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貫く正義 熱く燃えて!

4週連続スペシャル『スーパー戦隊最強バトル!!』感想・第1話

◆BATTLE1「史上最強は誰だ!?」◆ (監督:坂本浩一 脚本:荒川稔久
 某ウルさんぽい謎の騎士により、冒頭からざっくり壊滅状態に陥る、第35代スーパー戦隊海賊戦隊ゴーカイジャー
 「もっと強さを……」
 微妙に残念の気配漂う呟きを口に背を向ける謎の騎士に一人追いすがって立ち向かうゴーカイレッドだが、ゴーカイイエローと瓜二つの技を受けて倒れた所に必殺剣を食らい、あえなく敗北。
 「我が名はガイソーグ。宇宙最強を求めるもの」
 謎の騎士は今度こそ姿を消し、歯を食いしばってそれを目で追う事しか出来ないキャプテン・マーベラスの手元には突然、金色のチケットが現れる。果たして、謎の騎士は何者なのか? 姿の見えないルカはどうしたのか? そして、黄金のチケットの正体は……?

 スーパー戦隊――それは、秘密戦隊ゴレンジャーから40年以上続く、チームヒーローの栄光の歴史である。平成の時代が終わる今、その最強の座を賭けた闘いが始まろうとしていた」

 歴代戦隊の紹介から、地球を背景にずらりとレッドが並びそして爆発! したところで《スーパー戦隊シリーズ》のロゴが輝き、導入からOPまで、お祭り企画にふさわしい燃える絵作りは、さすがの坂本監督といった感。
 ……そして改めて、このメインパーティーは大和くんへのどんな罰ゲームなんですか。
 その頃、国際特別警察機構日本支部
 「いつになったら世界は平和になるんだ……」
 呟く朝加圭一郎の眼前にも、マーベラスが手にしたのと同じゴールドチケットが現れ、圭一郎はチケット表面に浮かび上がった、どう見ても坂本監督による太股枠であるそこはかとなくアラビアン衣装な少女から、「スーパー最強バトルエントリーのお知らせ」をまくし立てられる。
 「優勝すれば、どんな願いでもかないます」
 その言葉に世界平和の実現を思い浮かべた圭一郎は、職場から煌びやかな謎の惑星へとアブダクションされ、そこには地球を守ってきた様々な戦士達の姿が……。
 制服や目立つ衣装で顔を映さずに「あの人も」を示しつつ、着ぐるみ系追加戦士は全身を映せるので効果的に出しやすかったのでしょうが、ズバーンとかシグナルマンの姿に見る、割と大雑把にチケットをばらまいた空気。
 後、タカ兄の後ろに凄くヤバい人が居るんですが!
 断罪! 許さない 鉄槌! ナイトダイナミック!
 容赦はしない 敵をバニッシュ!
 されそうでヒーロー達の安否が気に掛かります。
 そして、圭一郎に向けて「真面目そうな新人さんだ」と呟く大和くんの背後に居るのが、セクハラ家庭教師もといヒカル容疑者(は「マジトピアでは盗撮は犯罪じゃない」など意味不明な供述をしており……)なのは、なんの嫌がらせなんですか!
 荒川さんの指定ですか?!
