『電撃戦隊チェンジマン』感想・第23話
◆第23話「イルカに乗る少年」◆ (監督:山田稔 脚本:藤井邦夫)
「海……大地の2倍半以上もあり、あらゆる地球生物の生命の源。そしてエネルギーの宝庫。その海を侵略し、支配するのだ」
バズー肝煎りの作戦により地球に送り込まれた宇宙獣士ゼーラは、あらゆる海を魔の霧に包み込み、魚が全く獲れなくなるという大打撃! 以前もギルークのピラニア作戦で港町が被害を受けていましたが、『チェンジマン』は水産業に厳しい。
この異常事態の影にはゴズマが暗躍しているに違いない、とチェンジマンは手分けして調査を始め、疾風はサブタイトル全くそのままに、イルカにまたがりイルカと語らう少年を目撃。
イルカ……イルカだけが友達……みなみ様……うっ……頭が……(大脱線)
はさておいて、藤井脚本×疾風回なのにゲストが少年、という驚愕の展開!
(※イメージです)
「むぅ……? 何者だ?! 儂の邪魔をする奴は! 海と魚を操る事ができるのは! 全宇宙に! ポセドニア星生き残りの、儂しか居ない筈!」
貝殻の笛で魚を操る少年に反応した獣士の、故郷が既に壊滅している事がさらっと語られるのが実に『チェンジマン』で、少年を襲撃する獣士と、それを守る疾風。
「貴様何者?!」
「ははははは! 地球守備隊・疾風翔! 宇宙獣士ゼーラ! 海を返してもらうぞ!」
櫛で髪を整えながら外連味たっぷりに啖呵を切る疾風は、夏の日差しの影響か、テンションやや高め。ヒドラ兵を殴り倒すもシーマに少年を人質に取られてしまうが、少年の目が金色に輝くと海水が噴出してシーマを吹き飛ばし、過去最大のダメージを受けてひっくり返るシーマ。そこへ本日も水上バイク(3回目)で仲間達が駆けつけ、どうやら、地球守備隊の標準兵装のようです。
少年は、太古の昔に消滅した水の惑星・ポセドニア人の子孫の可能性が高い――一時撤退したシーマと獣士の報告を受けたギルークは、少年が自分の能力を理解する前に抹殺せよと指令を下す。一方、少年が特殊な能力を持っているのではないかと考えた電撃戦隊も改めてコンタクトを図り、魚を取り戻そうとする少年と共に、疾風が沖へボートで繰り出し……あ、これまた、疾風さんが囮なやつじゃないですか。
ついでに少年の能力をハッキリ確認しようとしていて、電撃戦隊、エグい。
少年の吹き鳴らす笛の音により、無事にイルカや魚たちは姿を見せるが、そこにゼーラが強襲。シーマも格好良く飛んでくるがチェンジマンも迎撃に揃い踏みし、レンズに効果をつけて、ちょっと不思議な戦闘シーン。
ヒドラ兵を蹴散らしたチェンジマンは、ゼーラの吐き出す霧によって幻惑され、飛び回るヒレの攻撃に苦戦するが、チェンジソード一斉射撃で撃墜。グリフォンの新必殺技グリフォンマグマギャラクシーが炸裂すると、パワーバズーカでファイヤー。
今回、ヒドラ兵の出現シーンに変化をつける(海から飛び出したり地面から湧いて出たり)他、海岸線に巨大ゼーラを合成したり、セットではなく海岸に立ったチェンジロボとゼーラが殴り合ったり、夏休み期間だから?ここまでと趣向を変えた映像がふんだんに盛り込まれているのですが、海へ逃げ込んだ獣士を追い、チェンジロボ、初の水中戦。
初登場時から平気で空中戦をこなしていたインパクトが強いチェンジロボも海中を自由に動き回る獣士にはかつてなく苦戦するが……
チェンジシールド!(投擲)
でクリティカルダメージを与え、剣くんは後で職員室まで来るように。
手段を選ばぬ地球人の殺意にひるんだ獣士は、得意の海中に背を向けてまで地上へ逃げ出すが、チェンジロボの追撃を受け、サンダーボルトでずんばらりん。
海に平和を取り戻したチェンジマンは、異星人の子孫である可能性や秘めた強大な力を知らず、無邪気にイルカに乗ってはしゃぐ少年をそっとしておきたいと、その血筋について告げない事を決める。
「新平くんは地球の子供として元気いっぱい生きていく。俺達はそれを見守り、いつでも力になってやるんだ」
そしてヒーローは去って行くが、いつも子供達を見守り、いつでも力になりにやってくる、というのは、メタ的な意味も含め、『チェンジマン』を貫く基本テーゼとなっています。
イルカにまたがる少年は朗らかに5人に手を振り、広がる海の彼方からぁぁぁー何が呼ぶというのだろーーーで、つづく。
藤井先生にしては凄くさっぱりした構成でしたが……これ、初稿時点では浜辺でオカリナを吹く白いワンピースの少女とか出てくる予定だったのでは?!(笑) それが諸般の事情で駄目になり(イルカに乗った少女は画の難易度がちょっと高いです、とかあって)、ゲストが少年になった結果、藤井先生が煩悩を盛り込む余地が無くなり、まとまりの良い夏の小品になったと言われると物凄く納得度が高いのですが!(や、藤井先生も、女性ゲスト登場か悲恋物以外を書く事もあるだろうとは思うのですが……)。
次回――予告はギャグっぽいですが、両陣営激震案件。