『電撃戦隊チェンジマン』感想・第15話
◆第15話「暴走ライダー麻衣」◆ (監督:長石多可男 脚本:鷺山京子)
あらゆるガスを毒ガスに変えてしまう宇宙獣士ロガンにより、大規模テロが発生! 戦いを挑んだチェンジマンは、全身岩の塊のようなロガンの岩石攻撃に苦戦するも、チェンジソードの一斉射撃によってバラバラに粉砕。意気揚々と基地に戻るが、どういうわけか再び出現したロガンによって毒ガステロが続行されてしまう。
岩石獣士には何か秘密があるのかもしれない……バイクでパトロール中に突然飛び出してきた猫をよけた際、続けて暴走気味に突っ込んできてあわや衝突寸前だったバイクの青年が、「化け物に追われている」と口走っていた事を思い出した麻衣は、その青年が何かを知っているかもしれない、と思いつく。
青年・ケンが、オートバイ乗りに次々とレースを挑み、無謀な運転でクラッシュさせてはキーを奪い取るバイク狩りを行っている事を知った麻衣は、同じくバイク狩りを行ってケンを挑発し、麻衣さんの発想がだいぶおかしいですが、つまるところ今回は、ヤンキー物であります(笑)
「ロガンの秘密を見た者が居る。生かしてはおけないわ」
シーマもまた、獣士の秘密を目撃したケンを狙う中、華麗なバイクテクニックで次々とオートバイ乗りを血祭りに上げた麻衣の前に、プライドを刺激されたケンが目論見通りに姿を見せ、麻衣が化け物について問い質す、際に物凄くナチュラルにさやかさんがフレームインしてきて、戦慄。
だが渚さやかの本当の恐怖を知らない若者ケンは、質問への回答を拒否。
「人の事なんかどうなったっていいじゃねぇか」
「そんな言い方ないでしょ?!」
「それより勝負すんのかしねぇのか!」
「あんたみたいなのはねぇ、ホントは勇気なんか無いのよ!」
「なんだと?!」
「ただツッパってるだけじゃないのよ!」
胸ぐらを掴みあう麻衣とケンだが、ケンがジャンパーの下に猫(冒頭で麻衣が轢きかけた猫)を大事に抱えていた事が発覚。
恥ずかしい!
恥ずかしいぞ!
「こいつ口で言うほどワルじゃないよ。あたしはこいつに賭ける!」
それを見た麻衣は、薬を嗅がせたケンを電撃基地に拉致して地下300mに用意されたあらゆる電波を遮断する特別処置室で(以下略)するのではなく、ケンの土俵で正面からぶつかり合う事を選び、バイクへとまたがる。
「麻衣、大丈夫?」
「大丈夫よ」
一度は止めようとしたさやかと微笑みをかわし、最初のキャラ回がコンビだった二人の間に育まれている友情を補強してくれたのは手抜かり無く良かったところ。
「私が勝ったら、全部話してもらうわよ」
「行くぜ!」
獣士の情報を賭けた命がけの暴走レースがスタートし…………え……あの……上着の中の猫は?
必要以上に見ている側をドキドキさせるバイクバトルはオフロードに突入して白熱するが、その時、二人の姿を捉えるシーマと岩石獣士。
「ふふふ、魚の方から網に飛び込んできたようだな」
シーマの放った念動力により、派手に転倒したケンはバイクから投げ出されて地面を転がり、猫ーーーーー!!
続けて放たれたヒドラ兵をバイクで蹴散らした麻衣は、ケンを後ろに乗せて逃走をはかるが岩石爆弾の派手な爆発により、二人まとめてバイクから投げ出されるという迫力満点のアクションが続いて、猫ーーーーー!!
「何故なんだ?! 俺と勝負したり、俺を助けようとしたり、どうしてそんな事するんだ」
「……わかんないわよそんな事! 早く逃げて!」
軍人の使命感以上に、個人としてぶつかろうとしている、という麻衣の心情は背景不足でやや飛躍した感じになってしまいましたが、流れとしては完全に熱血教師のそれであり、これを飛竜ではなく麻衣に持ってきたのがちょっとした変化球の上で、麻衣さん見るからに元レディースなので、スケバン物要素も加わって絶妙のはまり役(笑)
ケンを逃がす為、囮となって駆け出した麻衣は生身でヒドラ兵に立ち向かい、蹴り技などは吹き替えではなさそうで、結構動けるキャストなのか。再び岩石爆弾により苦境に追い込まれた時、藪の中に身を潜めていたケンが思わず飛び出してロガンの再生能力の秘密は体にかかったネットにある事を伝えるが、二人は爆弾にまとめて吹き飛ばされてケンは気絶し、猫ーーーーー?!
「毒ガスで人々を苦しめたシーマ! ロガン! 地球を地獄には変えさせない! ――チェンジ・フェニックス!」
トドメが迫る寸前、仲間が合流して麻衣は変身し、キャラ回のいい所で、啖呵を切って単独変身をびしっと決めてくれるのは、チェンジマンのパターンとして格好いいところ。
桃は個人技フェニックスファイヤーで岩石獣士を炙り、追撃のファイヤーボンバーで弱らせた所にパワーバズーカ。バラバラに砕け散ったロガンは赤いネットを中心に再生しようとするが、そのネットをフェニックスファイヤーで燃やす事で、撃破に成功する。
巨大ロガンがドラゴンを鷲掴みにするという変化球が入り、チェンジソードで怯ませて脱出してからシャトルベース発進と、2クール目に入った事もあってか、ちょこちょことお約束の流れにアクセントを加えてきます。
巨大ロガンはネットをバルカンで粉砕してからサンダーボルトで粉砕し、毒ガステロ事件は終結。本当の勇気を見つけたケンは麻衣を「アニキ」と慕う弟分となり、無事だった猫ーーーーー!!
この猫、マスター・シ○ーフーの仮の姿なのではないか。
ひねくれた不良青年の更生というジャンルもの構造で、物語の内容自体はそれほど面白くありませんでしたが、バイクを中心に派手なアクションをテンポ良く畳みかけ、岩石獣士の造形も面白く、飽きの来ない展開の一本でした。
次回――全力で藤井脚本の予感がするな!