東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

青くても 海の戦士と 限らない

電撃戦隊チェンジマン』感想・第20話

◆第20話「大逆集!ギルーク」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 謎の怪魚が釣り人や漁師を襲い、それを撃退するチェンジマン。だが全国各地に次々と出現した怪魚は集団となるとタンカーや高層ビルさえ吹き飛ばし、発生源を叩かなくては対処しきれない、と捜索を開始する事に。
 情報収集中、田舎の小学校で子供達から新任の教師と勘違いされた勇馬は、担任の女性教師が突如失踪した事を知ると、教師がよく行っていたという岬で怪しげな洞窟を発見するが、そこへまさかの二刀流でギルークが降臨する!
 「惑星ギラスの鋼鉄で鍛えた、ギラス剣の刀の錆にしてくれるわ!」
 自ら前線へ趣いたギルークは予想を超える武闘派で、その斬撃を受けたペガサスは、敢えなく水落ち。
 「チェンジマンとはこの程度のものか……」
 海面を見下ろすギルークの傍らには、女王アハメスが姿を見せる。
 「アハメス、私の勝ちだな」
 「さあ? お手並みを拝見しますわ」
 そいつらは海に落としても死なないという情報を持っているアハメスは悠然と姿を消し、ギルークはバズーの言葉を思い出す。
 「おまえとアハメス、どちらか地球征服に成功した方を許す事にしよう」
 ギルーク遠征軍による地球侵攻の遅滞にお怒りのバズーは、赦免を条件にかつての盟友二人を競わせる条件を出し、やる事えぐい。
 1年間の特撮ヒーロー物はどうしても、強大な敵組織の側が連戦連敗する事による、実力者の弱体化と組織としての脅威感の減少が避けられないという構造上の問題があり、それを回避する為に様々な作劇上の工夫が凝らされますが、かなり速いペースで敵組織のトップが敗北に相応の追い込みをかけくるというのが凶悪。
 この調子だと3クール目に入る頃にはギルークが退場して新たな司令官が登場しそうな勢いですが、そうするには勿体ないと思わせる所も含めて、ゴズマ側の動きからも目が離せません。
 裏を返すと、ヒーローは基本的にリアクションの存在であり、物語を動かす軸は悪の組織サイドという構造が非常に明確に打ち出されているのですが、それを序盤から迷わず徹底しているのが、今作の引きの強さと、ゴズマ側の魅力になっている部分。
 一方で、ヒーロー側に主体性のあるドラマを強めよう、というのが、『フラッシュマン』以降のアプローチになっていくのかもしれません。
 子供達に拾われて目を覚ました勇馬は再び洞窟へと向かい、行方不明となっていた先生と、洞窟の様子を見に向かった少年が捕まっているところに突入。
 「大空勇馬……生きておったのか」
 「タケシくん! 俺は先生になれないけど、君たちの先生を取り戻す事はできる!」
 3枚目ポジションを疾風に侵食され気味だった勇馬は、子供達の為に奮闘する姿で正統派のヒーローポイントをプラスされ、追い詰められた所に駆けつける仲間達。
 ギルークを中心にブーバとシーマが両サイドを固めて、割と獣士そっちのけで主題歌をバックにした豪華バトルへと雪崩れ込み、初の直接戦闘となったギルークはもとより、ブーバとシーマも、純粋な戦闘能力はまだまだチェンジマンより格上、という扱いにホッとします(笑)
 そんな格上相手の戦闘においても、一撃で戦況を一変させる各々のズーカの威力が凄まじいのですが、今作のネーミングセンスの傾向から考えると、実は伝説の宇宙獣士ズーカの遺骸を元に造られた禁断の兵器とかなのではないか。
 ペガサスズーカの一撃が怪魚工場を破壊した事でギルーク達は撤収。取り残された獣士の攻撃でまとめて海に落ちるチェンジマンだったが、マーメイドが海の戦士らしいところを見せて反撃し、海中に逃げ込んだ獣士をパワーバズーカでデリート。
 チェンジロボは新アクションのスーパージャンプによる大回避からミサイルを撃ち込むと、風車斬りで獣士の鼻を落とし、サンダーボルトで勝利を収めるのであった。
 武闘派ヤクザだったギルークが戦闘力を見せつける、というインパクト以外は、ぼちぼちという出来。ギルーク司令は、自分が勝った暁にはアハメスの助命嘆願を行いそうな雰囲気があるのですが、アハメスがどう考えているのか……という辺りは気を持たせ、この二人の関係性は先々楽しみです。
 長崎ロケに始まる激動の展開から、次回、箸休め? なんだかネタっぽい感じの獣士ですが、果たして。