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ハッピーパウダー……?

電撃戦隊チェンジマン』感想・第40話

◆第40話「おかしなお菓子」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 ある夜、流れ星に祈った少年が、翌日になって星の落ちた辺りを探っていると、願い通りにお菓子の家が目の前に現れる……という子供視点のメルヘンな雰囲気でスタート。
 ところがそれは、バズーによって遙か昔に滅ぼされたシガール星のお菓子製造ロボットによるものであり、シガール星の菓子に含まれた成分を食べる事でチェンジソードすら溶かす腐食性ガスを吐き出す宇宙獣士ゾルテのエネルギー源として、アハメス一党はそのお菓子ロボットを血眼になって捜していた!
 お菓子の家から飴玉などを持ち帰るも、獣士に襲われたところをチェンジマンに助けられた少年は、兄の誕生日の為に願ったお菓子の家が本当に見つかった、と兄を誘うが、子供っぽい夢だ、と相手にされずに追い返されてしまう。
 「どうしてみんな、信じてくれないのかな? 流れ星にお祈りしたら、願いがかなうって、教えてくれたのは、兄ちゃんじゃないか。お菓子のうちの話をしてくれたのも、兄ちゃんじゃないか」
 「それはな……お兄ちゃんが大人になったからさ」
 「大人?」
 「でもね、大きくなっても、俺みたいにそんな話を信じる人間だって居るぞ?」
 そんな少年に優しい言葉をかけて接触する大空勇馬さん……普段なら、子供っぽい所を残し食い意地の張った勇馬が、少年と同じ目線で夢を追いかける適役、というところですが、なにぶんチェンジマン、地球に墜落した未確認飛行物体(問題のお菓子メカ)の追跡中だったので、甘い言葉で近づいて、少年から情報を得ようという下心が背中からダダ漏れです。
 ……まあ、勇馬なので、50%ぐらいは本気なんだろうな……というのがクッションになっていて、これがさやかだと、「本当はお菓子の家なんて信じてなかったんだな!」と惨劇再びになってしまうので、勇馬回で良かったのでしょうが(笑)
 少年の案内でお菓子の家に辿り着く勇馬だが、そこに再び宇宙獣士が出現。横に大きく裂けた口でお菓子の家にかぶりつこうとし、つまり今回の獣士も円谷路線で、カシゴン、という事なのか。
 ブーバまで姿を見せて動きを封じられてしまう勇馬だが……更に更に、書き割りのメルヘン空間を突き破り、おどろおどろしい音楽と共に悪霊ギルークが登場し、数秒前まで『おかあさんといっしょ』だった世界は、すっかり極道ものVシネマの麻薬取引を巡る抗争シーンに突入。
 「どけぇ! この菓子を食うのは俺だ!」
 そして組長は、腹が減っていた。
 「この菓子を食えば、俺はずっとこの世に居られるかもしれんのだ」
 悪霊ギルークに、実体化を保持する為のエネルギー源を捜している、という理由付けが与えられ、繰り返すと面白くない典型である「強敵が腹痛により早退パターン」を明確に弱点として設定した上で、その克服を行動目的として連結する、というのは巧妙。
 獣士とギルークは両サイドからお菓子の家を食い荒らし、お菓子の家の屋根から手掴みでビスケットを口にするギルーク、という凄い絵で完全に司令官時代のイメージが破壊され、悪霊としての説得力も増す事に。
 シガール星の菓子に入っている成分とはいったい……と冷や汗が滲んでくる中、お菓子の家を作り出していたシガールメカが、メルヘン空間を消滅させて浮上。
 「その機械は儂が貰う」
 「待てぃ! メカを渡すわけにはいかぁん」
 「ブーバ! 貴様儂に逆らうのか」
 かつての上司と今の上司、どちらを取るかを悩んだ中間管理職のブーバは、さすがに多少は躊躇したものの結局は獣士に攻撃を指示し、渡世の仁義も月給の前には無力なのです。
 副官コンビは忠義や信念とは無縁というか、ゴズマの支配する宇宙とはそういうものであり、雇われ者の傭兵に過ぎないというスタンスがハッキリしていますが、最終盤にもう一つ跳ねる事があるのかないのか、チェンジマンのアースフォース覚醒により既にやられる準備は出来ているので、どんな散り様になるのか楽しみです(シーマは序盤の伏線がどう活用されるのか)。
