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急げ合体 アースコンバージョン

電撃戦隊チェンジマン』感想・第14話

◆第14話「攻撃!巨大トカゲ」◆ (監督:長石多可男 脚本:曽田博久)
 冒頭に前回のあらすじ映像が流れ、改めて、崖から落ちて転がりながらフィールド発生装置を破壊する飛竜さん、墜落のプロフェッショナル。
 疾風の美少女サーチャーによりナナを発見したチェンジマンは、車に轢かれそうになったナナを飛竜が助けた事で打ち解けるが、そこにやってきた熊沢によりナナを連れ去られてしまう。熊沢研究所へ急ぐチェンジマンの前にはバラスが立ちふさがり、アースフォースさえ吸収しようとするバラスに苦戦するチェンジマンは、4人がバラスを食い止めている間にドラゴンを先に行かせるが、これまでの戦歴からいって、その人、単独先行させて大丈夫なのか(笑)
 一方、「チェンジマンは悪い人ではない」と疑問を呈すナナをなんとか丸め込んだ熊沢はサプリメント製造マシンを修復させるが、そこに乗り込んでくる飛竜。
 「ナナちゃん! 君は騙されているんだ!」
 ブーバとバラスが装置とギョダーイを回収して撤収し、その場を任され光線銃一つで飛竜と戦う熊沢、あ、確かに、狂ってる(笑)
 「俺は大星団ゴズマの一員だ。偉大なる星王バズー様から、地球支配を任された選ばれた人間なのだ!」
 一種の誇大妄想の域に居る熊沢でありますが、大星団ゴズマが侵略地域の住民を次の侵略の尖兵としている事を考えると、この宇宙においてゴズマに服従する道を選んだ人間の思考としては一般的なものと思われ、「地球人の裏切り者」の立場が、しっかり『チェンジマン』として調理されています。
 こういったスケール感の一貫は、今作の長所の一つ。
 テクノ惑星リゲルは、拉致されたナナが眠っている間に壊滅、ナナの父は既にブーバの手で殺されている事が明かされ、前編でややスッキリしなかった、どうして「地球人のそっくりさんを使う」というえらく回りくどい方法で天才頭脳を悪用しようとしていたのかというと、「ゴズマがテクノ惑星を支配できていなかった」のではなく、「貴重な生き残りだったのでVIP待遇していた」と判明。
 「少女一人をさらうついでにテクノ惑星を壊滅させた」でも「惑星のジェノサイド中に地球人の協力者を利用する作戦を思いついた」でも、どちらに転んでも恐るべし、大星団ゴズマ。
 前回、

 一つわかる事は、ゴズマは天才惑星を征服できていないという事実です(笑)
 と書いたのですが、大星団ゴズマの勢力は予想を遙かに上回る強大なものであった事を認め、謹んでお詫びいたします。
 「パパは……殺されちゃったの?」
 「そんなこと知った事か!」
 飛竜の胸に顔をうずめて泣きじゃくるナナに、平然と光線銃を向ける熊沢は良い感じに非情な悪人らしくなり、こちらも前編の物足りなさを払拭。特段の背景を持たない“純然たる腐れ外道”というのも少女の悲劇性と鮮やかに対を成し、今回においては上手く機能しました。
 熊沢の銃撃を受けてグリッドマンばりに悶絶する飛竜だったが、ナナがジーニアスビームで光線銃を弾き飛ばしたところに、サプリメントでムキムキになったギョダーイにより、巨大化したトカゲが出現。泡を食って逃げ出した熊沢は、迫り来る巨大トカゲの尻尾の一撃を受けて墜落死し、哀れな最期を迎える事に。
 この場を逃げ切ってもゴズマには切り捨てられていた可能性が高そうではありますが、チェンジマンが身柄を確保したら確保したで、即席の軍事法廷により国家反逆罪で銃殺刑脳をかき回して搾り取れるだけのゴズマの情報を搾り取って死ぬより酷い目に遭わされるに違いなく、どちらかというと穏当な着地であったでしょうか(え)。
 飛竜は熊沢の最期をナナと共に見届け、「どんな悪人でも死ぬ事はなかった……」などといった感慨を呟く事はなく、「天罰覿面、悪は滅びた」とナナに語りかけるのが、80年代というか時代劇というか(今回、熊沢はなんだか時代劇の悪徳商人ぽい)。
 飛竜が合流したチェンジマンはレッツチェンジするも、エネルギー返しにより全ての攻撃が通用しないバラスに苦戦するが、フォーメーション攻撃による円陣射撃でダメージを与えると、瀕死のところにパワーバズーカで爆殺。
 「ギョダーイに巨大化光線を撃たせるな!」
 すかさず遂に、敵の巨大化担当を撃つという1クールの間暖めておいた必殺の戦術で不意を突くが、ボディガードのブーバがカバーリングし、割としっかり、ツッコミどころを潰してきます『チェンジマン』。
 ギョダーイのフォーカス回という事で、今回急に撃つことの違和感を減じ、その上で一度撃ってみたという実績を作っておくのが鮮やか。
 また、ブーバの口からギョダーイは貴重な生物である事に触れられ、恐らく従来のゴズマ(ギルーク遠征軍)の戦術では、仮に宇宙獣士が敗れても巨大化する事でほぼチェックメイトに持ち込むという切り札的存在であったのかと思われ、ゴズマからすると、地球人はどうして巨大ロボなんて持っているの?! という戦術の見直しを求められる状況なのかもしれません。
 そう考えると、ここに来てギョダーイの強化――切り札の運用改善――を迫られた、というのも納得ができます。
 バラス・トカゲ・トカゲと3体の巨大な敵を相手にする事になったチェンジマンは、問答無用にチェンジロボで斬殺……するのではなく、合体前のメカを駆使して立ち向かい、前回の巨大戦が短かった分もあってか、今回はメカニックの見せ場がたっぷり。トカゲ2体をミサイルで葬り去った所でアースコンバージョンするが、ブーストギョダーイが目論見通りに巨大トカゲを追加。
 「ははは、やれやれっ!」
 だが挟み撃ちを受けたチェンジロボはフルパワーでバラスとトカゲを吹き飛ばすと空中から爆撃、そして電撃剣でまとめてサンダーボルトし、やはり、トカゲはトカゲなのであった!
 ギョダーイのボーナスタイムもここで終了し、ゴズマのビッグアニマルSOS大作戦は失敗。そして天涯孤独の身の上となったナナは、飛竜への感謝を伝えるメッセージカードとイヤリングを残し、姿を消すのであった……。
 「ナナちゃん、困った時や辛い時、寂しい時には、必ずチェンジマンに会いに来てくれ。俺達は、いつだって君の力になるんだからね!」
 帰る星を失った天才少女にどう始末をつけるのかと思ったら、
 「私、この星地球で、生きていきます」
 とゴズマから身を隠す為に自ら姿を消す、という予想外のたくましさ(笑) 天才洗脳光線とかで大富豪の養女に収まったりしそうで、こわい。
 ナナの扱いはやや放り投げ気味になりましたが、前編ですっきりしなかった要素の大半に筋道を付け、前回は瞬殺だった巨大トカゲも大暴れして、チェンジロボの敵ではないが人類文明には脅威である事を見せる、と隙なく穴を埋める作りの後編で、面白かったです。