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イーグル! ゴリラ! ホエール!

4週連続スペシャル『スーパー戦隊最強バトル!!』感想・第2話

◆BATTLE2「暗躍する謎の鎧」◆ (監督:坂本浩一 脚本:荒川稔久
 野菜の戦士チームに勝利したアカニンジャーとサソリオレンジに襲いかかるウルッポイゾもといガイソーグ。
 「ほう……やるな」
 連続必殺攻撃で奮戦する二人だが、そこに走って辿り着けたマーベラスが乱入。勢いあまって生身で切りかかった為に一撃のもとに吹き飛ばされてしまい、迫り来る必殺剣に飲み込まれる寸前、アカニンジャーにかばわれるという、精神ダメージ。
 「……頭に血が上りすぎだって、お兄さん」
 よりによってタカ兄にたしなめられ、精神ダメージ×2
 「なんで邪魔した? 余計な事しやがって!」
 鎧は戦いに満足して去って行き、憤るマーベラスはタカ兄を助け起こす、どころか胸ぐら掴んで引きずり起こし、さすがのスティンガーにまで止められてしまう。
 「おい! いい加減にしろよ」
 幾ら俺でもそれは無いと思う、とスティンガーにまで制される、精神ダメージx3
 開始5分も保たずにマベちゃんの心が死にそうですが、キャラの性質的に客演が多く、役者も脚本も完全に手の内に入れているとはいえ、思えば本編放映終了から7年も経っているのに、マーベラスは実にマーベラスで凄い。
 「マーベラスさんをかばってこんな怪我したのに、知らん顔ですか?」
 控え室では勿論、大和くんが噴火寸前。
 「あんな言い方ないです酷すぎます!」
 「まあまあ。大した事ないんだし、もういいよ」
 「よくない黙ってて!」
 仲裁に入った側をカウンターで説教する大和くん、ホント最高です……。
 大和は『ジュウオウジャー』本編第28-29話におけるマーベラスとの邂逅を振り返り、
 「頑固な野郎だ。でもま、おまえは紛れもなく40番目のスーパー戦隊だ」
 ……言ってた、言っちゃってたな、マベ……。
 「そこで、信じ合える絆が生まれたでしょ?」
 今回気になった部分として、大和くんが妙に「絆」「絆」言うのですが、本編の「繋がり」だと大和くん用語なので、他のキャラクターの台詞との兼ね合いで、「絆」という単語に統一せざるを得なかった、という感じでしょうか。「絆」という言葉が便利用語なので、どうしても違和感が出ますが、各戦隊それぞれの物語が積み重ねたもの、を統合する概念としての「絆」とでも捉えておくのが無難か。
 大和とマーベラスが睨み合う場を和ませようと天晴が一発ギャグを放つも空振りに終わるが、陽性+行動的かつ、ある程度バカをやっても本編通りの天晴が、このメンバーに入ると物凄い使い勝手の良さ。つくづく、舎弟達に囲まれ、「お前達はがんもや大根。――俺は卵だ!」という構造に問題があって、そこから離れると天晴は悪い奴ではないと思わされますが、誰だ、誰の育て方が悪かったんだ……。
 そろそろスティンガーが、誰かに毒針を打ち込んで黙らせたくなってないか不安になってくる中、何故か金色のチケットを持っていたウルッポイゾが、ワイルドカード枠で大会に参加する事に。
 リタがウルッポイゾの事を知らないのはどうやら本気のようで、鎧についての謎は深まるばかり。
 「やっぱり、今こそ俺達の絆で」
 「絆絆うるせぇんだよ」
 マーベラスは控え室を出て行き、「俺に任せてくれ」と無駄な自信たっぷりで天晴がその後を追い、余計にこじれるのではないかと心配して更に後ろから追いかけていくカグラ。
 「スティンガー、どうしたらいいん」
 「悪い。用事を思い出した」
 サソリの人は勿論、ちょっと格好つけたポーズも含めて、平常運行だった。
 「…………変わり者ばっかだなぁ……」
