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エイリアンは絶対許さない

ウルトラマンガイア』感想・第39話

◆第39話「哀しみの沼」◆ (監督:北浦嗣巳 脚本:川上英幸 特技監督:北浦嗣巳)
 注目は、地面を走る触手に片手打ちで銃弾を命中させる我夢。
 か、梶尾さんより上手い……?!
 そのすぐ後に、重火器を構えたライトニングぽっちゃりに
 「更に上がった射撃の腕、見せてやるぜ」
 という台詞があったので何かのフラグだと思ってワクワクしていたら、これといって回収されなかったのは残念。
 妖怪が住むと伝えられ、地元の人々が近寄らない沼の近くの小屋に潜伏する怪しい目出し帽の男達……の一人が、六角! 六角じゃないか?! つまり、スペースマフィアの生き残りなのか、この人達。
 (※役者さんが、多分、『特警ウインスペクター』でセミレギュラーだった六角刑事を演じていた人で、後に『ブルースワット』でエイリアン人間体を演じており、特に名前が無いので感想中で六角エイリアン扱いしていたという、極めて個人的なメタルヒーローネタで自分でも後で何を言っているのかわからなくなる可能性があるので注記)
 だが翌朝、沼のほとりでオルゴールに耳をすましていた老人を短絡的に銃で脅した二人は、突如として沼から飛び出した触手により水の中に引きずり込まれてしまい、スペースマフィア、今度こそ壊・滅!(待て)
 スタンダードな演出でありますし、この時点で約10年前の作品ではあるのですが、どうしても偏愛する『ゴジラvsビオランテ』を思い出してしまい、
 「見ろ我夢。これが、稲森博士だ」
 「……藤宮……君はまさか……博士とリリーの遺伝子にG細胞を融合させたというのか?!」
 という夢の展開が脳裏をよぎります。
 「近藤……いったいどうしたんだ、おまえは……」
 現金輸送車襲撃犯(引きずり込まれた男達)を追っていた警察と、一ヶ月前に発射された地底貫通弾の影響を調査し続けていた我夢の前で再び沼の中から触手が出現し、ガードによる本格的な調査がスタート。我夢は頑なに沼に人が近づく事を拒む老人――平野から、沼に向けて呟く「近藤」という名と、沼に潜む怪物に隠された真実を教えられる。
 「……私と、近藤は、かつて、軍の秘密研究所に、居たんだ」
 戦時中、共同で細菌兵器を研究していた近藤と平野は、人間を生物兵器にする人工細菌の開発に成功。だがそのあまりの恐ろしさに実用化に反対し続けた近藤は、逆に上層部による見せしめとして人体実験の材料にされてしまい……異形の怪物に。近藤はその場で、友人であった平野を除き、上層部と職員を皆殺しにして秘密研究所を壊滅させると、沼の中へと姿を消していた。
 「……怪物となった近藤は、どんな方法を使っても、死ぬ事が出来なかった」
 深い沼の中に隠れ続ける近藤の、唯一の心のよりどころは残された一人娘であり、平野が手にしていたオルゴールは近藤と娘との思い出の品であったが、その少女もまた、空襲で死亡。近藤を救えず、その娘を守りきる事もできなかった悔恨を胸に、平野は贖罪として、沼の底に閉じこもる近藤を見守り続けていたのだった……。
 “核兵器のメタファー”として持ち込まれた地底貫通弾が過去の“戦争の罪”と結びつけられ、ひたすら救いの無い出来事が語られるのですが、水中に引きずり込まれた強盗二人に続き、回想シーンとはいえ生身の人間が明確に殺害される描写が続くのは、今作ではかなり珍しい見せ方で、エピソード全体を独特の雰囲気にしています(一方で、冒頭の強盗2人組や途中のライトニングなど、全体のバランスを取る意図だったと思われるコミカルな描写が変な浮き方をしており、出来ればこういった緩めるシーンは、現場とは別の場所(エリアルベースとか)で挟んだ方が良かったかなと)。
 平野老人は平野老人で、強盗二人の失踪を証拠隠滅する為に、奪われた現金その他証拠品をトランクに詰めて沼の底に沈めてしまうぶっ飛びぶりなのですが、細菌兵器の研究を続けた末に友人が異形の怪物と化して大量殺戮の現場を目撃し、残された娘も空襲で失うという体験をしていたらそれは、ぶっ壊れるな、と。
