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アグトルニックで君もマッスル

ウルトラマンガイア』感想・第27話

◆第27話「新たなる戦い ~ヴァージョンアップ・ファイト!~」◆ (監督:児玉高志 脚本:古怒田健志 特技監督:佐川和夫)
 今日も筋トレ 明日も筋トレ 筋トレすれば~ 一生しあわせ~
 (「今日もファミスタ」のメロディで)
 前回からの大幅な映像チェンジに続き、OPからアグルが消滅。そして、バック転。よく見ると背景でワームホールが開いており、つまり筋肉があればワームホールだって開けるじゃないか!
 そして今回から、配信のOP~本編の間のカットがマッスルマッスルに変更。サブタイトル背景も、走る筋肉に変更。とアグルの穴を埋めるかのように筋肉が盛られていきますが、我夢と背中合わせの藤宮の姿は残されており、再登場に期待を持たせます。
 冒頭、その藤宮が姿を消した前回のエピソードが振り返られ……実は前回も気になっていたのですが、破滅ヘッダーを頭上に我夢と藤宮が対峙した工事現場のような所で、背景に「絶滅」と書かれた横断幕が見えるのは、一体何を絶滅させるのか。美術スタッフのネタなのか。それともここは、例の宗教団体の施設だったりしたのでしょうか。
 世相に若干の不安を覚えつつも、藤宮からアグルの力を受け取った我夢はガイアの新たな姿で破滅ヘッダーを退け、ひとまずの平穏が訪れた地球で、参謀とコマンダーは根源的破滅招来体に汚染されていたグリシス封印の報告を受けていた。
 「しょせんコンピューターに、人類の運命を委ねる事など出来なかったんだよ」
 どこかの佐原博士に聞かせてほしい……。
 「人間の運命はね、人間が、自分で切り拓くんだ」
 参謀とコマンダーが落ち込むダニエルくんを励ましていた頃、我夢は……筋トレしていた(笑)
 「友達に言われたんです。戦うなら、体を鍛えなきゃ駄目だって」
 「友達って……チーム・ハーキュリーズの?」
 やはり、そういう認識なのか(笑)
 女子の前で筋肉をアピールするには、まだまだちょっと照れくさいお年頃の我夢は、チーム・クロウの面々がやってくると、そそくさとトレーニングを終え、なんだかもう、公式からの止まない筋肉供給に、OP込みの開始3分ぐらいでお腹いっぱいになってきました。
 自室に戻った我夢は、赤と青、二つの光の宿ったエスプレンダーを見つめながら、消えた“友達”に思いを馳せる。
 (本当にピンチの時は、いつも助けてくれた……)
 といいながら回想最初のシーンが、必殺攻撃の余韻に浸っていたら「ふぉ?!」したアグルが、ガイアごとまとめて怪獣を爆殺しようとした戦いなのですが、美しい誤解が生じているのではないかと不安になります(笑) その後の、反重力ウルトラマンの回は確かに助けてくれましたが。
 「藤宮……これからは、ずっと一人なのか?」
 改めてアグルの不在を感じる我夢は母からのEメールを受け取り、里心を覚えたのか休暇を取ると大学に顔を出すが……春休みだった(笑) 他に友達の居ない我夢は休暇を切り上げてエリアルベースに戻り、街を歩く私服の我夢、という珍しいシーン、速攻で終了。
 パソコンを始めた両親側から、関係が悪いわけでもないが息子との距離感をもう少し縮めたいというアプローチが描かれたり(母親がワンカット登場するも、休暇で実家に戻るわけでもない我夢の姿に、「理解しあえる関係」は成立していない事が仄めかされています)、一人では街に出て遊んでいく事も無かったり、天才に生まれたがゆえの孤独を抱える我夢にとっては、「共通のベースで会話できる相手」は貴重な存在であり、我夢にとっての藤宮は「ウルトラマンとしてのライバル」であったと同時に「真の友人になれたかもしれない男」であった事が、藤宮の喪失後に重みを増すという描き方が、初期のキャラクター性の抑え直しも含めて渋い。
 エリアルベースではライトニングの面々と気さくに挨拶をかわせるようになっている一幕が挟まれる我夢だが、ブリッジで待ち受けていたのは、完全に機能を凍結された筈のグリシスが、シャットアウトの前にガード・ヨーロッパ支部にその分身といえるデータを残していた、という緊急連絡だった。
 ネットワークに残っていたグリシスの亡霊――グリシスゴーストの汚染によりガード・ヨーロッパ支部は機能を停止。その魔手はエリアルベースにも伸び、再び墜落の危機に陥る天空要塞。
 各自の専門性の強い職能集団のXIGですが、ゴーストのハッキングに対処すべく猛然と動き回る敦子・ジョジー・我夢の3人に対して、え? どうしよう? 俺達ネットワークの事とかわからない……という顔で佇む中年3人が何ともいえない面白さ。
 「このままでは……」
