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バイオテロ二連発

電光超人グリッドマン』感想・第24-25話

◆第24話「恋!バイオフラワー」◆ (監督:石井てるよし 脚本:静谷伊佐夫
 「はじめから無理だったのよ。ああいうのを高嶺の花っていうのよ」
 鬼だ。
 風邪を引いていた直人が久々にジャンク部屋を訪れると、部屋中が鉢植えの花だらけ……それは、花屋の店主・ユリに入れ込んで手伝いを始めた一平が、バイト代がわりに貰ってきたものであった。
 盗撮回(同じ脚本家)を踏まえて一平に惚れっぽい属性が固定化されるのですが、本当に気のある相手(ゆか)が親友(直人)を好きなのを知っているので道化た恋を繰り返している男、だとまで考えると中学生ながら切ない。
 一方、恋する気持ちを伝えきれない藤堂武史は、花束を手にゆかへの告白をシミュレーションしていたが毎度のごとく失敗。会心のゴミ箱ダイブを発動し、その憤りを人が愛する花全体へと向ける。
 「ならば、人々が愛さなくすればいいのだ」
 「そうか……花を憎むように」
 カーンデジファー様のアドバイスを受けた(正しくは「そそのかされた」なのですが、この方がそれらしくなるのが今作の面白い所であり)武史は、植物怪獣プランドンを作り出すとバイオ園芸センターのシステムに入り込み、出荷間近の新種の花リフランに邪悪な遺伝子改造を施してしまう。
 そのリフランの開発者はユリの婚約者であり、会心の失恋をした一平はゆかに励まされると、早速「ゆか、君の胸で泣かせてくれ!」とハグに持ち込もうとして、「甘えるんじゃない」と押し返され、なんだか無性に切なくてその内、あてもなく旅に出そうです。
 「元気が出たところで、宿題しちゃいましょ」
 ゆかの音頭で勉強を始める3人だが、目がちかちかし、くしゃみを連発した事から室内にリフランが撒き散らす膨大な量の花粉に気付く……それこそが逆恨み同盟が仕掛けた、恐怖の毒花粉であった!
 花を憎むようになる催眠光線とかでなくて良かった(というか、てっきりそうだと思っていた)。
 遺伝子操作による大規模バイオテロというBC兵器を繰り出してきた逆恨み同盟の攻撃により、花粉の充満したジャンク部屋へ入れなくなってしまう3人組。一平が妙案を閃き、ガスマスクと防護服で完全防御すると、温度変化に弱いリフランにコールドスプレーを吹きかける事で枯死させ、直人はアクセス・フラッシュ。
 一平がユリの花屋へ向かっている間にグリッドマンは戦闘開始し、全身に葉脈状の模様が走り、開いた花弁のシルエットを葉っぱモチーフの体で表現しているという植物怪獣プランドンは、照明効果も加えた赤黒いカラーリングと凶暴さ溢れる顔も良い、傑作デザイン。
 本日も立ち合いは強く当たって流れで苦戦に追い込まれるグリッドマンだが、ダイナドラゴンの援軍を受けると息を吹き返し、ガントレットに溜めたエネルギーを、一度体を右に向けた状態から両手の間に引き延ばして放つ新技・グリッドライトセーバーでフィニッシュ。
 既に遺伝子改造して出荷済みの花が、怪獣倒したら元に戻ったのはCワールドの神秘としても、婚約者はこの事件により研究者としての将来を閉ざされた気がしてならず、婚約者に待ち受ける、解雇→訴訟→社会的地獄のコンボを、二人の愛は乗り越える事ができるのか?!
 と、気絶したユリが譫言で婚約者の名を呼ぶのを聞いて、そっとその場を離れて失恋を噛みしめる一平の心情もスパイスに、苦くて重い恋の行く末なのでありました。
 遺伝子工学の危険性と可能性という、正負の両面に軽く触れて自然と人間の関係を問いかけたりしつつ、次回――大映からの刺客!

