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連闘グリッドマン

電光超人グリッドマン』感想・第34話

◆第34話「ボディガード弁慶参上!」◆ (監督:村石宏實 脚本:神戸一彦)
 尼崎、懲戒免職になっていなかった。
 ……特に嬉しくもないのが悩ましいところですが。
 不良からかつあげにあって困っている武史を救う為にカーンデジファー様が送り込んだボディガード、それは、武蔵坊弁慶!!
 「ところでここは、どこでござる」
 レベルで事態を把握していないのに、武史のボディガードとしての任務は誠実に果たす弁慶、カーンデジファー様は一体全体なにをどう言い含めて連れてきたのか。
 色々と疑問はあるが、武史が家に帰ると、カーンデジファー様は大変楽しそうだった。
 「ははははははははっ!」
 その種は、武史の作り出した時空魔人・亜武丸を、桜が丘大学のスーパーコンピューターに送り込み、瞬間物質移動の実験システムを組み替えてタイムスリップを起こさせたのだ! というトンデモに、さすがに引く武史(笑)
 一方、武史に置いていかれて現代世界に戸惑う弁慶は、一平を見て「義経様」と勘違いし、ここで直人ではなく一平、というのは軽いひねりで面白い展開なのですが、その余波により今回の直人がほぼ口を半分開いて棒立ち状態だったのは、最近の直人押しに対するカウンターだったのか。
 若干以上に変質者の香りが漂うが、悪い人では無さそうと子供達に囲まれていた弁慶だが、逆恨み同盟は怪獣を暴れさせることで弁慶を操り、人相の変わった弁慶は長刀を振り回して突如、大暴れ。
 「瞬間物質移動の実験装置」を改造した「タイムマシン」を使って行う事が、「中年男性一人を操って暴れさせる」という、今作史上でも屈指の、テクノロジーの無駄遣い(笑)
 警官隊を薙ぎ払う弁慶への一平義経の《説得》も失敗したところでGコールが鳴り響き、歴史改竄を阻むべく、直人はアクセスフラッシュ。
 時空魔人・亜武丸は、頭部に一つ目で首から胸部にかけて複数の瞳の意匠が懲らされている、というデザインがなかなか格好良く、両手に棍棒を濁ってのアクションもキレがあって良い感じ。交互に挟み込まれる弁慶vs警官隊のバトルも頑張っていて割と面白くはあるのですが、やはりどうにも、ヒーローvs怪獣と、警官vs弁慶をクライマックスで同列に並べるのは温度差が大きく、せっかく面白いグリッドマン側のバトルをぶつ切れにしてしまっているデメリットの方が目立ってしまっています。
 これを成立させる為には、弁慶に立ち向かう警官側にグリッドマンばりのドラマ性が必要なわけですが、ゲストキャラのドラマが盛り込まれるわけでなく、セミレギュラーといえる尼崎は真っ先に逃げ出すので好感度も上がらず。
 Cワールドでの破壊行為がHワールドに影響を与える、という相互の関係性をビジュアル的に繋げる意図もわかるのですが、かといってグリッドマンvs怪獣の戦闘シーンで起きた事象がHワールドの戦いに随時イベントを発生させるというような劇的な連動性は皆無であり、結局ほとんどの場合、最後の「ギリギリで落ち着いて助かりました」にしかならないというのは、大変残念。
 何度も触れてきた問題点ですが、並行展開をやるならやるで、グリッドマンの戦闘がHワールドに何らかの影響を及ぼして危険を回避、といった事を随時織り込んでいかないと、単に戦闘を引き延ばしてテンポを悪くしているだけにならず、更に生グリッドマンもオプション無しではろくに戦えない貧弱なもやし君化が進んでしまうというのは、メリットの薄い悪循環になったと思います。
 「この実験が成功したら、次は恐竜をこの世に送り込んでやる。ふはははははは!」
 目に痛いビームを受けて苦しむグリッドマンの姿に高笑いするカーンデジファー様、このシステムを有効活用する気があって良かった(笑)
 だがサポート組がダイナドラゴンを送り込むと、グリッドマンは竜帝合体。瞬間移動攻撃に対してカウンターのキンググリッドファイヤー(胸から火炎放射)を炸裂させ、勝利を掴み取るのであった。
 歴史の改変を防ぐべく過去に送り返さなくてはならない、と強調されていた弁慶が、システム修復と共に光に包まれて元の時代に帰還する、という雑な解決は『グリッドマン』平常運行として、ゆかが弁慶に「頼朝に気をつけろ」と伝えてドサクサ紛れに歴史を修正しようとするが失敗、というオチを判官贔屓の乙女心で流すのは、自分たちの存在すら危うくなるかもしれないから歴史を改変してはいけない、と主張していたのが当のゆかだけに、第32話に続いて、大変困惑するオチ。
 3クール目に入り、各脚本家が世界観を掴んできた・強化ギミックが落ち着いた、などあって比較的楽しく見られるエピソードが続いているのですが、もう一歩二歩詰め切れないのが、惜しい。
 次回――またも侵食する不思議コメディ時空。