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風花雪月

ファイアーエムブレム 風花雪月』はじめました

 今回の手槍は、水平に飛ぶ。
 不安と期待が半々ぐらいで始めたシリーズ最新作、20時間ほどプレイした時点での感想を、ストーリーに触れない範囲で軽く。
 物語の舞台は、小さな火種は各地に燻りながらも、帝国・王国・同盟、に三分される事で各勢力の均衡状態が保たれた状態が数十年に渡り続く、フォドラ大陸。かつて他大陸から侵攻を受けた際に三国が一致団結してこれを撃退した歴史から、大陸全土に多くの信徒を持ち、独自の騎士団さえ有する巨大宗教団体・セイロス教の名の下に設立された士官学校には三国の若者達が集い、傭兵である主人公は、ある経緯からそこで教師の任に就く事になる……。
 士官学校の3つの学級は、帝国・王国・同盟、3つの国の出身者別に構成されており、主人公はその中の一つの学級を選んで、生徒を育てながら月ごとの課題(つまるところ戦闘)に挑む事になり、傭兵にして教師にして指揮官という、三足の草鞋を履く事になるのであった――。
 というわけで今作では、シリーズ元来の持ち味であった、プレイヤーに行間を大きく委ねてテンポ良く進行していくシミュレーションゲームとしてのリズムと、キャラクターや物語の掘り下げにウェイトを置きたいストーリー部分の強化との噛み合わせに苦慮していた近作に対し、従来作におけるインターミッションパートを大幅拡大する事により、シリーズが培ってきたシミュレーションRPGとしてのシステムを土台にしつつ、ゲームの進行を、シミュレーションパート(戦場)とアドベンチャーパート(士官学校)に割り切って分けるという、大きなモデルチェンジ。
 シリーズ従来作の進行が〔マップ→インターミッション→マップ……〕だったとすれば、今作は〔学園パートと戦場パートが一体化した章形式〕の進行であり、似た構造の作品をあげるとすれば、古いゲームの名前になりますが、『サクラ大戦』シリーズが近いでしょうか。
 アドベンチャーパートでは、士官学校の寮及びその母体であるセイロス教の修道院付近を歩き回り、施設を利用したり生徒達と交流を深めながら授業で生徒達の技能を上げ、シミュレーションパートでは、戦闘を通して生徒達のLVを上げ物語を進めていく、というのが基本的な構造。
 学園パートでは修道院マップを歩き回る散策の他、フリーマップに出撃して戦闘経験や資金を得る事も可能であり、限られた行動回数を活用して何を優先しながら生徒達と自身を育成していくのか、というスケジューリングとリソース管理の要素が入り、もう一つのシミュレーションパートになっているのは、頭も悩ませ秀逸。
 また、担任学級以外の生徒達、多数の学園・修道院関係者も散策マップに存在しているので、限られた生徒達だけに関わりが固定される事なく、多数の登場人物達の誰にどう関わっていくのかをプレイヤー自身がコントロールしていけるロールプレイ要素が大きいのは、非常に良いところ。
 なお主人公は、何やら事情があるらしい父親(傭兵)により戦働きだけを教え込まれた為に一般常識に非常に疎く、それを理由に生徒達に色々と解説してもらう事でプレイヤーと知識を共有していく仕様なのですが、あまりに世界標準で非常識すぎて、無表情な殺戮機械と化しており、父さん、色々、やりすぎたのでは、父さん……。
 その辺り、どこか謎めいた主人公の素性も物語に関わってきそうな気配なのですが、世界観における重要なキーワードを最初に強調するのではなく、物語や支援会話を進めていく事で、この世界のありようが徐々に見えていく、という作りになっており、今のところは事故は起きていませんが、この見せ方が上手く行くのかどうかは今後の展開次第といったところ。
 支援会話は大幅に強化されており、特に大きいのが、イベントシーンにキャラの動きと場所の背景が加わった事により、状況設定の臨場感が増したところ。これは従来作のバストアップイラストのやり取りに比べて、グラフィック強化の恩恵が強く出た要素になりました。今のところ内容も、個々のキャラの背景をしっかりと掘り下げていく形になっていて、悪くない印象。
 どの会話もそれなりのボリュームがある上に、別学級の生徒とも存在する場合があって組み合わせ数が多く、コンプリートしようと思うと物凄く大変そうですが……。
 大変といえば、学園パートのマップがかなり広い上で、なるべく行き止まりのストレスを無くしたかったのは細かい道をあちこち繋げた結果、かえって現在地がわかりにくくなる事態に陥っており、慣れるまでは歩き回るのが大変。……まあその分、ショートカット機能がどこに誰が居るかも確認可能で、優秀なのですが。
 シミュレーションパートは、難易度:ノーマルなら何度でも挑戦可能なフリーマップの存在もあり、今のところ緩めな感触。経験値のリソース管理が無いだけでだいぶ変わるので、シビアにやりたい人は、ハードにおいでよ、という雰囲気です。
 アドベンチャーパートとシミュレーションパートのバランスがどの辺りで収まるか、会話ボリュームは凄いけどゲームとしての奥行きはどれぐらいあるのか、などはもう少し進めていかないと判断つきませんが、現在のところ、かなり楽しくプレイしてします。
 キャラクターを「学級」という単位にする事で、普段なら好きではないタイプのキャラ、第一印象のあまり良くないキャラでも、イベントシーンにおけるそれぞれの役割、いわゆる、わちゃわちゃ感を見せられている内に、なんだかんだと嫌いにはなれなくなっていくというのはあり、そこに学園生活の味付けも加える事で、各キャラクターに思い入れを持たせていく設計は巧み。
 シミュレーションRPGとしての土台の強さは間違いないので、育成システムとのバランスそしてストーリーがうまく噛み合ってくれるのを期待したい。
 ……あ、書くの忘れていましたが、選んだのは黒鷲の学級です。理由は素直に、エーデルガルト様が一番好きそうなキャラだったから。青い王子様からも好みの気配は出ているので、2周目やる事があれば、王国にしようかなと。黄色も、やっていれば愛着が湧いてきそうな作りではあるのですが、とりあえず三番手。