 最悪の場合は自爆もやむなし、と乗員の退避と合わせて決断する参謀だが、そこにジョジーが変なジョイスティックを持ち込み、それを手にした敦子は、圧倒的劣勢をひっくり返す名古屋撃ちでゴーストのウィルス駆除に成功。
 「さすが元ゲーセン荒らし」
 「え?」
 突然の飛び道具が放たれましたが、そこはかとなく『BFカブト』ネタ(メインメンバーの一人が、天才プログラマーにしてカリスマゲーマー)なのは、メタルヒーローシリーズとも関わりのある古怒田さんだけに、穿った目で見てしまいます(笑) まあ、「ゲーム」と「プログラム」はフィクションとして親和性が高いので、定番ではありますが。
 敦子の活躍によりコントロールを取り戻すエリアルベースだが、今度は地上の樋口から、ジオベースのラボが全機能を奪われた! という通信が飛び込み、今回は激闘を乗り越えたXIGの日常を描く閑話休題エピソード?と思わせるスローペースの導入から一転、危機また危機が畳みかける急展開の中で、前回に続いて、XIGメンバーが次々と登場。
 ゴーストの本命は、ジオベースで保管されていた金属生命体の破片サンプルであり、外部で活動する為の器としてそれに乗り移るプログラム……そして、ラボを飲み込んだ光の中に立ち上がったのは、なんと、ウルトラマンガイア!
 現場上空に到着したチーム・ライトニングとクロウは、怪獣の姿が見えずにガイアが立っている事に戸惑いを隠せず、エリアルベースに居る本人は、その場の勢いで理屈をつけて、偽物であると断定。「(やけに明解に断言しているけど)偽物なのか?」と重ねて問う参謀、(まあ、そこに我夢が居るから偽物の筈だよな……)と我夢を見つめるコマンダー、と状況は緊迫しているのですが、ブリッジに漂う微妙な空気が面白い事に(笑)
 視聴者は偽物だとわかっている+だからこそブリッジの空気が面白く感じられる、という二重の仕掛けになっているのに加え、これまでに登場した金属生命体がどこか、ウルトラマンの姿を真似ようとしていた、という事から、偽ウルトラマンガイアの登場が唐突になっていないのが巧妙。
 命令を受けたファイターチームは偽ガイアに攻撃を仕掛けるが、躊躇いを隠せないその反応に、状況を改善すべくコマンダーはそれとなく理由をつけて我夢を前線に送り込み、前回を受けた関係性の変化も手堅く活用して、全体に目配りの利いた展開に古怒田さんの上手さが光ります。
 「待っているのか……本物が現れるのを」
 ファイターチームは次々と機銃を撃ち込むが偽ガイアはガードに徹し、遂にはライトニングのぽっちゃり担当こと大河原が命令を拒否。
 「俺には撃てません! 俺には撃てません……俺は……ウルトラマンガイアに、何度も命を救われました。彼は……ガイアは……ずっと一緒に戦ってきた、仲間なんです!」
 「大河原さん……みんな……」
 序盤、次々と送り込まれる筋肉の奔流にたじろいで、このエピソードはどこへ行くのだろう……と遠い目になりかけていたのですが、これまでさしたる台詞も無かった大河原の“被撃墜王”という特徴を拾って、視聴者にはこれまでの積み重ねでわかっていた、ガイアとXIGの繋がりを、言語化して劇中で我夢に伝える、という流れが実にお見事(ここで中盤の、軽い挨拶も効果を発揮)。
 「わかったよ藤宮。僕は、一人なんかじゃない」
 藤宮は消えた――だが、高山我夢としてもウルトラマンガイアとしても、共に戦う仲間が居るという事を改めて我夢は感じ取り、序盤に描かれてきた我夢の人間関係の問題も、我夢がその内側に抱えていた壁を自ら乗り越える事で完全に解決を見る、という華麗な接続が会心の出来。
 ガイアとアグルの対決がひとまずの決着を見、前半戦の集大成として大きな山を作った前回の直後に、新章のスタートとしてこの出来を持ってこられては、ぐうの音も出ません。
 見つめたエスプレンダーの中では赤と青の光が輝き、大河原機が操縦ミスで偽ガイアに正面衝突したその時、意識下に抱えていた内面の孤独と喪失を乗り越え、我夢は変身。
 「ガイアーーーーー!」
 久々のどすーん着地にコーラス入りテーマ曲が重なるのが実に神々しくも格好良く、ガイアは大河原機を救出。対峙する2人の巨人をかなり広いミニチュアセットの中で見せ、今日も豪華だ佐川特撮回。
 「データが完全なら、両者の力は互角だ。本物は勝てるのかね?」
 「――命あるものは、常に前に進みます。昨日までのデータなど」
 珍しく、力強い調子で返すコマンダーも格好良く、全方位にぐいぐいと来ます。
 「成長しているというのか、ウルトラマンガイアが」
 上層部の見つめる中、二つのうにょんバスターがぶつかり合うが、本物は早速、鍛え上げた追い大胸筋で偽物を吹き飛ばし、見てくれ藤宮! 僕の、筋肉!