 先週の警察犬もとい後輩は躾がよくて楽だったのになぁ(きっと、身近に良いトレーナーが居るに違いない)……と物思いにふける大和くんだったが、次の対戦チームとメンバーを見て愕然。現状、イーグル・サソリ・海賊レッドの組み合わせではとてもバトルにならない(というか約2名この場に居ない)と、大和はたった一人で3人の先輩を向こうに回してのバトルに乗り込む事に。
 一方、通路に佇むマーベラスは、かつてアカレンジャーからレンジャーキーを託された時の事を思い出していた。
 「……どいつもこいつも」
 「海賊のおにいさーん」
 「なんなんだうぜぇな!」
 そこへ脳天気に声をかけた天晴は、マーベラスの怒声にも全く怯まず一発ギャグに再挑戦し、そのあまりの馬鹿馬鹿しさに思わず口元をほころばせてしまうマーベラス
 「……バカだろおまえ」
 「よっしゃぁっ! やっと笑ってくれた」
 「すごーい! 今ので笑うなんて、実は、凄いいい人?」
 「あぁ?」
 これをきっかけに、見るからにそして実際の職業も反社会的団体の人であるマーベラスにカグラがなつき、子供とバカに両サイドを挟まれてしまう海賊船長。
 天晴は、自分にとっての“お宝”は「一族」だと『ニンニンジャー』本編映像を交えて紹介し、
 「先祖代々ニンジャやっててさぁ。今も、妹や従妹弟と、戦隊やってんだ」
 という謎の接続が、妙に面白かったです(笑)
 マーベラスは天晴の言葉に自分の仲間を思い出し、その表情を窺いもの問いたげな表情を見せるカグラは結局何も言わずじまいだったので、次回がカグラのターンか? 今回、天晴のターンが『ニンニン』本編にも触れながらだったので、『トッキュウ』好きとしては期待したいです(勢いで、他に見るもの色々あるのに、未だに録画を残してある『トッキュウ』最終話を見てしまったのですが、『トッキュウ』最終回は本当に美しい)。
 「ほんとバカだなおまえ」
 「そ、忍びなれども忍ばない! リーダーなれども、らしくない」
 噛み合わないやり取りからまんまと基本装甲値低めのマベちゃんの懐に忍び込み、〔最初から最後まで計算の効く短編・本編の蓄積・その上で本編からは独立〕という有利な諸条件は勿論あるのですが、キャラクターの魅力を劇中ポジションに合わせて引き出す「伊賀崎天晴」という素材の活かし方が、実に荒川さん、匠の業前。
 ヒーロー大集合祭として、なんでもかんでもハイスペック猛獣使いの大和くんが収めてしまわないというのも良いバランスであり、タカ兄を“俺が一番の突撃バカ”ではなく“ヨゴレも出来る陽性の潤滑油”と位置づけたのは、今作にとって発明であったなと。
 タカ兄はマーベラスの肩にフレンドリーに手を回し、本編でも、両サイドの女子高生(妹の同級生)の肩に手を回して自宅に連れ込んだり、上半身裸に布一枚巻き付けただけという姿で霞ねえに肩ポンなどの実績がある天然ホスト気質も拾われました(笑)
 くノ一も無自覚に引っかけていたし、タカ兄は、この方面、ちょっと危険な匂いがするので、誰か外付けモラル判定機が必要だと思います。
 「とりあえず、戻ってきてくれよ」
 「うん!」
 「俺、あんたがお宝ゲットするところ、見たいからさ」
 「……なんなんだ、ったく」
 マーベラスがいつものように精神抵抗に失敗した頃、大和はたった一人で、陸海空チームのガオレッド・バルシャーク・ギンガグリーンと戦おうとしていた。
 「おまえ一人でいいのか」
 本人出演の獅子走、期待された動物繋がりのやり取りが特に無かったのは残念でしたが、私の走先生観は、「殺意高めで割とドライ」なので、フェアな状況設定などにこだわらない姿に、凄く納得(笑)
 まあ色々ありましたが、ガオレッドというと私の中では「ロウキが子犬と離れた隙を見逃さず、即座にガオライオンバスターを叩き込む」とかのイメージが強くて!
