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不思議女王アマゾなアハメス

 『ルパパト』が難産になりそうなので、今週はちょっと早めに『チェンジマン』。

電撃戦隊チェンジマン』感想・第17-18話

◆第17話「長崎の謎の幽霊船」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 佐世保九十九島観光ホテルを拠点に、幽霊船の噂を確かめに長崎オランダ村までやってきた疾風、謎の美女に目撃場所まで案内されていると、突如、右腕にグローブをはめたヒドラ兵の集団に襲われ、更に謎の美女の繰り出した指からビームを浴びて水落ち。
 佐世保九十九島観光ホテルにも戻ってこず、疾風と連絡の途絶えた電撃戦隊では飛竜達4人が急遽増援に向かう一方、この事件は、大星団ゴズマをも、驚かせていた。
 「ヒドラ兵を誘拐し、操る者が居るとおおせられるのですか?! いったい……なにもの」
 「それでよく大星団ゴズマの遠征軍司令官が務まるな。ギルーク、草の根分けても探し出し、抹殺せよ」
 「ははーっ」
 ギルークとバズーの完全に時代劇な芝居を挟み、長崎の地に集う電撃戦隊とゴズマ遠征軍。観光タイアップ回なので、いちいち移動手段や観光地の名前を劇中に盛り込むのが、妙に面白い事になっています(笑)
 飛竜達は、まさか同じく謎の敵勢力を追っているとは知らずにブーバと鉢合わせするが、そこに当の謎の第三勢力が現れ、カラーボールの集合体のような宇宙獣士ギルバが体からボールを飛ばすと、それを右腕に填めたヒドラ兵がパワーアップ。
 4人はレッツチェンジし、前半から主題歌バトルという変化球。観光タイアップ回なので、アスレチックを滑り落ちたり、パイプスライダーをくぐり抜けたりが展開し、ダブルズーカで獣士を吹き飛ばすが、バラバラになった獣士は再結合して復活。そして、空に幽霊船が浮かぶと、さらわれるブーバ(笑)
 最近コミカルな芝居で独自の立ち位置を固めつつあったブーバですが、え? 待って? ヒロインの座も獲りに行くの? と困惑している内に獣士も幽霊船に乗って姿を消してしまい、謎の敵の存在を確認したチェンジマンは、佐世保九十九島観光ホテルに急行。そこで疾風が、一度は部屋に戻って傷の手当てをしていた事を知ると、観光地を巡りながら手分けして疾風と幽霊船を追う事に。
 だが疾風は、4人の到着を知りながら敢えて姿を隠し、自分を罠に填めた女を捜すという、大変駄目な方向に格好を付けていた。
 一方、飛竜は教会の墓地で発見したシーマを尾行していたが、ブーバを捕らえたUFOを発見したシーマともども、謎の美女により捕縛されてしまう。
 「貴様は何者だ?!」
 みなぎるアースフォースで鎖を引きちぎった飛竜はチェンジドラゴンするが、謎の美女は、白銀のローブを身に纏った銀髪の魔女の正体を現す。
 「アマゾ星の女王、アハメス」
 17話前後というのは戦隊シリーズにおける新展開の定番時期ですが、序盤に存在の示されていた、かつてギルークと共にバズーに抵抗する一大勢力であった女王アハメスが、早くも登場するという驚きの展開。そろそろ単発エピソードが単調になりそうだった頃合いに、ぐっと踏み込んだボールを投げ込んできました。
 幽霊船の噂はチェンジマンを誘き出す為の罠であり、強化ヒドラ兵・宇宙獣士ギルバ・女王アハメス、に囲まれて追い詰められるドラゴンだが、水上バイクで救援に駆けつけるペガサス達3人。しかし4人しか居ないチェンジマンは全力を発揮できず、ギルバの爆弾ボールに大苦戦。
 「おのれぇ! グリフォンさえ居てくれれば!」
 その行方不明の問題児は、モーターボートで現場へ急いでいた(笑)
 仲間の危機に駆けつけようとする疾風の姿が非常にドラマチックに描かれるのですが、そもそも、姿を見せなかった理由が個人的なプライドなので、大変困った展開。
 まあ今回に関しては、観光地タイアップ・水上バイク・モーターボート、など、見せたい(ないといけない)ギミックありきで、話の筋の方が従属的扱い、という事情はあったのでしょうが。
 ヒドラ兵とのボート上バトルを切り抜け、復活する疾風翔。
 「生きていたとはね。ギルークが手を焼くだけの事はあるわけね」
 グリフォンが変身し、5人揃ったチェンジマンは、咲き誇るチューリップと回る風車を背景に大乱戦に突入。
 「アマゾ星の再興を願い、宇宙を放浪しながら身につけた私の力を、見せてやる」
 ポーズを取ったアハメスは、魔球アハメスフィールドを発動し、基本装備がステッキだし、髪飾りが猫耳に見えるし、なんだか若干……魔法少女風味。
 幻惑的な空間に飲み込まれて苦戦するチェンジマンだったが、5人のアースフォースを合わせた合体フラッシュで空間を突破すると、アハメスの横にぼんやり突っ立っていったボール獣士をパワーバズーカで撃破。だがアハメスは掟破りのレンタルギョダーイでギョダーイを地上に召喚すると獣士を巨大化させ、突然消えたギョダーイに驚く航海士と、おっとり刀で「どうした?」と顔を見せるギルークが妙に面白い事に。
 そしてチェンジロボは、普通に長崎までひとっ飛びであった!
 一度横薙ぎに切り払ってから、返す刀でサンダーボルト、という格好いい必殺攻撃が炸裂するが、砕け散ったボール獣士は再び復活(の際に元の大きさに)。
 「宇宙獣士ギルバは、不死身だ!」
 「チェンジマン、お前達をこの長崎の地から生かしては返さないわ」
 ギルバを回収したアハメスはチェンジマンに宣戦布告すると幽霊船で飛び去っていき、地球vs大星団ゴズマの争いに、思わぬ勢力が介入するのであった! で、つづく。
 とりあえず、早く気付いてギルーク(笑)
 ……まあギルークの場合、わかっていてバズー相手に素知らぬ振りを通している可能性はありますが。
 過去作でいうとゼーノビーアーーを思い出す魔女っ子もとい女王アハメス。キャスティングもなかなか良い感じで、今後の活躍に期待。一方、タイアップ回の事情を感じさせる諸々でエピソードの出来はあまり良くありませんでしたが、特に強敵獣士の特性や見せ方が、2話前の岩石獣士と被ってしまったのは残念。