 そんなこんなで、そこかしこに不穏の種を抱えつつも、割と平然と状況を受け入れている戦士達の前に、チケットに浮かび上がった少女が姿を見せ、惑星ネメシスの守り人・リタを名乗ると、一同を5人ずつ32組に強制チーム分け。
 改めて爽やか二枚目な大和くんは、天晴、カグラ、スティンガー、マーベラスという猛獣の檻に振り分けられ、冒頭でいつも以上に突っ慳貪な事情が説明されてはいるものの第一声が「話しかけんな」なマベちゃんを代わりに紹介する大和くーん! 大和くーーーん! スティンガーの尻尾に興味津々だったり、とりあえず、大和くんを愛でるスペシャルとしては、滑り出し快調。
 猛獣使い・俺様・タカ兄・クール枠希望・自由人、という混成チームが一向にまとまる気配を見せないまま一回戦が始まり、大和は自分が「変わり者チーム」に振り分けられた事にショックを受けつつ、「生真面目チーム」に振り分けられた圭一郎と諸般の事情により代表戦タイマン勝負を行う事になる。
 「初めまして! 先輩と戦うのは不本意ですが、やるからには、全力で当たらせていただきます!」
 そうか、圭一郎は、そういう感じになるのか(笑)
 バトルは、手段としての直接戦闘はありつつ、目的は「フィールド上のジェムを手に入れる事」として、ノックアウト方式の本格バトルを避けてくれたのは良かったところ。勿論、映像としてはアクションを見たいですし、アクション監督も兼任の坂本監督がたっぷり見せてくれるのですが、戦隊同士で真剣に殴り合いで上下をつけるというとまた話が変わってくるので、そうではない事にしれくれたのは、ホッとしました。
 それはそれとして銃を撃ったり剣を振り回したりはしながら、ジェムを巡って激闘を繰り広げるジュウオウイーグルとパトレン1号であったが、争奪戦の最中にパトレン1号の願いが「世界平和」だと知った大和くんは、変身を解除して膝詰めで説得モードに入り……うん、確かに、変わり者かもしれない……。
 まあここで、「世界平和」は口に出さないだけで皆が望んでいるものであり、皆の力で成し遂げるものだ、というのは大和くんの善良さでありますが、裏を返せば“誰かの願い”でかなう「世界平和」とは、ディストピアなのではないか? という暗示も見え、道を踏み外した正義による独善の危険性を、メタ的には含んでいる部分もあるのかもしれません。
 「でも……世界の平和も」
 「勿論。これからも平和の為に戦うさ」
 「約束です」
 大和の願いを聞いた圭一郎は、ジェムを譲って国際警察へと帰還し、今回の出来事は、残業中に見た一夜の幻として処理されるのでありましょうか……(笑)
 他の試合がダイジェスト気味にアクションシーンの連続で処理される中にタイムブルーの姿が見えるのは、良い方向に取るとちょっとしたサービスでありましょうが、状況如何では物凄く重い……。
 タイトル通りに「バトル!!」を前面に押し出しつつも、
 大和くんの「願い」・明らかに怪しげなリタ・マーベラスの抱える問題
 という3つのサスペンスが織り込まれており、物語を動かす軸となっているリタと謎の騎士に加えて、恐らくは些細な事だけど重要な役割を果たすに違いない、という大和くんの願いに期待感を持たせる作りが秀逸。
 …………みんなでレッツ動物ダンスしたい!とかで無いといいなぁ(笑)
 なお、マーベラス同様に口数が少ないスティンガーは……多分ただの人見知り。
 剣豪チームの活躍などを挟みつつ順調に進行するトーナメントだが、突如出現した謎の騎士が怪力チームを襲撃し、表情を変えて立ち上がるマーベラス
 「やっぱり来やがったか」
 「あいつを知ってるのか?」
 「おまえらには関係ねぇ!」
 「……マーベラスさん、あいつの事知ってるなら教えて下さい」
 「…………奴の名はガイソーグ」
 大和君に真っ正面から見つめられて10秒持たずに前言を撤回するマベ(笑)
 まあ大和くん、鬼畜モード発動3秒前みたいな顔していたから仕方ないですね。大和くんは天使ときどき鬼畜、ときおり首輪。
 控え室に飛び込んできたリタに対してスティンガーが微妙に反応を見せ、ただの人見知りではないのかもしれず、リタが謎の騎士への乱入への対処を約束して、2回戦がスタート。
 あの鎧野郎は俺の獲物だからぼんくらどもは手を出すな、と凄むマーベラスをスティンガーが無言で押しのけ、間に挟まった天晴が(あ、俺、こういう空気苦手かも……)という顔になっているのが面白く、本編では舎弟達に囲まれていた天晴の意外な苦手分野?とコラボならではの表情を出してくれて良かったです。
 まあ、本編のタカ兄だと「そもそも空気が悪い事に気付かない」説があるので、これは人間的成長ではあるが、ラストニンジャとしては後退なのかもしれない……。
 そして始まる、変わり者チーム選抜vs乗り物チーム選抜による2回戦。
 <乗り物チーム! 轟轟戦隊ボウケンジャーより、ボウケーーンシルバー!>
 「眩き冒険者! ボウケンシルバー!」
 知力……
 <炎神戦隊ゴーオンジャーより、ゴーオーーンレッド!>
 「マッハ全開! ゴーオンレッド!」
 知力……
 <変わり者チーム! 手裏剣戦隊ニンニンジャーより、アカーーニンジャー!>
 「暴れて天晴! アカニンジャー!」
 知力……
 <宇宙戦隊キュウレンジャーより、サソリーーオレンジ!>
 「ポイズンスター! サソリオレンジ!」
 知りょ……あ、いや、このメンバーではだいぶマシか。
 という名乗りの印象だったので、体勢有利となった乗り物チームの二人が同じ方向にダッシュしようとしてぶつかり、セロリとトマトを囓っている間に出し抜かれて敗北する、というバカすぎる展開には物凄い納得感(笑)
 「結局、この世は頭がいいヤツが勝つ事になってるんだ」
 本編でも後半それどころではなかった「セロリ」ネタが時空を超えて再び炸裂しましたが、出合さんはセロリが苦手、と知って見ると、実に趣深く……10年の間に、克服するような事はあったのかなかったのか。表情見る限り、なんか駄目そうですが!
