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光と肉のサーガ、開幕

光戦隊マスクマン』感想・第3話

◆第3話「未知への第一歩!」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 前回ラストで出現した闇の地帝城は、その暗黒の力で太陽を遮り、地上を冷たく暗い闇の世界に変え、いきなり迸るハカイダー部隊ばりのCLIMAX感。
 そして……「この闇の地帝城に打ち勝つには、オーラパワーを引き出すしかない」と、激しく筋トレするマスクマン。
 ……侵略の初手で地上に前線基地を作られてしまうのを含め、光と筋肉の関係性が『重甲ビーファイター』(1995年)を思い出さずにはいられませんが、80年代への回帰的志向のあった『ビーファイター』は今作の影響下にもあったのか、と今更ながら成る程。
 ここに、光戦隊マスクマン』~『重甲ビーファイター』~『ウルトラマンガイア』を、「光と肉の三部作」と位置づける説を唱えたい。
 バレーや大縄跳びを模した謎の特訓で追い込まれる事で変な波長が上がったり、今作の更に源流に昭和スポ根物があるのでしょうが、順調に おかしくなって 成長していく5人は、第5段階の特訓として雪山でザゼーンを組んで精神集中し、ゴールデンコンドル!! じゃなかった、げふんげふん(筆者は、劇中でヒーローが座禅を組む姿を見ると反射的に『正義のシンボル コンドールマン』を思い出す病気にかかっています)。
 無念無想の境地に入ろうとするほど、地底の闇に呑まれた美緒を思い出すタケルはピラミッドフィールドを維持する事が出来ず、一方、地底ではイガム王子が氷漬けのイアル姫に向けて恨み言をぶつけていた。
 「地底貴族の名門、イガム家の一族とあろうものが、恥ずかしい姿をさらしおって……お陰でこの俺は、裏切り者の兄と後ろ指さされ、どれだけ悔しい思いをしている事か」
 救出を願うタケルと、憎しみを向けるイガム、地上と地下の両者から別々の感情を向けてキーパーソンとしてのイアル姫の存在を強調しつつ、イガム王子の立場も補強して、今回も実に手堅い作り。
 「覚えておけイアル姫! おまえが愛した男、口にするも汚らわしい、あのレッドマスクは俺が叩っ切ってやる!」
 眠り姫と化したイアルに向けてイガム王子は吐き捨て、芝居がかった台詞回しが早くも特徴的で良い感じです。「口にするも汚らわしい」って、なかなか言えない!
 王の間ではこの光景がモニターされており、敵意を向けるハゲ将軍をなだめるアナグマ着ぐるみの、ひっきりなしに動き回る目玉が面白い造形。
 地上では、精神集中できないタケルのいちゃいちゃ回想がオーラパワー発現の妨げとなって爆発を引き起こし、揃って斜面を転がり落ちる一同。
 「みんな…………すまん」
 「タケル、水くさいぜ。出来るまで何度でもやればいいじゃないか」
 「そうだよね、みんな」
 「「「うん」」」
 「もう一度挑戦、頑張りましょ」
 君ら、ホントいいヤツだな……!(涙)
 タケルが私情に惑わされるほど、残りメンバーの好感度が上がるのは、実に巧い構造です。タケルと美緒のいちゃいちゃ回想がこの二人の間だけで閉じてしまうと両者の好感度にも悪影響になりかねないのですが、そこから周囲の人間関係へ展開する事でシーンそのものに複数の意味を持たせる事により、二人の関係の重要性を示しつつも、巧くマスクマン全体の描写に繋げているのが、秀逸。
 ……ところで、赤黒青はそれぞれの色ジャージなのに、女性2人は黄と桃ではなく水色のジャージで共通なのは、何故なのか。
 姿長官が女性オペレーターを二人も雇ったせいで、色違いのジャージを揃える予算が削減された疑惑の募る光戦隊だが(オペレーターの一人が白人女性で、ワールドワイド感を出そうとする意図が見えるのですが、官製なのか民間組織なのかも含め、組織の規模は激しく謎)、めげずに修行を再開しようとする5人は、助けを求める美緒の声を聞き取る。
 「美緒の声だ……美緒ーーー!」
 「タケル! 行こう、美緒さんを助けなくちゃ」
 君ら、ホントいい奴だな……!(感涙)
 危うく、主人公が、レース放棄→特訓放棄→修行放棄、の敵前逃亡トリプルプレーを決めてしまう所でしたが、仲間達の総意として、声に導かれて暗闇に閉ざされた高層ビル街に向かうマスクマン。だがそこで待ち受けていたのは、声真似の術で5人を誘き寄せた地底くノ一の罠だった!
 王子とくノ一に挟み撃ちを受けた5人は生身で戦闘員に立ち向かい、早速ぶつかり合う忍者vs忍者! イガムの右のドラゴンと左のドラゴン(ガントレットからの飛び道具)を受けて追い詰められた5人は変身しようとするが、闇の地帝城の力により、変身を妨害されてしまう。
 今のままでは勝ち目は無い、と5人は一目散に逃走し、本部ビルに戻ってきたタケルを待っていた姿長官は、イアルから託された首飾りを、引きちぎる。
 「忘れろ。今は忘れるんだ。……雑念があるからオーラパワーが出ないんだ。……おまえ一人じゃないんだぞ」
 五人全員がオーラパワーに覚醒しなければ、マスクマンは真の力を発揮する事ができない。地底帝国チューブに打ち勝つ為、私情を捨てて大義の為のマシンと化せ、と迫る姿長官がド外道ですが、一人の不覚が四人の仲間の危機に直結するのは事前の修行で映像的にも示されており、巧いところをついてきます。
 5人のチームがなぜ一蓮托生なのか、という要素を一段掘り下げて描いており、タケルと美緒を見守ってきた仲間達の存在が、タケルの背を支えるもう一つの柱になる、というのも考えられた構成。
 レッドマスク抹殺に逸る王子は、戦闘機部隊を連結合体させるまさかのスネークロボで地上攻撃を宣言し、その映像にタケルを先頭に飛び出していくマスクマン。
 「俺は逃げない!!」
 スネークロボの圧倒的巨体と火力に蹂躙されそうになるも、タケルは敢えてそこに踏みとどまり、4人の仲間も、共に立ち向かう事を選ぶ。
 「危ない!」
 「みんなどういうつもりなのかしら?!」
 「――特訓だ!」
 「「え?」」
 「これこそ若者達が、自ら己に課したトレーニングなんだ。自ら危険な状況に身をさらして、絶体絶命の中から、未知の力を引き出そうとしてるんだ!」
 とんでもない事を言い出す長官ですが、「雑念を捨てる」=「生き残る以外何も考えられない状態になる」だと思えば、説明がつかない事もない……のか?
 「みんな、手を繋ぐんだ!」
 爆撃の嵐の中、一つに集まった5人は周囲を包む業火の中で精神を集中し、文字通りの「火事場の馬鹿力」により、はち切れんばかりのオーラマッスルへと覚醒――そう、筋こそ光、肉こそ真理!
 変則的な構成で第3話まで引っ張った“真の力への覚醒”が、結局ほぼ勢いで処理されてしまったのは残念でしたが、「火事場の馬鹿力」=「脳のリミッターを外す」を意図的に行えるようになるのがオーラパワーだと考えれば、筋が通らない事はない……のか?


