東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

儂たちが守るべきは法律じゃない

配信『グリッドマン』完結記念・逆恨み同盟犯行記録

 簡単な総括も兼ねて、逆恨み同盟の犯罪の歩みをまとめてみました。特に規模が大きかったり被害が深刻であった(可能性が高い)ものに関しては、強調しています。サブタイトル横の〔〕内は、ついでに簡易評価。

◆第1話「新世紀ヒーロー誕生!」◆ (監督:曽我仁彦 脚本:平野靖士) 〔-〕
犯罪行為:井上病院へのハッキング
被害:手術中の停電、ポルターガイスト現象、医療事故の危険
◆第2話「アクセプターの秘密」◆ (監督:曽我仁彦 脚本:平野美枝) 〔-〕
犯罪行為:大学へのハッキング
被害:大学のコンピューターのシステム改竄(CワールドからHワールドへの扉を開く為)
◆第3話「電話パニック危機一髪」◆ (監督:神澤信一 脚本:平野美枝) 〔○〕
犯罪行為:電話局のシステム破壊
被害:電話の不通
二次被害警察・救急などへの電話連絡不能による事件事故の拡大?
◆第4話「暴走自動車」◆ (監督:神澤信一 脚本:平野靖士) 〔-〕
犯罪行為:コンピューター制御システム搭載自動車をハッキング
被害:自動車の暴走
二次被害:コメンテーターの細野の逮捕?(社会的名声の失墜)
◆第5話「男の意地の必殺剣!」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野美枝) 〔-〕
犯罪行為:流通センターへのハッキング
被害:流通システムの破壊
二次被害経済的大混乱、医薬品の不足、一平の空腹
◆第6話「恐怖のメロディ」◆ (監督:村石宏實 脚本:川崎ヒロユキ) 〔△〕
犯罪行為:殺人音楽の拡散
被害:桜が丘住民の健康
二次被害:対象の電子ピアノの評判悪化
◆第7話「電子レンジ爆発0秒前」◆ (監督:川崎郷太 脚本:静谷伊佐夫 〔-〕
犯罪行為:日記の盗み読み(未遂)、電子レンジ破壊(未遂)
被害:
二次被害:直人の下衆っぷりが笑えない領域に突入
◆第8話「兄弟の絆」◆ (監督:川崎郷太 脚本:神戸一彦) 〔×〕
犯罪行為:エアコンのシステム破壊
被害:桜が丘住民の健康
二次被害大地凍死寸前、対象のエアコンの評判悪化
◆第9話「悪魔の洗脳作戦」◆ (監督:村石宏實 脚本:新藤義親) 〔×〕
犯罪行為:塾講師の洗脳
被害:塾生たちの非行
二次被害:塾の評判悪化
◆第10話「危険な贈り物」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野靖士) 〔△〕
犯罪行為:水道水の塩素消毒の仕組みに介入
被害:家庭の水道から濃塩酸が噴出
二次被害人的被害が出ている可能性大
◆第11話「おこづかいは十万円?」◆ (監督:小中和哉 脚本:川崎ヒロユキ) 〔○〕
犯罪行為:支払用カード電磁的記録に関する罪
被害:レジ爆発
二次被害:事後処理における金銭トラブル
◆第12話「怪盗マティに御用心!」◆ (監督:小中和哉 脚本:右田昌万 〔△〕
犯罪行為:警備保障会社のセキュリティシステム破壊
被害:契約建物のセキュリティ故障
二次被害ゆか兄臨死体験
◆第13話「スポーツなんか大嫌い」◆ (監督:北村義樹 脚本:平野美枝) 〔◎〕
犯罪行為:スポーツクラブの健康管理プログラム改竄
被害:トレーニングマシン暴走(による父トリオ臨死体験
二次被害:スポーツクラブの評判悪化、多額の賠償問題に発展する可能性
◆第14話「あやつられた時間」◆ (監督:北村義樹 脚本:静谷伊佐夫 〔-〕
犯罪行為:グリニッジ標準時センターのハッキング
被害:全世界の時計がズレる→体感時間の混乱→時間による肉体支配
二次被害世界的な健康被害と経済的影響
◆第15話「歪んだターゲット」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野靖士) 〔-〕
犯罪行為:大人気ガンシューティングゲームのシステム改竄
被害:ゲームの銃から本物の光線が!
二次被害:当該ゲーム及びゲームセンターの評判悪化
◆第16話「一平、チビる!?」◆ (監督:村石宏實 脚本:神戸一彦) 〔×〕
犯罪行為:警察署の防犯システムをハッキング
被害:凶悪強盗犯が脱走
二次被害:一平監禁
◆第17話「孤独なハッカー」◆ (監督:石井てるよし 脚本:平野靖士) 〔○〕
犯罪行為:パソコン通信ネットワークに介入して利用者を洗脳
被害:悪のハッカー軍団誕生
◆第18話「竜の伝説」◆ (監督:石井てるよし 脚本:神戸一彦) 〔×〕
犯罪行為:考古学研究所へのハッキング
被害:古代のミイラ蘇生
二次被害:考古学研究所の信用問題
◆第19話「セクシー婦警SOS!」◆ (監督:北村義樹 脚本:大川俊道 〔×〕
