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さっくりリュウソウジャー

『騎士竜戦隊リュウソウジャー』感想・第4話

◆第4話「竜虎!!最速バトル」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:山岡潤平
 注目は、名乗りバンク時の飛翔ポーズがちょっと可愛いリュウソウブラック。
 …………手の広げ方が、乙女っぽいのか。
 神殿の位置が書かれた地図(居候先から勝手に拝借)を餌に、緑黒に接触するコウ。それをスピードで奪い取ろうとするトワと、咄嗟に凌ぐコウ、という二人の体術を見せるのが、面白いやり取り。
 「俺と勝負しよう」
 「え?」
 「おまえが勝ったら、仲間になってやる。俺が勝ったら、その地図、ちょうだい」
 トワの提案を受けたコウは、意外や真っ向からの剣の勝負を受けて立ち、やはり戦闘民族脳……かと思いきや、剣閃で落ち葉を加工して造形を競い合うという変化球で、それに付き合う弟のノリの良さに、お兄さんは早くも頭痛をこらえていた。
 一方、街には水鉄砲を撃ちまくるイカマイナソーが出現し、メルトとアスナから連絡を受けたコウを引き離し、一足先に駆けつけたトワとバンバのリュウソウチェンジが初披露され、前回の登場時にも用いられた、この二人用?のテーマ曲が格好いい
 「疾風の騎士・リュウソウグリーン!」
 「威風の騎士・リュウソウブラック!」
 そこにコウも追いつき、勇猛の騎士にリュウソウcool!
 「も~~、いっつもいっつも、邪魔ばっか。暇なの?! 大きくなるまで、待てよ!」
 勝負の続きだとトランプ兵の撃破数を競う赤と緑の姿がしばらくコミカルに描かれ、黒にたしなめらた両者はイカマイナソーを追うが、横から現れたタンク様に2人まとめて吹っ飛ばされ、タンク様、300ポイントをゲットです。
 だがそこに背後から黒が切りかかり、劇中始めて、タンク様と真っ向勝負で後れを取らない姿で、手堅く実力者描写。
 「ほぅ……貴様はなかなか骨がある」
 「貴様も、骨のないイカも、まとめて倒す!」
 タンク様の大技も固ソウルで耐えきる黒だが、間合いを離したタンク様はイカを連れて撤収。水鉄砲に撃たれた人々は深い眠りについており、マイナソーの素体を捜した5人は、それが少年であった事から、黒と緑の騎士竜捜しを優先する事に。
 一応、コウが割って入って騎士竜捜索を促すのですが、前回の今回で、素体が少年だと剣を向けるシーンも無かったのは、黒緑の信念の描き方としては一気に薄味になってしまってガックリ。自主規制的な何かで少年に剣を向けるシーンがそもそもNGだった可能性もありますが、それなら今回の仕掛け自体を変更するべきで、優先事項の取捨を間違えた気がします。
 赤青緑と桃黒の2チームがそれぞれ神殿を発見するも中に入れずにいる内にマイナソーが巨大化し、慌てて街に戻ったリュウソウジャーは騎士竜王を発動。
 2-3-4話と、〔人間大マイナソーへのフィニッシュは無し → 巨大化したマイナソーに騎士竜王で対抗〕という形式が続いているので基本はこのパターンになるようですが、パターンそのものに新味があった2-3話に対して、3回目ともなると、気がつくとマイナソーが巨大化している、という見せ方が著しく劇的さに欠けるのが気になってきます。
 「人間大でフィニッシュの後に何らかの要因で巨大化する」というシークエンスを経由しない事そのものは一つのアプローチだと思うのですが、もう少し物語の中で巨大マイナソー出現に至る流れに起伏をつけないと、それに対応する騎士竜王からも劇的さが失われてしまう気がします。
 また、巨大戦を消化試合にする事を防ぎ意味づけをより大きくする為の、〔人間大で一当たり→横槍で撤収→(素体の確認)→いつの間にか巨大化〕というパターンが続きすぎると今度は、人間大での戦闘が前座の茶番劇になってしまう危険性が考えられ、というか既にその芽が出始めている気がしてならず、もう少し、一つ一つの“約束事”に物語としての意味を与える作業が欲しいところ。
 「あいつ……遊んでいるのか? ……「コチコチ」は……こっち……こっち。こっちへ……おいで」
 水バルカンで騎士竜王を近付けさせないタコマイナソーが、何故か騎士竜王にトドメを刺さない姿と、妄念の叫びの正体に気付いたバンバは、マイナソーの素体は子供ではなく、子供ともっと遊びたいその父親である事を突き止める。中年男性には躊躇なく剣を振り上げるバンバを止めた緑は、騎士竜王にマイナソーを誘導させる事で、塞がっていた神殿の入り口の開放に成功。
 その内部から、緑の騎士竜王――タイガランスがさっくり復活し、緑とさっくり心を通わせ、手法的対立や感情的軋轢などどこにも無かったかのように緑がさっくりと騎士竜王三騎士に合流して、キシリュウオータイガランスが誕生。
 さっくり路線は作風とはいえますし、トワもバンバも、巨大マイナソーへの対抗手段があれば何も好んで人を殺したいわけではないと思うのですが、それならばそれで、トワとバンバのそういった感情の方にスポットを当てて「これなら非情な手段を取らずに済む」という選択肢の拡大に希望を見る展開にした方が、筋の説得力が高まったし、緑の合流も劇的になったのではと思うところ。
 騎士竜王タイガーは圧倒的スピードで水バルカンを回避すると、タイガーソニックランサーでずんばらりん。
 「――子供と遊びたいなら、遊んでやれ。家族より大事なものなど、この世界にはない」
 意識を取り戻した父親に背中で語って病室を去ったバンバは、さっくりと入り込んだ神殿の地下で黒の騎士竜とさっくり接触
 「あの父親を始末するの、まさかおまえに止められるとはな」
 「ちょっとだけ……あいつらに感化されたのかも」
 緑虎と一緒に姿を見せたコウがそれらしい事を言うのですが、「感化されるような出来事/理由」がこれといって描かれていないので、敢えて原因を考えるならば度重なるコウとの接触によるウィルスへの罹患でしかなく、総じて、緑黒兄弟の感情や内面の掘り下げにスポットを当てた方が良かったのでは、というエピソードでした。
 今回の「家族」テーマは次回へ繋がっていくのかもですが、これまでのところ、マイナソー素体に関する物語と、リュウソウジャーのメンバーに関する物語が分離してしまっており、互いを補完する関係が成立していないので1エピソードとしての完成度が低く、例えば今回なら、最初に素体と誤解された少年にトワが思うところあって……などあればキャラも物語も奥行きを増したのですが、そういった連動がなく「マイナソーを生んだ理由」から「ちょっといい話風にまとめたオチ」だけが飛び出してくる形になってしまっているのが、残念なところ。
 つまるところ全体的に「現象」の生成に至る「物語」が欠落してしまっているという感じなのですが、しばらくこのフォーマットで進むならば、巨大化とロボの関係含め、もう少し物語による補強を期待したいです。
 次回――百鬼夜行をぶった斬る!