東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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 気候の変化に肉体がついていけていない今日この頃、5月入って、新しい作家に触れようキャンペーンの結果、少々、脳が情報過多気味になってきたので、困った時の有栖川有栖に戻りました。
 特に火村シリーズの短編における、本格ミステリとしての雑味のない読み口は、改めて抜群。
 これには勿論、シリーズとして探偵・探偵助手・警察との協力関係が確立しているというのは大きく、言ってみれば短編ミステリをスムーズに成立させる為の2時間ドラマ的な世界が構築されているわけですが(私の脳内作家アリスのイメージが中村梅雀っぽい感じなのは多分このせい)、その中で光るのは、火村先生の、“探偵としての理由”。
 私は割と、探偵(役)がなぜ事件に関わるのか、というのは気になる(物語としてしっかり処理されてほしい)方なのですが、火村シリーズにおいてはそこにキャラクターの情念の核を置く事で、“探偵が事件に向き合い謎を解く”という行為そのものが「火村英生の物語」になっている、というのが個人的に好きなところ。
 またそれにより、謎解きはシステマチックな一方で、その行間を読者が積極的に埋めていきたくなるように仕向けられている、というのが良く出来た設定だと思います。
 難点は、しばらく経つと、「国名シリーズ」のどれを呼んだから、わからなくなる事。