 友情出演の映士&走輔の生身のアクションも交えつつ、炎神が召喚できずサージェスと連絡は取れないが変身は可能であり、空には何やら結界のようなものがある? と戦闘の流れにスムーズに伏線を仕込んでいく中、いくら変身ヒーローと知っているとはいえ、変身前の走輔(素手)に一切の躊躇なく忍者一番刀で切りかかるタカ兄のキチガイぶりが本編よりレッドゲージですが、そういうキチガイぶりは、もっと本編で出してほしかったな! と思ってしまうのでありました。
 勝利した天晴&スティンガーは、エールを贈って帰還していく映士&走輔を見送るが、直後に大爆発。
 「一番強いのは……おまえか」
 再び乱入するガイソーグ! それを見て試合フィールドへと駆けるマーベラス! はいいけど、走って行ける場所なのそこ?! という疑問が浮かばずにはいられないその頃、新たな二人の戦士が洞穴の中に姿を見せ、リュウソウジャーから緑と黒が先行登場。
 カートリッジ型アイテム・ツヨソウルのネーミングには笑ってしまいました。
 アイテムを取り出す → 剣にセットする → がしゃこんする → 構えを取ってビートを刻む → 歌は気にするな! → パワーアップ
 という一連の動作はかなりテンポを阻害しそうですが、途中からある程度省略されそうとはいえ、本編でどういう形で見せていくのか、気になるところ。玩具ギミックの傾向としては『仮面ライダー』寄りという気もしますが、上堀内監督の参戦には、そういう事情もあったりしたのかも(或いは、上堀内監督の参戦によりそういう演出の方向性が決定したのか)。
 右腕に強化装甲をまとった黒い剣士は剛剣の一撃で岩壁を破壊し……彼らの目的は何か? そしてガイソーグの正体は!? でつづく。
 次回――「それぞれの思いを胸に男たちは戦う!」という煽りは少々どうかと思うのですが、カグラは次週も、ベンチで待機なのでしょうか。そして明かされるガイソーグの正体は、またも鎧に操られたアスカさん(アバレブラック)に1票。アスカさんwith伝説の鎧といえば、歴代屈指の化け物ですし。
 趣味嗜好としてコラボネタ自体がそんなに好きなわけでもなく、キャスティングの限界なども考え、荒川×坂本なら、がっかりという事はないだろう程度の気持ちで見始めたのですが、いやはや予想以上に面白かったです!
 ヒーロー同士の戦いが嫌なシチュエーションになる事を巧みに避けながら、お祭りで派手なバトルをしいてればそれでいい、という事にもせずにしっかりとストーリーを引っ張る謎を盛り込み、端々のファンサービスも豊富で、良い意味で期待を裏切られる出来でした。ヒーロー達が状況にあまり疑問を感じていない、という点は強引になりましたが、恐らくチケットを手にした時点で、何か暗示をかけられているのではとでも。
 難を言えば、メインチーム5人の揃い踏みが無かった事で“戦隊としての緩急・チームの意味”がやや弱かった事ですが、代表戦にする事でメイン5人と特別出演キャストの絡みに時間を取ったというのはお祭り企画としては納得できる方向性ですし、溜めて溜めて、どういう形で弾けてくれるのかに期待したいです。
 ところで、OP最後の5人重なって決めポーズを取るところが密かにトッキュウ仕様なので、いっそサソリオレンジには5本指を広げてほしかった。
 武器さえいらぬというのか……!