 「たとえ一人でも、俺は負けない!」
 陸海空チームvsジュウオウイーグル、というのは何をしてくるかわかった上でもワクワクする展開で、それぞれの特徴を盛り込んだ激突がスタート。
 合間の別の試合では、戦隊あるある的に「カレー好きは、キレンジャーと、バルパンサーだけ」というネタが入るのですが(ある意味、こういうネタだけを繰り返す作品で無かったのが、今作の良い点)、そのカレーもとい怪力チームと対戦している側にカレーキング@ゴーオンゴールドが居るのは、どうせネタにするならここまでやってこそ、というこだわりなのでしょうか(笑)
 「俺は負けない……俺には約束がある! その約束を守るんだ!」
 「その体でまだ戦うというのか。おまえは、誰とどんな約束をしたんだ」
 多勢に無勢で追い詰められていたイーグルは、ガオレッドの問いに対し、重い病気と懸命に闘っていた少年に「動物達が沢山いる大草原に連れて行く」という約束をしていた事を語る。だが、約束を果たせぬままに少年は病死。
 「だけど……絆はまだ生き続けてる。あの子の魂をほんの一瞬でいいから呼び戻して、大草原で沢山の動物達と触れ合わせてあげたい」
 かなり突拍子もない事を言ってはいますが、思えば大和くん、本編第24話で似たような事を経験しているので、『ジュウオウジャー』世界で考えると、そこまで不思議でもないのか。


 「……おまえが証明したんだよ。覚えてる限り、ずっと繋がってるって! 俺の持ってる繋がりは、おまえには壊せない!!」
 そして今作で大和くんが口にする「絆」とはやはり、『ジュウオウ』本編における「繋がり」の、共通語への翻訳という認識で概ね良さそう。
 「それが俺の、願いなんだーーー!」
 最終話まで引っ張るのかと思われた大和くんの願いが予想外に早く明かされた上、かなり個人的かつ具体的なものだったのは驚きと同時に、主人公ポジションの目的にするにはやや弱く感じたのですが、絶叫から大空へ飛翔、主題歌をバックに、イーグル→ゴリラ→ホエールでの、陸海空連続バトルは文句なしに熱かったです。
 そしてイーグルが空で戦っている内にジェムをかっさらう事なく、願いの為に乗り越えるべき壁として一対一のバトルで大和に応える先輩達も熱い。
 ギンガグリーンを高空からはたき落とし(地味に今回の被害者)、殺意高めのライオン砲をゴリラナックルで弾き返し、流水の闘技(なんか本編よりエフェクト格好いいような)でバルシャークに打ち勝ち、トドメは一人番長キャノンで3人まとめて埋め……これ、キレてる、大和くん、身内へのマジギレを、当面の敵にぶつけてるな……。
 「おまえもレッドらしく熱いな」
 辛うじてジェムを手に入れるも、疲労困憊して膝をついた大和に語りかける、獅子走。
 「……え?」
 「リーダーたるもの、熱くないとチームを引っ張れないだろ。……ま、熱く見えない奴もいるけどな。スーパー戦隊の全てにおいて共通している事がある。それは、互いの信頼の上にチームが成り立ってるという事だ」
 てっきり動物繋がりで呼ばれたと思われたガオレッドは、実はリーダー繋がりだったという役回りが明かされ、今回のエピソードテーマは「色々なレッド、色々なリーダー」であったという点と点も一つの線になって絵を描くのですが……走先生がリーダーやっていたのが、入隊早々、同僚と親睦を深めようとしたら「戦士になるつもりなら、今までの名前を捨てろ。俺はガオイエロー、おまえはガオレッド」と言われた組織という過去が、大変趣深い。
 「……今思えばレッドは楽だよな。みんなを信じればいいんだから」
 そして、肝心の『ガオレンジャー』における「リーダーとチームの関係」については、最初の3話ぐらいで扱った後、最終話直前まで消滅していた、という事実が惜しまれます。
 まあこれに関してはむしろ、中心人物を劇中で「リーダー」と名指しする作劇がシリーズで案外と少ない気はして、そういう点では『ガオ』はちょっと珍しいアプローチを意識的に行おうとしていた(そしてもう一つ上手くいかなかった)のかもしれないと改めて。
 余談になりますが、知っている限りの過去作品を振り返ってみると、最も「リーダー」概念へのこだわりが強かったのは実は『激走戦隊カーレンジャー』かもしれず、これはこれで、浦沢先生のギャグの一貫であったのかも。くしくもそれから10年後の乗り物戦隊である『轟轟戦隊ボウケンジャー』が、強いリーダーシップを持ったチーフを中心としたピラミッド型の戦隊でしたが、チーフにしろ、その先達といえる『超力戦隊オーレンジャー』のオーレッドにしろ、「チーフ」や「隊長」である事が自明すぎて、そもそも概念論が発生しえなかったので。
 そう考えていくと第6話にして、

 「もういいよ、そういうの。影のリーダーが居るなら、サポートが得意なリーダーも居て、そん時そん時で必要なやつが、リーダーになればいいんじゃないの?」
 「必要なやつが?」
 「俺たち全員がリーダーってこと」
 と言い放った『烈車戦隊トッキュウジャー』は改めて強烈だったわけですが、“ごっこ遊び”の延長線上のヒーローであるトッキュウジャーにおいて、“女顔のレッド”“乗り換え変身でピンクにもなる1号”などの要素には、かなり時代を捉えた意欲的な事が仕掛けられていたのだな、と物語から離れた部分でのギミックについて今になって見えてくる事もあったりで、そろそろ本編に戻ります。
 「ネバギバ。諦めない心だ。おまえも、思う存分、突っ走れ。――やる気満々だぜぇ!」
 決め台詞を盛り合わせたエールを贈って獅子走&風の戦士と鮫の戦士は帰還し、膝を付いた大和くんは、先輩の言葉に己の所業を顧みる。
 「……そうだ、一度はわかってた筈なのに」
 ボロボロの大和を迎えに行こうとした天晴は途中でウルッポイゾの襲撃を受け、それを知らず、一人で控え室に戻ってきた大和は、マーベラスに自ら謝罪。
 「ごめんなさい!」
 「……あ?」
 「絆とか仲間とか言いながら、俺あなたの事信じられてませんでした。以前お会いした時、実はいい人だってわかってた筈なのに」
 マベちゃん死にかねないから、そのぐらいにしてあげて下さい!