犯罪行為:美容院へのハッキングによる遠隔放火
被害:ぼや騒ぎ
二次被害直人母ら臨死体験
◆第20話「地球から色が消える?!」◆ (監督:北村義樹 脚本:新藤義親) 〔×〕
犯罪行為:CGアーティスト事務所へのハッキング
被害:PC内のカラーパレット破壊→色覚破壊光線による一時的な色覚喪失
二次被害:ジロウ・ダイは仕事の〆切りに間に合わなかったかもしれない……
◆第21話「処刑!!夢のヒーロー」◆ (監督:村石宏實 脚本:川崎ヒロユキ) 〔○〕
犯罪行為:ドリーム枕をハッキングして人々を夢の世界に引きずり込む
被害:グリッドマン処刑の悪夢
◆第22話「復活!恐竜帝王」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野美枝) 〔△〕
犯罪行為:大学へのハッキング、ショベルカーへのハッキング
被害:恐竜のデータ改竄
◆第23話「暗殺!地獄の雷鳴」◆ (監督:石井てるよし 脚本:神戸一彦) 〔×〕
犯罪行為:変電所へのハッキング
被害:大規模停電
二次被害多数
◆第24話「恋!バイオフラワー」◆ (監督:石井てるよし 脚本:静谷伊佐夫 〔-〕
犯罪行為:バイオ園芸センターのシステム改竄によるバイオテロ
被害:遺伝子改造された花が毒花粉をばらまくようになる
二次被害:バイオ園芸センターの評判悪化、研究者の将来、花屋の経営問題
◆第25話「決戦!ヒーローの危機(前編)」◆ (監督:北村義樹 脚本:平野靖士) 〔-〕
犯罪行為:排煙処理施設のシステム改竄による大規模バイオテロ
被害:東京を覆う毒ガスの発生
◆第26話「決戦!ヒーローの最期(後編)」◆ (監督:北村義樹 脚本:平野靖士) 〔○〕
犯罪行為:排煙処理施設のシステム改竄による大規模バイオテロ
被害:首都圏に非常事態宣言
◆第27話「驚天!オモチャの反乱」◆ (監督:村石宏實 脚本:大川俊道 〔×〕
犯罪行為:ラジコンジャック
被害:ラジコン暴走により子供が負傷
◆第28話「神かくし!ゆかが消えた!!」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野美枝) 〔-〕
犯罪行為:盗撮、ビデオテープ内への人間閉じ込め
被害:ゆか監禁、人間消失
二次被害:ゆか失踪騒ぎ
◆第29話「愛犬爆弾計画」◆ (監督:石井てるよし 脚本:新藤義親) 〔△〕
犯罪行為:犬の凶暴化→犬爆弾テロ
被害:犬爆死
◆第30話「世界滅亡の日」◆ (監督:石井てるよし 脚本:右田昌万 〔-〕
犯罪行為:コンピューター占いのシステム改竄
被害:理性を失った大衆の暴走
二次被害:翔家・家庭崩壊の危機、ゴッドゼノンにしばかれまくるグリッドマン
◆第31話「怪獣ママは女子大生」◆ (監督:北村義樹 脚本:神戸一彦) 〔○〕
犯罪行為:(※女子大生キララ発案による電話局のシステム改竄)
被害:あらゆる電話が悪戯電話に
二次被害:喧嘩多数
◆第32話「人間掃除機の襲撃!」◆ (監督:北村義樹 脚本:静谷伊佐夫 〔-〕
犯罪行為:掃除機により人間を吸い込む
被害:5人が真空パック寸前
◆第33話「もうひとりの武史」◆ (監督:高野敏幸 脚本:右田昌万 〔○〕
犯罪行為:市役所へのハッキング、最新型腕時計のマイクロチップを操作
被害:多数の人間の行動操作
二次被害:直人と一平がゆかの平手打ちを食らう
◆第34話「ボディガード弁慶参上!」◆ (監督:村石宏實 脚本:神戸一彦) 〔△〕
犯罪行為:桜が丘大学へのハッキング
被害:瞬間物質移動の実験システムへの改竄
二次被害:弁慶による物損
◆第35話「ぎくっ!スケバンゆか!?」◆ (監督:村石宏實 脚本:静谷伊佐夫 〔×〕
犯罪行為:
被害:ゆかスケバンに
二次被害:ナンパ男達の財布
◆第36話「やったぜ! ベイビィ」◆ (監督:北村義樹 脚本:新藤義親) 〔×〕
犯罪行為:ショッピングビルへのハッキング
被害:ゆか&ゆか従姉の臨死体験
二次被害
◆第37話「えっ! パパが死刑?」◆ (監督:北村義樹 脚本:右田昌万 〔○〕
犯罪行為:司法省のコンピューターをハッキングして全国の警察官を洗脳
被害:カーンデジファー憲法制定による法的混乱
二次被害直人父臨死体験
◆第38話「危うし地球!」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野美枝) 〔○〕
犯罪行為:ゴミ焼却施設へのハッキング、(カーンデジファーによるCワールド完全支配)
被害:ゴミ収集不能、毒ガス蔓延、(世界規模のインフラテロ)
◆第39話「さらばグリッドマン」◆ (監督:村石宏實 脚本:平野靖士) 〔○〕
犯罪行為:電波ジャック、世界規模のインフラテロ
被害:人類文明の危機