「光戦隊!」
「「「「「マスクマン!!」」」」」

 金のオーラに命を燃やし、宇宙に続く奇跡の道に覚醒した5人は、今、真の光戦隊マスクマンへと変身する!
 「あの中で生きていたとは……!」
 なんか、ヤバいものに手を出してしまったのかもしれない、と目を見開くイガム王子。
 「イガム! 俺達は不死身だ、許さんぞ!」
 生と死の境界で狂気の臨界を突破したマスクマンは母艦を呼び出し、迫力たっぷりのメカ特撮でスネークメカと激突。
 真の力への覚醒後に主題歌バトルでスーツアクションを期待していたら、そのままメカ戦に突入してしまったのは肩すかしで残念でしたが、ややパターンを変える代わりに、2-3話でしっかりロボ(メカ)を強調する、というのが商業的要請との落としどころであったのでしょうか。
 自由自在に動き回るスネークロボに苦しむグレートファイブだが、電光ブーメランを投げつけてダメージを与えると光電子ライザーを抜き放ち、全身に光を纏って舞い飛びながら切りつけるファイナルオーラバーストでスネークロボを破壊。イガム王子は逃走するが、地上にはまだ闇の地帝城が健在……と思ったら、オーラパワーを込めた光電子ライザーを投げつけると闇の地帝城は割とあっさり消滅し、地上には光が戻るのであった……!
 人体の秘めた神秘のパワーを押し出している割に、オーラパワー覚醒後の活躍がロボばかり、というのはやや作品として齟齬が出てしまった感じですが、やられメカが合体して巨大ロボの相手を務めるスネークロボの趣向は面白かったです。
 長官の下に戻った5人は歓喜を分かち合い、鍛えに鍛えて今の自分の限界を乗り越えて何かを成し遂げる達成感そのものに大きな喜びを感じている様子の5人は基本的にアスリート脳のようで、そう見ると「オーラパワーへの覚醒」とは今風にいうところの「ゾーンに入る」事を自在に行う技能ともいえるのかもしれません。
 一同揃って、今作の主要ギミックである「人の体の秘めた無限の可能性の素晴らしさ」を讃え、和気藹々としたままなし崩しで終わってしまいそうでドキドキしていたら、首飾り、返してくれて本当に良かった。
 「こういうものは、ここに仕舞っておくもんだ」
 このまま終わったら人の皮を被った畜生一直線だった姿長官が、タケルと美緒の絆の証である首飾りをタケルのジャケットの胸ポケットに入れて返すのは格好良く決まり、それを仲間達が微笑ましく見つめるのが、立ち上がりに描かれた“マスクマンらしさ”として象徴的。
 ナレーション「それは、美緒の事は胸の奥底に秘めて戦え、という事だと、タケルは思った」
 オカルトかぶれで特訓マニアで個人の感情を顧みない鬼畜外道の類だとばかり思っていた姿長官ですが、目の前で恋人と死に別れた直後で錯乱状態の男に平手打ちを一閃して復讐の炎に乾燥した薪を屯単位でくべていく某小田切長官よりは、だいぶいい人だな……。
 上述したように、5人の揃い踏みを先送りし、2-3話が実質前後編という変則的な構成で第3話まで引っ張った“真の力への覚醒”が、無理を通して力技なのは残念でしたが、そこはどうしても、80年代~90年代へ向かう、中間期の作品ゆえ、という面はありましょうか。ここで蒔かれた種が(この後の数作は未見なのでわかりませんが)、「力の発現」という要素を切り離す形で、『鳥人戦隊ジェットマン』を経て、やがては小林靖子の諸作などで「真の戦隊になる」というテーゼに発展・結実していくのは、シリーズの流れとして面白いところ。
 次回――撮影当日に、思わぬ雪が降ってしまった、みたいな映像になっていましたが、大丈夫かF1魂?!