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ゆるりとネクサス

ウルトラマンネクサス』感想・第2話

◆Episode02「異生獣-スペースビースト-」◆ (監督:小中和哉 脚本:長谷川圭一 特技監督菊地雄一
 謎のリクルート、謎の怪生物、謎の巨人……人生の荒波に翻弄される青年・孤門一輝は、襲撃現場で死神さんに拾われ、配属先へと向かう車内で諸々の説明を受ける事に。
 すなわち、巨大ウミウシは宇宙から地球に飛来した謎の生物――スペースビーストであり、それを秘密裏に抹殺する事を目的として活動しているのが、孤門がスカウトされた国際的特務防衛機関――TLT(ティルト)なのであった。
 「人間の未来を守る事。それが我々の仕事です」
 孤門はダムの中に隠蔽された日本支部へと案内され、やけに語り口の柔らかくなった死神さんの横顔を、地下の基地へと繋がるエレベータからの明るい光が照らしている、というのは良い演出。
 「……どうします? 今ならまだ後戻りできますよ?」
 果たしてそこで待ち受けているのは、明るい未来なのか、或いは地獄への一方通行なのか……というか、逃げられない所まで連れ込んでおいて今から後戻りできるの?!
 「では、人類の生まれた場所まで後戻りしてもらいましょう」
 って、東京湾に沈められるんですか?!
 多くの人を救うレスキュー隊員を志しつつも、過去のトラウマもあって優秀な隊員ではないという自覚もある孤門は、そこにあるかもしれない“何か”を求めて死神の勧誘に頷き、しばらくこれといって面白くない訓練シーンが展開し、どうした孤門! ×××の××××の方がまだマシだ!!
 今作の「日常の裏側、非日常の世界に存在して人間を脅かす“敵”の存在を知った主人公がそれと戦う選択をする」という基本構造そのものは、山のような類例が存在する極めてオーソドックスな物語なのですが、「主人公が“敵”と戦う強い力を持っている」わけでも「“敵”と戦う強い力を持った存在のパートナーになる」のでもなく、「特に優れた能力を(初期段階では)発揮するわけでもなくチームの新入隊員となる」導入が、あまりにも地味で、話に食いつこうにも餌がどこにも見当たらない状態。
 ヒーローフィクションとしてはそこはストレートにやってほしい所なのですが、その餌となりうるウルトラマン要素は物語におけるミステリ&サスペンスとして設置された上に、推理小説でいうところの「魅力的な謎」として提示されてはおらず、「そもそもどこが謎の本質なのかもわからない」五里霧中のベールに覆われすぎてしまっており、ヒーローアクションとして従来と別のアプローチを取ったにも関わらず、他のジャンルとしての面白さも成立していないというのが、大変残念なところ。
 せめて導入で、面白いミステリの構造が提示できていれば、だいぶ印象が変わったのではと思うのですが……これ、100ページまで読んでも、人物紹介と舞台の描写と会話がダラダラ続いているだけで、興味を引く事件が何も起きないタイプの話ですよ!(笑)
 山中に出現したウミウシに今回も一般市民がぱっくんちょされて“ビーストの脅威”を重ねて強調し、イメージ的にはクリーチャーパニック系のSFアクションをやりたいのかと思うのですが、絵作りとしては東映的というか《平成ライダー》ぽい雰囲気。
 CIC(戦闘指揮所)との連携でウミウシを撃破するナイトレイダーだが、副隊長は現場で再び革ジャンの男を目撃し、第一印象は響鬼さんだったのですが、改めて正面から見ると始さんにも少し似ている(立ち方か?)。
 孤門と彼女のいちゃいちゃシーンは、ただでさえ遅い今作のテンポが更に落ちる上、待ち受ける不幸の前振りにしか見えないので、苦手。そして、約1ヶ月ぶりの電話で「君のすぐ近くに居る」と背後からサプライズを仕掛けるとっぽい系好青年・孤門(というかこのカップル)への好感度がいまいち上がってきません(笑)
 この二人の描写の方向も今作におけるリアリティ意識の一貫ではあるのでしょうが、それが面白いかというと、現状、パズルのピースとしても遠くに置かれすぎている感で、完成図を想像させる手がかり一つ一つの遠さも、今作立ち上がりの大きな難点。
 訓練期間を終えた孤門が正式着任して間もなく、これまで以上に巨大なビーストが出現。カタツムリの角的な部分がグルグル動いている巨大ウミウシは大変気持ち悪く、ナイトレイダー相手に巧妙に人質を取るウミウシが、学習する群体である事が示唆。
 現場にはナイトレイダーだけでなく革ジャンの男がちょっと疲れた顔で駆けつけ……多分、暑い。
 銃撃を躊躇うナイトレイダーにはCICから「被害の拡大を防ぐ為に多少の犠牲は飲み込め」と非情な指示が下されるが、その時、孤門彼女とは正反対の露出度で頑張る革ジャンさんが、刀を抜き、腕を前から後ろに一回転、とでもいった動作でアイテムを掲げ、銀色の巨人へと変身。
 シリーズ恒例の巨大化バンクから大地に降り立ち、第2話にしてヒロイックに登場したウルトラマンは、手刀から光の鞭を放って人質を救出。改めて巨大ウミウシへと向き直る巨人だったが、副隊長はその背後に銃撃を浴びせ……
 「やめろぉぉぉぉ!!」
 と孤門が絶叫したところで、to be continued...
 ……て、えええええ。率直に、次回に興味を引くどころか、酷すぎる引き。
 ようやくウルトラマンの変身→降臨シーンが描かれ、いざ怪獣とバトルだ、と膨らんだ期待を裏切る人命救助のみで次回へつづく、は深いガッカリ感しか残らず、30秒前に生じたワクワク感を返せ、という気分です。
 「主観人物」と「ウルトラマンの変身者」を分ける、という挑戦的なコンセプト(単純に考えると「心」担当と「力」担当という作劇は予測されますが……)には一定の面白みを感じるものの、さすがにここまで大きな肩すかしを食らわされると、“物語への興味”そのものを維持するのが難しくなるレベルで、もしリアルタイム視聴だったら、ここで脱落していたかも。
 まあ今回は配信追いかけですし、序盤に関しては割り切って緩く見ていく腹づもりでおります。
 次回――とりあえず、革ジャンさんと孤門&副隊長が接触してくれるようなのは有り難いですが……たぶん何もスッキリはしないだろうなという信頼感(笑)