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押せばオーラの泉湧く

光戦隊マスクマン』感想・第4話

◆第4話「燃やせ! F1魂!」◆ (監督:東條昭平 脚本:曽田博久)
 キャストクレジットに金尾哲夫さんの名前があり、今回の登場人物からすると、少年のお父さん役でしょうか。
 光戦隊マスクマンの仮初めの顔であった姿レーシングクラブにファンの少年から電話があり、タケルは少年にレーシングカーを見せる事を約束。だが、少年を乗せた車がチューブの作り出したメビウストンネルに入り込んでしまい、無限に続く異空間を彷徨う事に。
 「日本中のトンネルを、メビウストンネルにするのだ」
 「一挙に地上を闇の世界に変える事は失敗したが、地底帝国チューブの恐ろしさ、思い知らせてやるのだ」
 確かに、作戦が順調に進行すればインフラに深刻な大打撃を与えられそうではありますが、一挙に、嫌がらせ路線になったなチューブ……!
 日本全国の無線通信をオーラパワーで傍受している姿長官により少年のSOSがキャッチされ、救出に向かうタケル達だが、メビウストンネルに弾き飛ばされてしまう。そこに地底忍者赤影が現れて戦闘に突入し、ハルカが物凄くナチュラルに忍者な事が、気になって仕方ありません(笑)
 戦闘員の電磁鞭攻撃を受け、更にアキラがメビウストンネルに吸い込まれそうになり、苦闘の続く5人は変身。
 空中浮揚から印を組むと裸になり、光の壁に突入して一人ずつ変身していく、というのはあまり格好良くないのですが、今後簡略化されるのか。
 赤影一味は撤収し、一度本部に戻ったマスクマンは、一定以上のパワーを持った車ならば、メビウストンネルの異空間を破壊できるという分析結果を伝えられる。
 「姿スーパーF1モデルを改造して、もっともっとパワーアップをはかるんだ!」
 姿長官は、押して駄目ならもっと押してみろでここまでの人生を渡り抜いてきたのか。
 「いつの日か、このマシンを完成させて、グランプリを制覇するのが夢だったのに」
 「レースに出る事なく、改造されちゃうなんて」
 5人は少年を救う為、未完成のマシンを別の姿に生まれ変わらせる事を決断し、5人のこれまでの日常、若者達の私人としての夢の象徴を、素材として解体し、自らの手で兵器として組み立てさせる鬼畜の所業により、後戻り不可能な戦いの道を深層心理に刻み込み、追い込み方がえぐいな光戦隊……。
 侵略者との戦いが始まった以上、社会的なペルソナなど不要! という割り切りぶりが実に80年代戦隊的。
 姿長官は、改造作業を進める5人の元へ黒いつなぎ姿でおにぎりを差し入れ、普段は「ボス」と呼ばせている事が判明(笑)
 今のところ、個人の資産で都心部に巨大な高層ビルを本拠として構え、レーシングチームを運営しつつ5人の若者を鍛え上げ、チューブの侵略に対抗しようとしている大富豪にして篤志家に見えるのですが、各種設備から溢れる趣味感が腑に落ちます。
 (俺が君たちをレーシングチームに組織したのは、その団結力とチームワークを、戦士として活かしてほしかったからだ。君たちはわかってくれているね)
 全てはこの時の為の準備に過ぎない、と表向きの姿に与えた夢と目標を根こそぎ奪い取った上で、自己完結する姿長官、なまじ5人との距離感が近い事で、一方的な「思いやっているつもり」と「わかってくれているつもり」が永久運動していて、とてもタチが悪そうです!
 この辺り、同時代的な無茶は無茶でも、チェンジマンのような軍人(公務員)戦隊の方が、今日見ると受け入れやすかったりして機能的な設定ではあるのですが(『チェンジマン』が時代を超えて評価が高い一因だと思います)、それはそれで、どうしても枠組みにはめる事になってしまう難はあったのだろうな、と。
 F1の魂を捨て、じゃなかった、胸の奥底に秘め、新生したスピンクルーザーはメビウストンネルへと突入。その内蔵するパワーにより異空間の破壊に成功すると少年父子を救出し、5人揃っての名乗りからのバトルは、意外やEDテーマで始動(まあこちらも格好いいんですが)。
 「マシン攻撃だ!」
 超重量の剣を軽々と振るうハゲ将軍や、モチーフ怪人と寄生生物の合体路線である地底獣の二段攻撃に苦しむマスクマンは、クルーザーとバイクを持ち出して蹂躙し、肉体の力、どこ行った(笑)
 前回のロボ、今回の地上マシン、といずれも作品のテーゼと販促事情が巧く噛み合っていない感じはあり、変身段階からパターンを少し変えている事も加わって、戦闘シーンはまだ試行錯誤の色合いが強く窺えます。
 再合体した怪人をショットボンバーで消し飛ばすと、地底ではゼーバ様が自らエネルギー獣オケランパを送り込み、戦闘母艦の出撃シーンでOPインストを使用。二体に分かれる巨大地底獣に苦しむグレートファイブだが、グレートガンで反撃し、合体したところをファイナルオーラバーストで撃破するのであった。
 地底獣&寄生生物のツーマンセルも、巨大戦では単純に数2倍という事もあってロボを苦しめるのですが、逆に合体時の個性が弱くなってしまい、トドメを刺される為に合体する、という作劇になっているのが、まだアイデアを巧く消化できていない感。
 怒濤のプロローグが終わり、5人の若者達の現在の立ち位置を示す、基本設定の確認編。助けた少年との会話で、地上が平和になった暁には、またレースに復帰したい、と「個人」の夢を再び浮き上がらせ、清々しくつづいたところからの、EDいちゃいちゃ回想が辛い。
 このフォーマットに慣れるまで、EDの度に変な精神ダメージを受けそうです(笑)