 結局、お菓子ではエネルギーを得られなかった悪霊ギルークはあの世に引き戻され、そろそろ足下の鉄板が熱くなってきたのか、怪鳥に乗って自らメカを回収しにくるアハメス様だが、メカからビームを撃たれて動揺した際に、怪鳥の翼でメカをはたき落としてしまう。
 墜落したメカを拾った少年は、ゴズマの目的判明によりメカの破壊を指示された勇馬から逃げ出したところを残りの4人に囲まれ、よってたかって「地球の為にそのメカを渡せ!」と少年に迫る、というなかなか酷い絵。
 地球を守る使命と少年の夢が天秤にかけられ、見かねた勇馬は「せめてお兄さんに見せる間だけでも」と4人を説得。舞い戻ってきたアハメスの浴びせかける火炎放射に対し、飛竜達4人が囮になって飛び出している間にメカニック技能を発揮してメカの故障を直そうとする勇馬だが、特に何もしない内に煙を噴き上げたメカは、その衝撃で電子頭脳の機能を回復。
 「頼む! お前にもし心あるならば、地球の子供に夢を与えてやってくれ!」
 再び獣士とアハメスの襲撃を受けた勇馬は、少年を逃がすと思い切りマシンを空に放り投げてレッツチェンジし、ここは格好良かったです。
 「アハメス! 一歩も通さないぞ!」
 4人も合流して主題歌バトルに突入し、絶好調のペガサス、バック転による蹴り上げから背後のヒドラ兵の首に足を回し、その状態から上半身を持ち上げて前方のヒドラ兵の肩に手をかけると前転で包囲を突破するという凄まじいアクションを披露すると、逆立ちからの蹴り技を連発。
 ソードとシールドを盾に接続したチェンジマンはそれを星形に組み合わせ、機刃の逆鱗、じゃなかった、チェンジソード・クロスハリケーンを獣士に浴びせ、混乱に陥った獣士は腐食ガスをブーバに浴びせてしまう。
 フォーメーションが格好いい割に直接ダメージは無い新技ですが……つまりこれはあれか、チェンジドラゴンを捨てて悪魔の使いオウルナイト時代に編み出した戦法を5人の合体技として昇華した、脳細胞破壊攻撃なのかドラゴンさっすがドラゴン。
 ブーバは愛用のスパナ剣を無惨に溶かされて退却し、なにか剣の名前を叫んでいたのですが、残念ながらよく聞き取れず。一つ判明したのは、ブーバも、剣と会話するタイプだった、という事です。……まあ、話し相手、ほぼ居なさそうですしね、遠征軍母艦。
 残った獣士は脳細胞のみならず全身を粉々に破壊され、巨大化。腐食ガス攻撃はチェンジロボシールドさえ溶かすが、中距離からのミサイル攻撃でひるんだところを風車斬りからサンダーボルトのコンボで、成敗。
 電子頭脳は回復するも、故障により製造能力を失ったお菓子ロボは、残ったわずかな機能で空から綿菓子の雲を降らせ、これを目にした兄弟仲も丸く収まり、大団円。
 ナレーション「人は、いつか夢を忘れて、大人になる。だが、心のどこかに、子供時代の夢は、持ち続けたいものだ」
 勇馬の言葉に応え、余力を振り絞って子供達に夢を与え地球を去っていくお菓子ロボですが、己の本分(お菓子製造能力)を失った今、宇宙広しといえども遙か昔に滅びたシガール星のメカを直せる技術者がそうそう居るとも考えにくい以上、地球を去っていくという行為そのものが、子供達の夢を守り抜く為に大宇宙へ姿を消すという選択であったのかもしれないと思え、ロボ目線ではちょっと切ないエンド。
 果たして最後に、電子頭脳の機能だけが回復したのは、ロボにとって幸せだったのかどうなのか……孤独な宇宙へ旅立っていくロボの頭脳にあったのが、最後まで役割を果たし抜いた満足感であってほしいと思ってしまうところです。
 ……まあ、大気圏を突破する前に力尽きて道ばたに転がっていた所を、某天才少女に拾われて修復され生まれ変わる、という可能性もありますが。
 「私も自分のやるべきことが、今はっきりとわかった。ありがとう。ナナ、君のお陰だ」
 「シガールソン、これは、あなた自身がつかみ取った、あなた自身の新しい命よ」
 「私自身の、命」
 シガールソン・フォー・ジャスティス!
 次回――風を切るSGスイーツ! あらゆるエイリアンを殲滅する、悪魔のお菓子を、君は見たか!
 激しく縦回転する板チョコに殴打されるブーバとか少し見たいですが、本当の次回――なんか、大変ワクワクする感じの人が!!
 最終章を前にキャラ回を一巡りする構成になるようですが(麻衣が飛ばされない事を祈る)、ゲストキャラの醸し出すオーラが気になって仕方ありません(笑)