本日2本立て、その2。
『ウルトラマンネクサス』感想・第11話
◆Episode11「人形-マリオネット-」◆ (監督:小中和哉 脚本:長谷川圭一 特技監督:小中和哉)
折に付け触れていますが、如何にも幸薄そうなキャラクターが予定調和的に不幸な結末を迎える話運びが大変苦手な為、リコ絡みの展開に関しては、心が無に近づいています。
「おまえは、人形。俺が作った、美しい人形だ」
謎の声から逃げるように病室から姿を消したリコは家へと戻り、以前に出てきたちょっと気持ち悪い感じの家族はリコの見る幻影であり、以前のちょっと気持ち悪い会話がそのままリピートされる――「理想の家族」が再現されていたからこそ、何やら作り物めいて気持ち悪かった、というのは納得――えぐい展開。
「私って、誰……?」
冒頭、繋がっていない電話に向けて語りかけるリコや、家族団らんを彩る穏やかだったBGMが徐々に不協和音に侵されやがて崩壊するなど、得意技方面で小中監督が冴えを見せる演出そのものは面白いのですが、《ウルトラ》シリーズの従来持つ面白さが構築されていない中でこれを見たいのかと言われると、どうしてこれを見せられているのだろうという気持ちがふつふつと先行してきます。
新たな可能性へのチャレンジ、というより、自己満足の袋小路を見せつけられているというのが正直。
リコの前には鏡の中からファウストが現れ、病院に駆け込んだ孤門はMPの人からリコの住所を教えられ、何故、ティルト関係者ではMPの人が一番、孤門に優しいのか。
「人間よ、貴様等に選択する資格はない。全て無駄なのだ。運命を受け入れ、我らに従え」
孤門の行く手を阻むファウストだが、その攻撃をかき消して姫矢さんが格好良くヒーロー登場すると、亜空間でのバトルに突入。
「私は影。おまえが存在する限り、私が消えることはない」
そろそろ1クールの締めで新展開という事でか、唐突なCGバトルでファウストはネクサスを叩き伏せ……闇属性フィールドの作成にエネルギーを使わず、正面から殴り合った方が強かったのではないか。
俺、戦法、間違えていたかも……と嫌がらせ路線を捨てて調子に乗るファウストは必殺ビームをネクサスにヒット。
「ふん、他愛ない」
稲田ボイスの影響か、爆発に背中を向けて立ち去るヒーロームーヴを思わずキめてしまうが、光を纏い健在だったネクサスの光線を無防備な背中に受けて悶絶する、安定感のある仕事ぶりで一時退場。
一方、ティルト基地では脅迫文の発信源を追ってインテリくんが活躍し、このところ、データ解析などで頭脳派をアピールしていた男性隊員がようやく個性を発揮。
亜空間での戦い、リコの家に急ぐ孤門、ダム付近で観測された発信源を目指す副隊長、が入れ替わり描かれ、今作に欠けがちだったスピード感が与えられてサスペンスを盛り立てます。
孤門がリコの家で目にしたのは、四人家族が暮らしていたというにはあまりにも殺風景な室内と、その一室の壁や床を埋め尽くす、悪夢を具現化したようなおぞましい絵の数々。
「嘘だ…………嘘だ! 嘘だぁぁぁぁぁ!!」
受け入れがたい現実に孤門が苦悩の叫びをあげている頃、記憶が混濁し認識が不明瞭なリコは山中を彷徨っていた。
「教えて……私は誰? ……誰なの?」
(おまえは、誰でもない)
「……え?」
(そう、お前は人形だ。何故なら、おまえという存在は、とっくの昔に死んでいるからな)
リコは思い出す。リコの家族は既にビーストによって殺され、リコ自身は、現場に現れたナイトレイダーの制服を着た男に銃を向けられ、白い閃光に包まれた、その過去を――
「やっぱり生きていたのね……溝呂木、眞也」
「……ただいま、凪」
そして副隊長が銃を向けたのは、かつて副隊長とドッグタグを交換し合った、黒ずくめの青年。過去から甦った悪意が求めるものはいったい何か? いよいよ本番が始まる、という急展開で、To be continued...
生半可なところで留めずに、畳みかける容赦のない真実、の見せ方そのものは嫌いではないのですが、「嫌いではない」と「面白い」はまた別で、次回どん底に突き落とされそうな孤門くんともども、この闇の中にどんな突破口を見出して物語を浮上させていくのか、切実に期待したいです。
今回、やけに格好良かった姫矢さんは予告でも妙に格好いい一方、
「始めようぜ、デス・ゲームを」
そのネーミングセンスはどうなんだ溝呂木。