 ダメージを受けて地面に転がる偽ガイアは体表面が金属化し、「正体を現せ!」と大河原機が戦闘に立って射撃を浴びせる、というのもただ撃墜されるばかりでないフォローが入って良かったです。
 ファイター部隊の連続攻撃を受けて爆炎に包まれた偽ガイアは悪魔じみた三代目金属生命体へと変貌し、ガイアとスピード感のある格闘戦に突入。ドロップキックや巴投げが乱れ飛ぶが、肉弾戦では形勢不利と見たゴーストはブーメラン攻撃からクロー攻撃を放ってガイアを地面に縫い止め、初代・二代目に続いて、金属生命体の攻撃ギミックは面白い。
 立て続けのクロー攻撃を受け、大の字になって磔状態にされたガイアは絶体絶命の危機を迎える。
 だが――
 「全機ウルトラマンガイアを援護しろ。心おきなくやれ!」
 ライトニングとクロウがフォーメーションを組み直してガイアを支援し、流れ出す初めての挿入歌。
 そして……今のガイアには、翼の助けばかりでなく、大地を支える筋肉もある!
 アグトルニーーーック!!
 ファイター部隊の攻撃を受けたゴーストが怯んでいる間に、滾る上腕二頭筋で磔を脱したガイアは、すくっと立ち上がるとパンプアップ!
 「ガイアが変わる!」
 わざわざオペレーター席を離れてカメラにフレームインしてまで叫ぶ敦子、その台詞は誰にも譲りたくないのか(笑)
 アグトルニックしたガイアはシックスバックを閃かせながら猛然とゴーストに躍りかかり、これでもかと投げ技を連発。徹底的に痛めつけた後、赤と青、二つの光を混ぜ合わせた新必殺技・地球の隙間光線でゴーストを消滅させ、大河原機とサムズアップを交わして飛び去るのであった……。
 「これでグリシスに宿った破滅招来体は完全に消えたな」
 「はい。しかしまた、新たな戦いが始まります」
 「負けませんよー! 我々は!」
 機嫌が良すぎる参謀はなんだか行きすぎて、普遍的なイメージ上の平泉成みたいな事になってしまいました(笑)
 新ED曲に合わせて、帰投するファイター各機が描かれ、新生ガイアのバトルシーンがたっぷりダイジェストで流れて、つづく。
 前回の今回でどう見せてくるかと思われましたが、巨大な災厄をくぐり抜けて一息、というやや弛緩した雰囲気を全体に漂わせて各キャラの引き出しを広げつつ、藤宮の喪失を我夢の抱える問題と繋げて物語の中に配置し直し、グリシスの後始末から思わぬ危機へと展開。エピソードの主眼はガイア強化フォームの本格お披露目であったのでしょうが、ガイアがXIGと築いてきた絆を一つの形にまとめ、新型ガイアの大暴れを“内面の一つの壁を乗り越えた我夢の脱皮”と繋げたのが、新章スタートとして素晴らしい出来でした。
 人間型の怪獣との派手なバトルでアクション面も充実しつつ、多数のキャラを出しながらそれぞれの魅力もプラスし、全体に行き届いた目配りという点でも、傑作回。
 次回――プレシャス再び? そして、拠点を失った樋口さんの明日はどっちだ?!