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憎しみのネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第14話

◆Episode14「悪魔メフィスト」◆ (監督:根本実樹 脚本:村井さだゆき 特技監督菊地雄一
 憎め……! 憎め……! ビーストを憎め……!
 片や洒落にならない嫌がらせを繰り返す溝呂木、片や憎悪と怨念を煽りまくる副隊長、が一つも意思疎通していないのに完全にベストマッチしているのですが、当然と言えば当然ながら、溝呂木これ、副隊長の人間性を前提として嫌がらせに組み込んでいるな……。
 前回ラストのビースト反応が白い人にキャッチされ、大変珍しく、オペレーションルームで各自が役割分担しながら各方面と連携を取る姿が描かれ、一桁話数の内に盛り込んで欲しかったシーン。
 「ビーストめ……あの家族を襲うなんて。許せない」
 「それでいいの。その憎しみが、戦う力になる。……あたしはずっとそうしてきた」
 「……副隊長は、なぜビーストを憎むんですか?」
 「……同じよ」
 「え?」
 「愛する人達を、ビーストに奪われたから」
 憎しみの絆で信頼度ゲージが急上昇した孤門と副隊長は微弱なビースト反応の元へと出撃し、やはり、人と人が手を取り合うには、共通の敵の出現が手っ取り早いのだ!
 孤門と副隊長が襲われた一家の所持する別荘に到着した頃、同じく別荘へ走る姫矢は、紫色の光弾に狙われる。
 「なぜ戦う? 誰にも賞賛されず、ボロボロになりながら、なんの為におまえは戦う?」
 そして、姫矢の前に姿を見せる、ミスター嫌がらせ。
 「そんな孤独な戦い続けても、虚しいだけだぜ」
 孤門は生き残った子供達を助ける為に別荘へと突入し、ウルトラマンの振動波を感知した副隊長は、森の中で対峙する姫矢と溝呂木を発見。
 「おまえの痛みなど誰も理解しやしない。おまえが今助けに行こうとしている子供達だってな」
 「誰かにわかってもらおうなんて思ってない。俺はただ、俺が得た光の意味を、探し続けているだけだ!」
 どうしても見せ方が、針の飛んだレコードみたいになっている姫矢ですが、溝呂木とは巧く、お互いを引き立て合う関係が成立しており、素直に格好良く見えるのは良いところ。
 (凪……よく見ておけ。これが俺の今の姿だ。俺の力だ)
 物陰の副隊長にアピールしながら溝呂木は折りたたみ傘を左右に伸ばし、ファウストを彷彿とさせる配色だが、より筋肉質な黒い瞳の巨人へと変身する! 脊椎の強調により、ウルトラマンエヴァンゲリオンウルトラマン、というキャッチボールが見えるのは、時代を感じるところ。
 「おぞましい姿だね……悪魔、メフィスト
 白い人はウルトラマン溝呂木に向けて呟き、待機中だったら隊長らに出撃を指示。一方、孤門は子供を盾にする擬態ビースト両親を追い、人の姿をしているビーストを、躊躇なく撃った!
 更には、止めようとむしゃぶりついてくる少年に対して「お父さんとお母さんは、もう死んでるんだ!」と冷酷に断言して突き飛ばし、憎悪こそが漲るパワァー!!
 今作にしては格好いい音楽でネクサスとメフィスト(仮名)が対峙する中、孤門は副隊長の指示で隊長らと合流し、少年少女の身柄を放置している間にますます事態が悪化しているのですが、ナイトレイダーは、ビースト野郎どもを殲滅するお仕事です!
 ……良いのか悪いのかは今後の展開次第になりますが、何が酷いって、発端も糸を引いているのも溝呂木ではあるけれど、全速ダッシュからのドロップキックで背中を押しているのは副隊長、というのが酷い(笑)
 擬態両親は、少女ごと肉の塊となってネズミと思ったらビーバービーストに融合。それに気付いたネクサスはメフィストに阻まれ、それと知らないナイトレイダーは、タンクフォームを発動。
 「コイツだけは、絶対に許さない」
 リコ一家の復讐に燃える孤門に、助けを求める少年の声は届かず、タンクビームはビーバービーストを貫いて、大爆発させる。
 「やった!」
 快哉をあげる孤門に、ニヤリと笑った副隊長がサムズアップを向けるなど、ナイトレイダー全体がかつてない一体感に包まれ、チームの信頼感を上げるのに手っ取り早い方法は、共通の敵を一致団結して葬り去る快感です!
 ヒャッハー! ビーストを撃ち殺すのは最高だな!
 ここで事態の好転も少女の救出も起こらないのは、予想外の衝撃というよりも、今作ここまでの作風だと予定調和、になってしまうのが、変化球多投の弊害ではあり、意外性は皆無なのですが(むしろ助かった方が驚く)、憎しみに後押しされるままに一線を三回ぐらい超えた孤門は、果たしてそのケジメを、いずれ付ける事は出来るのか。
 ネクサスは状況を打破できず、溝呂木の嫌がらせは完遂され、ヒーロー完全敗北をこれだけ正面から叩きつけてくるのは凄いといえば凄いのですが、リコ退場からのここ数話は、いずれひっくり返す(であろう)事を前提にしても、ヒーロー性の破壊に関するグロテスクな指向が行きすぎているとは思うところ。
 ここまでグロテスクにヒーローを破壊しなくては、その先で描きたいものを描けなかったのか……一体そこで今作が何を見せてくれるのか、というのは期待したいです。
 嫌がらせに満足したメフィストはほくそ笑みながら姿を消し、少女を守り切れなかった己の無力さへの怒りか失望か、拳を強く握りしめたネクサスも消えていき、ビーストに取り込まれていた少女は、重傷を負うも一命だけは取り留める……(さすがにこれ以上、後味を悪くするのは回避)。
 救急車で運ばれていく少女を見つめる孤門は、少年の怒りを一身に受け……
 「大丈夫よ。明日には全部忘れてるから」
 相変わらず、MPチーフの人は、孤門に優しいのであった。
 MPチーフの人を、機械的に仕事をこなすだけの冷徹な人物と描かず、機械的に仕事はこなしているが、その裏側に人情が皆無なわけではなさそうな人物、として描いているのは、キャラクターが単純化されすぎずに、良い所。
 EDテーマが変更となり、次回――姫矢と溝呂木が孤門をめぐって火花を散らす! みたいな事になっているのですが、ううむ、ええと、そういう話だったっけ……? 感は激しく募りつつ、孤門は憎しみを力に変えて真の戦士となる事が出来るのか?!
 ビースト野郎どもには二度と太陽の光は拝ませねェェェee、ついでにこの世のリア充どもが泣いたり笑ったりする事も許さなァァィ、なぜなら僕はリコを失ったからぁぁァぁぁッ、 戦士に好き嫌いなんて許されなァァゥゥィィィ■#□%%¥!!