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更新初めはガイア

ウルトラマンガイア』感想・第17話

◆第17話「天の影 地の光」◆ (監督:村石宏實 脚本:古怒田健志 特技監督:村石宏實)
 またも木星圏から地球に迫る、気合いの入った造形の巨大な構造体からスタート。エリアルベースではそれは、地球に近づくが軌道からは逸れていく小天体として観測されるが……一方、藤宮は美宝山の地下で眠っていた怪獣に特殊な弾丸を撃ち込み、アグルの光を浴びせる事で覚醒を促す。
 エリアルベースにはジオベースの樋口が訪れ、貴重な理系仲間と認識しているのか、我夢の反応がやたらにこやか(笑)
 第1話においてコッヴが来襲した後、まるでそれに刺激されたかのように地球内部から次々と怪獣が出現しているという関連性に触れた樋口は、地球全体で観測されている、破滅招来の予兆現象? を集めたデータを開陳。ジオベースでも限られた者しかアクセスできないトップシークレットであったが、最近このデータに不正なアクセスが続き、特に美宝山に関する情報が軒並み閲覧されていた。
 つまり……筋トレハッキング。
 説明しよう、藤宮博也は、筋トレをしながらハッキングする事で、筋肉への負荷を3倍に引き上げる事ができるのだ!
 「藤宮……君なのか」
 先日、息を荒げた藤宮が不正アクセスにより自身のトレーニング映像をどアップで送りつけてきた事を思い出した我夢は美宝山へ飛び、地上に出現した怪獣と、現場を去ろうとする藤宮を発見。
 「藤宮! 君は、あの怪獣の出現を予測していたのか?!」
 「予測? は、はは! ははは」
 「何がおかしいんだ?!」
 むしろ、藤宮が身につけた怪獣操作用のインカム的な装備が見た目ちょっと面白くなっているのですが、一切ツッコまない我夢、さすが、「エスプレンダー!」を自作した子。
 「……我夢、一つだけ言っておく。俺に協力するつもりがないのなら、せめて邪魔だけはするな。もし、妨げになるようなら、その時は、おまえをこの手で倒す」
 チームクロウが威嚇射撃で足止めを行い、ガメラ顔の地底怪獣を分析した我夢は、怪獣の体内には核融合反応があり、怪獣はいわば小さな太陽を背負っているようなものだと気付く。下手に攻撃をすれば甚大な被害をもたらす事が確実な怪獣が街に迫る一方、宇宙では謎の小天体が進路を変更して地球に迫っていた。
 「地球に、破滅をもたらすもの……」
 謎の小天体の正体が、造形物か怪獣かと判明した時のコマンダーの呟きが、深刻さを増して良い感じ。色々スケール感大きめのガイアですが、今回のスケールの大きさは非常に好みです。
 「地上には怪獣、宇宙からも敵が。どうしたらいいんだ……」
 目前には歩く原子炉、天からは人類文明を崩壊に導きかねない巨大な質量……必死に対策を練る我夢は、地底怪獣の背中に溜まったエネルギーを小天体に照射する事で、地球への直撃を回避できるのでは、と閃く。
 (藤宮……君は、最初からそのつもりで)
 藤宮が怪獣を覚醒させたのは小天体への対応策だった、と希望を持つ我夢だが、シミュレーションによって出た計算結果は……
 「藤宮……君は、どうしてこんな残酷な計算ができるんだ?!」
 藤宮が人類の大多数の事を気にするわけがない(なお、綺麗なお姉さんには甘い傾向あり)、というのは既に何度も示唆されてきた上で、地球と人類を共に守ろうとする我夢と、地球存続の為なら人類の切除を躊躇わない藤宮の決定的な対比が凝縮されて、非常に好きな台詞。
 「僕は……僕は、目の前で人々が悲しむ姿を見てはいられない!」
 小天体がそのまま激突すれば、爆心地から半径100kmは壊滅した上、大気圏上層まで舞い上がった粉塵などにより地球環境に決定的なダメージを与えかねない、かといって、地底怪獣のエネルギーで破壊に成功しても、爆心地から半径20kmは反射熱によって消滅してしまう。
 天と地の二つの脅威に挟まれ、全てを守ろうとする我夢はガイアとして怪獣が街を踏みつぶそうとするのを止めようとするが、小天体の破壊をこそ目的とする藤宮は、操縦装置を使ってガイアを素通りするように怪獣に指示。
 だが怪獣はその本能ゆえにかガイアを執拗に攻撃し、焦る藤宮はアグルへ変身。ガイアを押しのけ、踵落としで怪獣を気絶させると、強引に怪獣の甲羅をこじあける事で、エネルギーを放射させようとし……つまり、最後に頼れるのは、己の筋肉なんだよ我夢!
 「やめろ! ここでそのエネルギーを放つな!」
 幾ら筋肉を鍛えても、人は核融合の炎には耐えられないんだ藤宮ぁ!
 必死に制止するガイアをビームで吹き飛ばし、遂に筋力で甲羅をこじあけるアグル。放射された強力な核融合エネルギーは、地表に迫る小天体と激突し……果たして東京の運命は?! で、つづく!
 これまで、規模の大きいエピソードも出来る限り1話でまとめてきた今作ですが、天と地の二つの脅威を繰り出し、第1話以来となる続き展開。小天体が、造形的にもスケール的にもかなり好きなのですが、さすがに大きすぎて、後編で怪獣になって暴れる、という事はなさそうか……?(笑)
 序盤に軽く触れたジョジーの誕生日エピソードが途中から完全消滅、やたら強力な地底怪獣の始末はどう付けるのか、など引きエピソード特有の消化不良はあるものの、次から次へと迫り来るカタストロフを畳みかけてくる展開で、面白かったです。
 次回――赤と青、激突!