 「すいませんでした」
 「……たく、どいつもこいつも」
 気を失うように倒れ込んだ大和を支え、精神ダメージと満更でもない表情を激しく行き来する本日のマーベラスだが、そこにワイルドカード投入のお知らせ。
 「一番強いのは誰だ」
 ……その中(隊長、鶴姫様、餃子職人、レッドマスク?)だと、そこの顔に星つけた人ですかね。
 その頃、すっかり姿が見えない事を誰にも心配されないスティンガーは、宇宙大統領と通信不能な事を確認後、施設の中を捜索し、謎の装置と、スーパー戦隊について調査した書籍の山を発見する。
 「これは……」
 スパイ技能を本編以上に発揮している気がするスティンガー、前回から「魔法」という単語を気にしているのが、巧く繋がってほしいところです。ちなみにチームメイトの餃子男の従兄弟が魔法に凄く詳しい筈ですが……天晴に聞いても何もわからないか。
 なおこの後、カグラがスティンガー不在を心配してくれました! 良かった!
 試合会場では、ジェムは後回し、と鎧に挑む4人のヒーローが次々と薙ぎ倒され、吹き飛ばされた餃子職人リュウレンジャーが偶然ジェムを掴んだ事で、勝ち抜けが確定。引き続き鎧に挑むも退けられたところに、マーベラスが辿り着く。
 「ガイソーグ! 今度こそ決着をつけてやる!」
 「おまえは既に負けている。相手にはならん」
 本日何度目かの精神ダメージで死の淵を彷徨うマーベラスだが、絆のパワーでリザレクト。
 「同じ戦い方はしねぇよ。――ゴーカイチェンジ!」
 レンジャーキーの力で挑んだゴーカイレッドは、デカレッド・ハリケンレッドの連続攻撃でダメージを与え、天晴と同じ構えを取った鎧の斬撃に逆にカウンターを食らわせるとファイナルウェーブを直撃させるが、外れた兜の下から姿を見せたのは――なんとその天晴。
 ……という事は、今まで変わり者チームに居た天晴は、魔法に詳しい従兄弟の変身した姿だったのか?!(たぶん違う)
 鎧男の謎が風雲急を告げる頃、今回も最後だけの出番となったリュウソウ緑と黒は、遺跡の中で強化ギミックであるリュウソウルを入手していた。
 そもそもここがどこだかわからないので(前回の時点では惑星ネメシスかと思っていたのですが、違う……?)、先行登場シーンは現時点では宣伝以上のものにはなっていないのですが、OPのダイジェスト映像を見てもラストで絡んではくるのでしょうから、スムーズに繋がってほしいところ。
 二人は空のリュウソウルを捨て置いて、騎士竜を探しに更にその奥へと向かうが、そのソウルにズームインされたところで、つづく。
 次回――「今日から変わり者チームに参加する事になったドギー・クルーガーだ。よろしく」
 みたいな映像で、ニンジャとスパイの明日はどっちだ!
 前回、チーム5人の揃い踏みが無かったのは残念、と書きましたが、今回の展開を見るとどうやら、急造チームが“戦隊になる”姿を描いてくれそうで、そこにピークを合わせてくるのなら、その瞬間が大変楽しみになって参りました。
 冒頭に軽く一当たり → イーグル大暴れ → 逆襲のゴーカイレッド、とメインチームだけでもこれだけ戦闘の見せ場を盛り込んだ上で、その合間にしっかりと物語を進行・成立させているのは実にお見事で、次回も楽しみです。