◆第25話「決戦!ヒーローの危機(前編)」◆ (監督:北村義樹 脚本:平野靖士)
 PCパーツショップ、閉店!
 「最近、コンピューターの異常で、よく事件が起きてるだろ? そのお陰でコンピューター売れないし、返品が多くて、勝負にならないんだよ」
 直人たち行きつけのPC店が店じまいに追い込まれたり、怪事件の頻発する桜が丘から引っ越していく家庭が出たりと、2クール目の最後にして、劇中の異常事に対する大衆のリアクションが描かれ、逆恨み同盟の暗躍による世界のパラダイムシフトが明確に発生(これまでは、怪獣被害による大衆の認識変化が示されていない世界観であった)、物語世界が大きな転換点を迎える事に。
 「俺たち……カーンデジファーに勝った事に、ならないんじゃないか?」
 世間で起きている事件の影響を目の当たりにし、これまでの勝利は所詮局地的なものに過ぎなかったのではと疑問を呈する直人だが、部分的にそれを認めつつも、直人を励ますゆか。
 「そうよね。世界中でいろんな混乱が起きているのは、確かだもの。でも直人、だからこそ私たちは戦い続けるんじゃない? カーンデジファーの魔の手から、世界を救う為に。私たちがやってきた事が、無駄って事はないわ」
 これまでの騒動を回想し、カーンデジファー野郎、絶対に許さねぇ! と決意を新たに3人が拳を重ね合わせる一方、武史は、トラックに轢かれて異世界転生しかけていた。
 次回――『異世界天才プログラマーは魔王軍の凄腕主夫』
 じゃなかった、空気を汚す工場やトラックを睨みつけた武史は、ガスマスク姿で自室に空気清浄機を据え付け、この世界では、割と何処でも売っているのかガスマスク。
 「人は公害の危険を叫びながら、空気を汚す事をやめようとはしない。だったら、もっと汚してやろうと思うんです」
 転生はしなかったが社会派路線に転向した武史は、環境テロリストとして筋トレに励む代わりに新たな怪獣を作り出し、なんだかガ○ラ顔の毒煙怪獣が排煙処理施設へと送り込まれると、システムを改竄する事で街中に有毒ガスをばらまき始め、前回に続いて大規模テロ事件が発生。
 そんな恐怖が身近に迫っているとは露知らず、掃除を手伝ってお小遣いを貰った大地は、カナとソフトクリームを食べながら街を歩いてデート気分。
 「今度またおごってあげるよ」
 「いっとくけどソフトクリームをだしにつかえば、私がいつでも付き合うだろうなんて思わないでね。今日はたまたま気が向いただけなんだから」
 平野脚本で久々に浮き上がるカナの外道ぶりもさる事ながら、人の歓心が金で買える事を覚えてしまった大地の将来が心配です。
 「ふふふふふふ……もっと暴れろベノラ。おまえの毒ガスが、世界を恐怖の闇に陥れるんだ」
 「さあ、早く来いグリッドマン。待っているぞ。今度こそ貴様の息の根を、止めてやるぞ!」
 街の上空には目に見えるほど濃度の高い有毒ガスが広がり、気合い十分の魔王様、悪のガッツポーズ。地下室で勉強中だった直人たちもこの暗雲に気付くと、Gコールに応えてアクセスフラッシュ。
 本日も立ち合いは強く当たるグリッドマン、ジャンプしてそのまま怪獣の背中に乗り、体重をかけた膝を浴びせる、という先制のアクションが格好いい。
 「その調子よ!」
 「一気に叩きのめせ! グリッドマン!」
 調子よく連続キックの猛攻で畳みかけるグリッドマン、だが……素のグリッドマンの優位がそんなに長く続くわけがなかった!
 「とうとう現れたなグリッドマン。貴様の運命もこれで最後だ。さあ、ベノラよ! 奴をたっぷりいたぶってやるがいい。ふふはははは」
 「ふふふふ、この毒ガスの仕掛けを、グリッドマンに見抜けるかな」
 ベノラの毒ガスを浴びたグリッドマンは、その作用によりこれまで戦った怪獣の幻覚に脅かされ、逆恨み同盟の起こした怪事件を振り返る前半の回想、アクセス・フラッシュを始め細かく入るナレーションの解説、など今回は2クール目締めの一山としての前後編展開に加えて、これまでの今作をまとめるという趣向なのですが、主人公ヒーローの回想パートが、素材に事欠かない苦戦のメモリーってどうしてそうなったのですか(笑)
 あんな怪獣に殴られました、こんな怪獣にも殴られました……過ぎ去った今となっては、全てが良い思い出、のわけないよ! と精神ダメージを受けて苦しむグリッドマンに次々と火球を吐き出す怪獣が、ますますガ○ラ。
 「ふふはははははは、どうだグリッドマン! 毒ガスの威力を思い知ったか。今こそ、貴様の息の根を止めてくれるわ!」
 「おまえの無様な姿を、東京中のさらし者にしてやる」
 武史はCワールドでの戦いをHワールドの雲をスクリーン代わりに映し出し、衆目の目に触れるグリッドマンvs怪獣!
 冒頭に続いて更なるパラダイムシフトを打ち込んできましたが、これは後半に向けての継続的な要素になるのか、有毒ガスが生んだ集団幻覚で片付けられるのか。前者の場合、「夢のヒーロー」回の要素が最終盤で活きる可能性が失われてしまうと個人的には残念ですが、物語世界が3クール目から大きな変化をする、というのはそれはそれで見てみたい。
 増援に送り込まれたドラゴンフォートレスも火球の足止めを受け、ある時は手裏剣を投げつけられ、ある時は火炎放射であぶられ……遠距離攻撃に痛めつけられた思い出に苦悶するグリッドマンは、錯乱状態で虚空にパンチを放ちながら、遂にダウン。
 「やった! ついに僕の怪獣が勝ったぞ!」
 「これで邪魔者は消えた。ベノラよ、思い切り暴れるがいい……人間共を恐怖のどん底へ陥れるのだ! ふははははは、ふはははははは!!」
 逆恨み同盟は歓喜の声をあげ、東京中を覆っていく毒ガス……果たして、グリッドマンはもう一度立ち上がる事が出来るのか?! 輝かしい勝利のメモリーは回想されるのか?!
 次回――デカいは強いを見せてやる!!