 長らく、地上の人間に危害を加えるような事は無かった近藤だが、沼の地下に発生した有害物質の影響を受け、凶暴・巨大化。遂に巨大な怪獣と化して、地上に出現する。
 「退避、退避だ!」
 と叫びながら目の前の民間人を置いて逃走する梶尾は、『ガイア』としては致命的な雑さ。
 今作ここまで、こういった「リアル系防衛組織の落とし穴」を上手く回避していただけに、3クール目も終わりに、高層ビルから顔面ダイブしてしまったのは、大変残念でした。
 「これが……これが地底貫通弾への、答えなのかーっ!!」
 毒々しいデザインから、触手を大きく振り回してのビル破壊が大迫力な怪獣に対してガイアは変身し、前回の参謀の台詞で示されたように、地底貫通弾は現実の兵器のメタファーであり“血反吐を吐きながら続けるマラソン”の『ガイア』的象徴ではあるのですが、詳細不明の汚染物質と詳細不明の怪物への影響は詳細不明だが地底貫通弾が原因だ! というロジックはあまりにも乱暴で、度を超えて戯画的になってしまったというか、地底貫通弾を悪者にするという結論ありきの陰謀論めいてしまって、それを包み込む“物語”として機能できなかった印象。
 地底貫通弾への問題意識そのものをもっと時間をかけてキャラクターと視聴者が共有していれば話は別ですが前回の今回ですし、それを撃った柊が組織外部に設定された都合の良い悪役にもなりすぎており、これなら地底貫通弾は「XIGがやむをえず撃ってしまった」とした方が、我夢(達)の抱える問題意識の強さに説得力を与えられた気がします。
 夕陽を背負って光速キックからの投げ技を決めるも沼怪獣の触手に絡め取られてしまうガイアだが、怪獣は平野の呼びかけとオルゴールの音色に沈静化。
 「怪獣が……泣いてる……」
 その姿に敦子が呟きジョジーも涙ぐみ……今作、基本的には出来がいいのに、“女性キャラの扱いが妙に雑”な部分が定期的に顔を出すのですが、玲子さん説得モードへの違和感にも繋がる話として、とりあえず情緒的な台詞は女性キャラに言わせておけばいいだろう、的なやり口になっていて、まるで「キャラクターの台詞」になっていないのが、残念。
 一度は動きを止めたかと思われた沼怪獣だが、汚染物質の影響はもはやその脳を蝕んでおり、平野さえ攻撃。梶尾が今度は身を挺して老人を助けて帳尻を合わせ、ガイアはアグトルニック。久々のフルモーション地球の隙間光線……と見せて、地球浄化光線を放ち、その光を浴びた怪獣は最後に近藤の心を取り戻すと、平野に感謝を伝えて消滅するのであった……。
 そしてこれまた今作の短所が顔を出してしまうのですが、ガイア、基本的にメンタルその他が我夢寄りというイメージなので、初期シリーズのウルトラマンのような(?)超越者としてのざっくり解決、を見せた際の違和感が強く、今回のようにラストでいきなり今までなかった手段で解決されると、どうもスッキリしません。
 我夢なりに色々と悩み、考えた末に、今回の光線が飛び出した、という事なのでしょうが、超越者というよりは人間の思考寄りで描かれているガイアの場合(そこに生じる煩悶が作品の魅力なわけであり)は「飛び出すに至る経緯」にもう一手間掛ける必要があるように思え、飛び出した事にも、飛び出した後にも、自身の行為に対して我夢のリアクションが無い、というのは、厳しく感じる部分です。
 そんなわけで、定番のアイデアを進行中の作品テーマと繋げてまとまりよく仕上げた、という点では、飛躍は無いが破綻も無いといった出来ではあったのですが、
 〔防衛隊描写・テーマ性のウェイト・女性キャラの扱い・ガイアと我夢の関係性〕
 という今作の抱える(潜在的)問題点と明確な短所がまとめて悪い方向に噴出し、一つ一つは小さな傷だがまとめて出たら箱が割れた、みたいなエピソードになってしまいました。
 (人が……人を許さない限り、争いは、なくならないんだ)
 平野老人の言葉を我夢が噛みしめるように呟き、つづく。
 次回――堤チーフ、起死回生のメイン回?!