設計図を巡る戦い”という要素が、ジャイアントデビル@不完全の破壊後に何故か行方不明になってしまい(ビッグシャドウは諦めていない筈なのですが……)、新たな軸が用意されないままシャドウが場当たり的にキカイダー抹殺を目論み、ハカイダーはずっとこんらんしている、という糸の切れた凧のような展開が続くのは、率直に辛い。
 そこに更に、1エピソードごとの時空の歪みが輪を掛けており、今回、女子高生から誕生するもAパートで爆死(16番)、どこからともなく誕生してハカイダーと共闘するも爆死(17番)、女教師から誕生し人質を取るも爆死(18番)、の3体で「全て倒した」とナレーションさんが言い張るのですが、演出を見る限り、ミサオ&ヒロシに18番が迫った際に、全く反対方向から別のコウモリが現れて退路を塞いでいるのですが(ただし、同じ画面に2体同時には映っていない)、4体目が居るのではないか、吸血コウモリ。

◆第22話「本日の特別授業は殺人訓練?!」◆ (監督:今村農夫也 脚本:島田真之)
 「アジトで、ただ命令を与えるだけのおまえには、シャドウ幹部としての資格は無い。辞めてしまえ!」
 最高幹部に出世したハカイダー、シャドウナイトに対し、早速のパワハラ
 ……まあシャドウナイト、とりあえず幹部の一人ぐらい居ないと格好が付かない程度の存在意義しかない上に、幹部が居ても格好が付かなかったレベルの実力であり、何よりも致命的に着ぐるみがアクションしにくそう、なのが響いているわけですが、前回冒頭で見せた、変態シルクハットおじさんモードの方が明らかに強そう、とはどういう事なのか。
 ハカイダーは、サソリストロングによって奴隷人形に洗脳した少年達をゼロワン抹殺の刺客として順調に育成していたが、秘密のアジトに小学生達が近付き、上層部に走る激震。
 「工事中の理科室に幽霊騒ぎを起こして、みんなを近付けないようにしていたのだが……」
 つい先程まで、小学生暗殺部隊に喜んでいたのに、なんか、子供の安全に配慮するいい人みたいになっているぞビッグシャドウ!
 理科の先生に変装していたサソリロボだが正体を見た少年に逃げられてしまい、少年の身柄にいつものメンバーが絡んでてんやわんやの大騒ぎになるのですが、最近すっかり、リエコとアキラが手を繋いで登場するのがデフォルトになっており、上から下まで迷走中。
 「ハカイダー、貴様には悪いが、ゼロワンの命、俺が貰った。俺の力、よく見るのだハカイダー!」
 「ゼロワンキック!」
 「どわぁ!?」
 新技アイアンベルトでイチローを拘束し、必殺の間合いまで近付くハカイダーだが、幹部の椅子に危機感を覚えたナイトの妨害が入り、悪の内輪もめでヒーローが窮地を脱する定石なのですが、ハカイダーにしろ、シャドウナイトにしろ、ゼロワンとの実力差が大きすぎる為に、ヒーローの側の危機感がほとんど生まれません(笑)
 「パワーアップされたハカイダー、恐るべき相手だ」
 仕方がないので、自分で自分の記憶を捏造するゼロワンだったが、その後は戦闘力10分の1の筈の地下空間で一方的にハカイダーを殴り飛ばすので、大変無慈悲。
 「はははははははは、よくやったぞ。これでジャイアントデビルの秘密を握る、ヒロシ・アキラ兄弟は、我が手中に落ちたも同然だ」
 ハカイダーは少年ヒットマン部隊を利用してアキラとヒロシの仲違いを目論み、唐突にジャイアントデビルの事を思い出すのですが、ハカイダーの作戦そのものが意味不明な上に、前回ミサオとヒロシを放置するという致命的なやらかし直後の為、出血が全く止まりません。
 手裏剣投げを披露したミサオが殺したのは本物のお母さんじゃないから大丈夫だ! とイチロー兄さんが救出を請け負う辺りから本格的に時空の歪みが発生し始め、ブラストエンドの濫用は、大変危険です。
 肝心の少年ヒットマン部隊による危機もジャンプ一発で解決してしまい、ゼロワンリバースにより少年達を気絶させると、ダブルリバースにより正気を取り戻させ、悪に対してどこまでも無慈悲。
 果敢に立ち向かうハカイダーは本日も無様に殴り飛ばされて斜面を転げ落ち、残ったサソリは尻尾から毒ガスを噴射して奮闘するも、ブラストエンドで大爆死。
 果てしなき戦いの道は続き、それを仲良く見送るハカイダーとシャドウナイト。忠誠度100ハカイダーの登場によりナイトの立場が悪くなる姿が強調されたので、一気の退場もあるかと思われたのですが特に変化なく生き延びてしまい、あまり意味の無いW幹部体制が、あまり意味のないままズルズル続いているのも困ったところ(特に派閥形成とかするわけでなく、作戦指揮権も適当ですし)。
 次回――規模の派手なサブタイトルと、予告映像から噎せ返りそうなほど漂う変態怪人路線の噛み合わせは果たしてどうなるのか!