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匠はただでは転がり落ちない

電撃戦隊チェンジマン』感想・第32話

◆第32話「ナナ! 危険な再会」◆ (監督:掘長文 脚本:曽田博久)
 テクノ惑星のリゲル人(13-14話に登場した天才種族)の少女が生涯に一度だけ放つリゲルオーラを浴びた者は、スーパーパワーを得られるのだ! と突然明かされる追加設定。
 「そうだな。もはやおまえ自身の力ではチェンジマンを倒せそうにないからな」
 マグネシャワー作戦失敗の責任を取っての即時解雇は免れていたギルークは、スーパーギルークになりたい、とバズーに申し出るも、ふーん、やりたいならやってみれば? とドライな反応を受け、予告の映像からは既に色々とダメそうなのですが……が、頑張れ!
 その頃、地球。善良な八百屋夫婦の元で暮らしていたナナだが、そこにヒドラ兵が強襲。電撃基地ではナナの残していったイヤリングが激しく明滅し、5人は異変を感じた長官の指示で手分けしてナナを探す事に。
 イヤリングの反応を確かめながら駆け回る飛竜だが、飛来した謎の宇宙生物(ミニドラゴン)にイヤリングを持ち去られてしまい、それを追いかける内にナナを発見。
 ギルーク達に囲まれたナナを助けるべく、飛竜は歩道橋から颯爽と飛び蹴りを決め、


 「ナナちゃん、困った時や辛い時、寂しい時には、必ずチェンジマンに会いに来てくれ。俺達は、いつだって君の力になるんだからね!」
 「その時になったら、必ず俺が教えに来よう!」
 「新平くんは地球の子供として元気いっぱい生きていく。俺達はそれを見守り、いつでも力になってやるんだ」
 という、前半戦で積み重ねてきたチェンジマンのヒーロー像が凝縮される、大変格好良い一蹴り。
 ブーバとシーマを同時に相手取り二対一で戦うドラゴンだが、両者のコンビ攻撃、更にギルークの二刀流を受け、追い詰められた所にクルーザーで仲間達が駆けつけ、ナナを救ってなんとか一時撤収。謎のミニドラゴンはテクノ惑星で一緒に暮らしていたナナのペットだと判明するが、ナナは飛竜の問いかけにも、リゲルオーラの秘密を隠す。
 そこへナナを探す八百屋一家の声が聞こえ、家族の元に戻ろうとするナナと、危険を諭すチェンジマンのやり取りの中で、本来の家族も故郷も失ったナナの幼さが描かれ、力強く地球で生きていこうとするも、公園で行き倒れていたところを拾われた、というナナの回想が壮絶。
 世間の冷たい風を浴びるも、人の優しさに触れて生きながらえたナナの、せめて一家にお別れを言いたい、という願いを聞き入れたチェンジマンは、八百屋に戻ったナナを物陰からそっと見守るが、このままでは上官更迭、副官の地位も先行き不明という、遠征軍解体の危機に余裕の無いブーバとシーマが間断なく八百屋を襲撃し、またもヒドラ兵に連れ去られてしまうナナ。
 テンポの速い展開の中で幹部クラスの殺陣が連続するのは見応えがあり、炸裂するシーマのハイキック!
 「ナナちゃんは俺達が守る!」
 ギルーク一党と再び正面から激突するチェンジマンだが、その時、二つ首の怪鳥ジャンゲランにまたがり、高笑いするアハメスが雷鳴と共に登場。毎度毎度ですが、アハメスの高笑いは下品さが無く、「おほほほほ」が実写に落とし込まれている、というのが実に好キャスティング。
 「アハメス! いったい何の真似だ?!」
 「ギルーク! おまえにリゲルオーラは勿体ないわ!」
 アハメスは怪鳥の上でヴァルキリー感あふれる白銀の鎧姿に変身し、BGMもあいまってこれがなかなか格好いい。そして、予告で見せていたこのモードがスーパー化でなくて良かった、ギルークの為に本当に良かった。
 「貴様ついに本性を現したな!」
 「リゲルオーラを浴びるのは、この私」
 「俺に取って代わろうとしても、そうはいかんぞ!」
 この二人がすっかり仲が悪いのは残念ですが、これも全ては星王バズーの仕掛けた非道なサバイバルレースのなせる業なのか。
 「リゲルオーラ? 両方で奪い合おうとしているリゲルオーラとは、いったいなんなんだ?」
 そしてチェンジマンは、目の前で展開される痴話喧嘩からすっかり置き去りにされていた(笑)
 アハメスは上空から怪鳥のガスと火炎放射による攻撃を仕掛け、更にそこに、ギザン・ジェラー・ダブン、のアハメス三銃士が登場。
 ジェラーのカラーリングが、後の『重甲ビーファイター』ジャマール3幹部の1人ジュラそっくりなのですが、名前といい、元ネタだったりするのでしょうか。そう見ると、ダブンも、髪型がシュバルツと一緒(こちらデザインは、次作のレー・ガルスに継承される感)。
 三つ巴のナナ争奪戦が展開し、ギルークへ向かって飛んできた巨岩を身を挺して防ぐブーバが変に格好いい(笑) 怪鳥による上空からの攻撃は思い切った俯瞰の映像が迫力たっぷりで、三銃士は逃げたナナを追い詰めるが、そこに突っ込んでくるミニドラゴン。アハメスによる足止めを食うチェンジマンとギルーク一党は、怪鳥の巻き起こす嵐で仲良く崖を転がり落ち、ギルーク司令がどんどん、別の方向で面白い事になっていきます。
 違う、そっちじゃない、ギルーク。
 吹き付ける暴風に身動きもままならず、このままではナナは三銃士に確保されてしまう……追い詰められるチェンジマンだがその時、ただでは崖を転がり落ちない事には定評のある転落の匠は、起死回生の一手をキラッと閃く。
 「シャトルベース、発進!」
 直後、テーマソングと共に稲光と黒雲をかき分けて登場するシャトルベースが滅茶苦茶格好良く、パイロット版以来となる掘監督のスピード感溢れる演出と、力の入った特撮班の映像がガッチリ噛み合って盛り上げてきます。
 シャトルからのビーム攻撃で怪鳥がひるんだ隙に合体したチェンジロボは、暴風雨をものともせずにアハメスに迫り、近い、火炎放射が近い。
 「アハメス! 地獄に落ちろ!」
 ガスと炎をシールドで防いだチェンジロボは、チェンジロボビームを浴びせ、アハメスは撤退。その勢いのまま、ロボでナナの元へ急ぐと、三銃士を空襲。そして、掟破りのダイレクトパンチ。
 ナナはその隙に付近の洞窟に駆け込むが……その体には異変が。
 ナレーション「何をナナはこんなに怯えるのか? リゲルオーラの前兆であろうか」
 何故、ナナはリゲルオーラについてチェンジマンに説明しないのか? そして、チェンジマンからも姿を隠そうとするのか? をサスペンスとして、つづく。
 次回――二刀流構えて特攻モードのギルーク司令、ラストバトル?! サブタイトルに「?!」とついているので、多分大丈夫だと思う大丈夫じゃないかなまちょっと覚悟はしておけ。
 ギルークはかなり好きなので、ここでリタイアだと寂しいですが、アーマーアハメスが思ったより格好いいのも悩ましい。