 今作序盤は、大規模災害を暗示する事でリアリティを持たせる要素を盛っていた事もあり、基本的に都市インフラを狙った犯行が被害規模が大きくなるのですが、〔電話局・流通センター・水道局・変電所・(警察署)・排煙処理施設・電話局(2回目)・(司法省)・ゴミ焼却施設〕と、公的機関を含めて社会インフラ的な対象を狙ったエピソードが全体の約4分の1。
 並べると「ガス」が狙われなかったのが浮かび上がりますが、元栓レベルだと家庭でも簡単にいじれてしまう事への配慮があったのかもしれず、最終回でカーンデジファー様が「電波」をジャックしている事を考えると、一通りの対象を意識的に抑えたのでは、と思われます。
 やや変則的なのが、グリニッジ標準時センターをハッキングして時計を狂わせた第14話で、インフラそのものではないが、文明社会における基準値を歪める事で大々的な混乱を巻き起こしており、個別の攻撃対象にはされなかった「交通インフラの破壊」は、このエピソードに含まれていると考えて良いのかも。
 最終的には「時計が狂う」どころか「狂った時計が人間を支配する」に至り、全世界に影響が与えていると明示されている点も含めて、本編屈指の被害規模かつトンデモエピソード。
 逆恨み同盟(というか武史)の特性として、インフラ攻撃という行為そのものが「目的」であり、その攻撃により引き起こされる「結果」は副産物に過ぎない、というのがあるのですが、その点で異色なのが「排煙処理施設のシステム改竄による大気汚染テロ」までを明確な目的とした第25-26話で、節目のエピソードとしての意識が窺えます。
 また、その1話前である第24話も、「花の遺伝子改造による嫌がらせ」ではなく「花の遺伝子改造による毒花粉の散布」が目的となっており、振り返ってみると、続く前後編への意図的な前振りとなっていたのかもしれません。
 この構造は、第37話/第38-39話も同じ関係性になっているといえ(またこのエピソードは、大切な家族の存在、も再確認している)、1話1話の完成度という面では落ちるところもあるものの、今作全体の、構成に対する目配りを感じます。
 総体としてはライトタッチな今作ですが、凍死寸前になる大地、脳を茹でられそうになる直人母、トレーニングマシンに殺されかける父トリオ、真空パックされそうになる一平母&ゆか母、電気ショックで痙攣するゆか兄、と主人公達の身内がほぼ全員、最低一度は死の淵を覗いているというのは特徴的であるかもしれず……さすがカナ、独りだけこの死のルーレットから逃れていた(笑)
 それぞれの家族がジャンクトリオの“正義”や“良心”の背景となる中で、病院経営の富裕層という設定が武史との対比において使いにくかったのか、井上家がややフェードアウト気味になってしまいますが、“家庭環境の重圧により受験ノイローゼ気味”のゆか兄には武史と通じる部分があり、もし後1クールあったら、武史とゆか兄のエピソードは見てみたかったかも(とんでもない大惨事になった可能性はありますが)。