◆第18話「アハメスの挑戦!」◆ (監督:山田稔 脚本:曽田博久)
 長崎オランダ村から、九十九島にかけて出没する幽霊船騒ぎは、チェンジマンを誘き出す罠であった!
 「バズー様、私はお許しを請いたいのです。チェンジマンをこの手で倒す事によって、かつての身の程知らずの叛逆のお詫びをしたいのでございます」
 「今頃どういう風の吹き回しだ」
 アハメスの呼びかけに応えてわざわざ姿を見せるバズー様は、『信長の野望』シリーズで<内政>を最後まで全手動でやるタイプ。
 改めてゴズマへの帰順を望み忠誠を誓うアハメスに対し、バズーは最低限の条件としてチェンジマン打倒を命じ、動向が注目されたアハメスは、まずはシンプルにゴズマ側の戦力強化となる形に。
 「女王アハメスよ、共に戦おうでないか」
 事情を知ったギルークは喜び、特にこの二人の掘り下げもなくて今回限りでは肩すかしでしたが、現時点でギルークとアハメスが手を組んでバズーに反抗するというのは無理がありますし、今後の波乱要素として期待。
 その頃チェンジマンは、佐世保九十九島観光ホテルで、傷の治療をしていた。だがこれ見よがしに幽霊船が出現し、激昂した疾風を先頭に飛び出したチェンジマンを待ち構えるアハメスの手勢。疾風は段々と、感情の起伏の激しい猪武者と化していき、レンジャー成分がどこかに消えつつありますが、知力(知略)が致命的に低いので仕方ないのか……。最前線の兵隊に、歯車である事への疑問など不要なのです。
 だが正式にアハメスの指揮下に入った強化ブーバとシーマによりさやかが囚われ、アハメスとボール獣士まで姿を見せるという、畳みかける大ピンチ。チェンジマンは幽霊船に連れ去られたさやかをボートで必死に追いかけ、近作ならそろそろ追加戦士が助けに来そうなところですが、そこに入ってきた伊吹長官からの通信により、幽霊船にエネルギーを与える施設が、オランダ村近くの長崎バイオパークに隠されていると判明する!
 勇馬と麻衣が幽霊船の追跡を続けている内に、飛竜と疾風は動植物いっぱいの長崎バイオパークへと乗り込み、カバの泳ぐ池を背後にヒドラ兵と戦う絵図が、なかなかシュール。
 そしてそれを、ラマっぽい何かが見ていた。
 バイオパークを占拠したヒドラ兵をステルスキルしていく飛竜&疾風がフラミンゴの群れの中を走り抜けている頃、勇馬&麻衣は襲い来るヒドラ兵と今回も水上バトル。近年はめっきりやらなくなりましたが、安全基準だったり撮影場所の問題だったりするのでしょうか。
 勇馬と麻衣がゴズマの目をひきつけている間に、飛竜と疾風がバイオパークに隠されていたUFOの破壊に成功した事で、ワープ能力を失う幽霊船。甲板に乗り込んだ赤と黒はさやかを救出すると思い切りズーカを打ち込み、幽霊船を撃墜する。
 「アハメス! この美しい地球に邪悪なエイリアンは似合わないぜ!」
 「宇宙の果てに追い返してやるぞ!」
 「「「「「電撃戦隊・チェンジマン!!」」」」」
 シナリオ面では今回もドタバタした内容でしたが、なんだかんだ敵幹部を交えての主題歌バトルは盛り上がります。珍しく直接戦闘を見せるシーマは桃と白を圧倒し、ブーバは青と黒を相手に格闘戦で渡り合い、アクション面では非常に充実。
 アハメス&獣士に赤も劣勢を強いられ、追い詰められるチェンジマンだが、ズーカ一斉発射からのパワーバズーカで獣士を粉砕して巨大戦に持ち込み、この辺りの流れは実に大雑把。
 テーマソング2番でアースコンバージョンしたチェンジロボは、獣士の肉体を構成するボールを火力勝負で破壊し尽くすと電撃剣疾風斬りで再生能力を奪い、トドメはサンダーボルト。……成る程、今回の獣士は、ブドウであったのか。
 かくして女王アハメスの用意した死地・長崎の激闘をくぐり抜けたチェンジマンは、お詫びのお土産を山ほど抱える疾風を連れ、無事に東京へ戻るのであった。果たして、アハメスの次なる手は! で、つづく。