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駆け込み……と思ったら次回一週休みだった

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』感想・第13話

◆第13話「総理大臣はリュウソウ族!?」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:山岡潤平
 比較的知名度のあるゲスト(中越典子)が投入された結果、必然的にゲストの心情中心のエピソードになり、いやあの、もっと他に掘り下げるべき心情が沢山あるのでは?! となった第13話。
 ラスト、白い薔薇をバックに夜の街を闊歩しながら去って行く姿が数カット使って描かれるのはもはやギャグの領域になっていましたが、再登場の予定とかあるのでしょうか……?
 で、それはそれとして、終始ノリにくい、パッとしないエピソードだなと感じていたのですが……これまで、コウの発言以外には全く取り上げられず、劇中におけるリアリティ皆無だったリュウソウ族の長命設定が、初登場のゲストキャラによって事実認定された上で、ねっとりじっくり長命種としての哀しみを語られても、それがコウ達のこれまでの描写と全く繋がらないので、100%場外乱闘。
 野球中継の筈なのに、何故かカメラがずっと、外野スタンドの客席で行われている卓球を映しているような気分。
 ゲストである狩野首相とコウ達は、リュウソウジャーとして「選ばれた/選ばれなかった」という分岐による使命感の差を抱えている、という事なのかもしれませんが、今の今まで、コウ達に長命種らしい心理や反応が描かれた事が皆無なので、ゲストが突然、長命種って哀しい事が色々あって私もう限界! と騒ぎ出すも、「それはいったい、どこのリュウソウ族の話ですか?」という独り言にしかならず、感情移入もできなければコウ達へのフィードバックも発生しない、という深刻な断裂。
 せめてトワの知らないバンバの幼年期時代に触れるとか、リュウソウ族の使命についてもう一歩踏み込むなどあれば良かったのですが、結局また、以前にも書いた「素体キャラクターとリュウソウジャーの間が物語として繋がっていかない」という今作の根幹的短所が、「素体ゲストがリュウソウ族」であるにも関わらず、そのまま反映されてしまうという大叫喚地獄
 その為、
 「おまえはリュウソウ族だ!! ……おまえは、リュウソウ族として生まれた。カードゲームと同じ。配られたカードで、勝負するしかない」
 というバンバの言葉も、劇中で曖昧な扱いの続く「リュウソウ族」を持ち出して一方的にバンバが宿命を語っているだけになってしまい、その宿命を背負う事に対する想像を刺激したり、ゲストやバンバの抱える宿命と人生の葛藤というのが、もう一つ見えてきません。
 バンバにもバンバなりの(出来ればリュウソウジャー全員の)長命種としての想いがある事を描いて(匂わせ/想像させて)こそ、今回のゲストを出した意味のある“物語”になると思うわけなのですが……やはり基本的にメインライター&プロデューサーの劇作に問題があるのか、加藤監督以外と絶望的に脚本の相性が悪いのか、第11-12話は、(多少やりすぎもありましたが)加藤監督がフォローした部分が、私が今作で気になっていた部分と奇跡的に合致しただけだったのかも、という気がして参りました。
 また、少なくとも結構な大きさのビルが一つ消滅したのが明示された上で、首相ががもはや自身の生み出したマイナソー被害に痛痒を感じていない姿が描かれている以上、バンバにとってはもはや彼女は“斬る”対象では、と思ったのですが、そこに一切踏み込まなかった半端さも残念で、つまるところ、そこに触れかねない構成と描写自体に問題があったと思うわけですが。
 あと、「その人から自然発生的にマイナソーが生まれた」と、そもそもドルイドンと関係なくマイナソーは発生するものであり、リュウソウ族(リュウソウジャー)はそれと戦ってきた、という点を改めて拾ったのですが、「クレオンが人間からマイナソーを作れるようになったからドルイドンは地球に帰還した」というミスディレクション風味の濃い推測に基づき、まがりなりにも一本化していた「対マイナソー」と「対ドルイドン」が、本質的には別々の要素であると再提示したのは、個人的には変にややこしくした印象。
 なんとなく今作、長期的な仕掛けを目論んでいる雰囲気はあるので、3クール目辺りで色々と一本に繋がって「おお、そういう事か!」となる可能性はありますが、とりあえず目前のエピソードの構成があまりに雑すぎて、全体の構成にも信用はおきにくい……。
 勿論、「マイナソーの弱点(撃破手段)」と「マイナソー素体の素性」には何の関連もなく、せめてそういう、基本の約束事ぐらいは整備してほしいのですが……(それをやらないと、限られた時間の中で物語をスムーズに進行させる為の説得力がますます生じなくなるので)。
 ピラミッドマイナソーの本音光線を浴びたピンクからブルーへの
 「いっつも難しい事考えてるような顔してるけど、どーせなんにも考えてないんでしょ」
 は確かに酷かったけど、
 「いや、ナイスだ。アスナは時々、ミラクルを起こす」
 という、ピンクのドジっ子スキル発動を期待して高速回転させるブルーも十分に酷かったと思うので、戦い終わった後に
 「もう普段どんな顔していいのかわからない」
 とメルトが落ち込み、膨れっ面で黙り込んでいたアスナが「本当はマイナソー倒す作戦を考えてくれて感謝している」ともう一つの本音(……?)を告げてみんな照れ笑い、のシーンを描く必要があったのか困惑というか混乱したのですが(単純に、一件落着としても首をひねりますし)、ここまで来ると、たとえ時間はあっても素体ゲストのテーマとメインキャラの心情は意地でも繋げない、という何やら確固たる意志の存在さえ感じます。
 エピソードとしては、緑と黒のマスターが現在行方不明である事に触れる、という最低限の機能は果たしましたが、本当に最低限で、こんなグダグダな状況で次回、予告時点で山盛りの具材が丼からこぼれ落ちている感のある新戦士登場!
 そしてドルイドンに本格的な上役が?! というのが気になりますが、これは声、稲田さんか……? 今作の幹部声優は、過去作でお馴染み路線でいくのでしょうか。