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魔の山へ飛ばず

ウルトラマンタイガ』感想・第7話

◆第7話「魔の山へ!!」◆ (監督:神谷誠 脚本:林壮太郎
 見所は、トンファー先輩、ネット配信デビュー。
 何者かにつけ回されている気がする、と電波系霊能力ネットアイドル天王寺ボディガードを依頼されたイージスは、藍の次なる配信の為、地図にも載っていない廃村に同行する事に。かつて宇宙から来て災厄を撒き散らしたと伝わる“赤目様”を信仰する村の様子はどこかおかしく……んー…………民俗学的モチーフを取り込んだホラー&サスペンスのパロディ的な見せ方が意図的なのはわかるのですが、パロディとわかった上でも凄く苦手なタイプの過剰演出(プロデューサーの喋りとか、村人の反応とか)で、終始ノれず。
 また、
 妙に親しげにヒロユキと絡む
 ひっきりなしに余計な事を(大きな声)喋っている
 ビジネスと割り切れずにガード対象の不作法を力尽くで止めようとする
 トンファー先輩は、これもはや別人では。
 腹が立ったのでベンチャー企業の社長を殴り飛ばしてみた回を受けての人間的な「変化」と見るにはあまりに雑で(だいたいその後が男たちの挽歌回だったわけで……)、話の都合と演出の勢いでキャラクターの背骨を蔑ろにしてしまい、大変残念。
 ヒロユキはヒロユキで、アイドルに妙に食いついたと思ったら、「反省した?」とか「閲覧数ってそんなに大事なの?」とか、キャラクター性の全く感じられないロボットのような台詞を次々と口にする薄っぺらさで、ゲストとの関係を通して主人公の魅力を引き出す事が全く出来ておらず、ゲストヒロインを軸に展開するのなら、ヒロユキかホマレか、メインで絡むキャラを一人に限定した方が良かったような。
 一件の背後には、プロデューサーに変身した金髪宇宙人の陰謀があり、かつて赤目様を封印した存在の転生である藍の力により、赤目様の封印が解かれてしまい……「藍は本物の霊能力者」とか「古代の巫女の転生」とか「それらの情報を掴んだ上でやたら遠回しな工作をする宇宙人」とか色々とぶっ飛びすぎな上に、どれもこれも第6話までと関連しない要素ばかりで、驚愕というより当惑します。
 金髪宇宙人に関しては、闇オークションかヴィランギルドの関係者という可能性はあり、次回その背後関係に触れられるかもしれませんが、むしろ先に提示する事で、これまでの物語との接点を作っておいた方が良かったかな、と。
 「甦れ!! 古の邪神よぉ!!」
 如何にも三下口調の金髪宇宙人が大仰に叫んでもどうにも盛り上がらず、この後の苦戦も考えると、どうしてこんなキャラ付けにしてしまったのかも疑問。ここしばらくの影の薄さを挽回しようと飛んだり跳ねたりするTさんだが徐々に劣勢になっていき、金髪ソードで切り裂かれるや突然「こいつ、早い!」とか言い出して、安定して弱いなTさん……。
 どういう設定だったのかわかりませんが、アクション描写にこれといってスピード感は無いのに「早い」事にされたのでフーマが登場し、前回に引き続いて格好良くVの字手裏剣で成敗。今回に限らず、フーマのバトル演出はやたらめったら気合いが入っていますが、やりたくて仕方なかったのでしょうか忍者ウルトラマン
 だが岩山の封印が解けてしまい、その内部から、“赤目様”と呼ばれていた巨大な怪獣が出現。立て続けに繰り出された火球を受けてフーマは悶絶し、今が挽回のチャーンスとばかり「最後は俺が決める!!」と飛び出すTさんだが、カウンターを浴びて吹き飛び、安定して弱いなTさん……。
 限りなく透明になっていくTさんもフーマ同様に火球の直撃を受けてのけぞって、でつづく。
 次回、Tさん、夢のV字回復?! ……というか、主役強化回の前編が、本編ここまで描写してきた因縁が一切活用されないこのエピソードで本当に良かったのか。……まあ次回、色々と綺麗に繋がって納得できるかもしれませんが、相性の悪いタイプの演出もあって、個人的にはここまでワーストの出来でした。