摩天楼の蜘蛛男
箱庭世界の都市をびゅんびゅん飛びながら悪党どもを蹴散らしていく、という個人的な理想にかなり近いヒーローゲームとして大好きな『バットマン：アーカムシティ』を思わせるゲームデザインで気になっていた 『マーベル・スパイダーマン』を始めました！
高層ビルの林立するニューヨークを舞台にビルの間をウェブ・スイングで飛び回るスパイダーマンとなり、次々と起こる事件を解決していくアクションゲームで、ビルの壁面などに糸を貼り付け、ブランコのように振り子運動の要領で次々と糸を繰り出しながら宙を舞って移動する、という売りのシステムは実に爽快。
操作を誤って地面に落ちても痛くないし、映像的には明らかにビルの壁面に物凄い勢いで叩きつけられてもそのまま壁を疾走するので問題なし。垂直の壁をダッシュで駆け上がり、勢い余ってビルの屋上から向こう側に飛び出してもウェブを使ってスイング移動で大ジャンプ、と好き放題。
慣れるまでは割と市民の頭上に落ちそうになったり、車道に転がり落ちたりするけど、ニューヨーク市民の皆さん、ごめんなさい。
……まあ正直、ＪＪＪがスパイダーマンを糾弾する気持ちもわからなくもありません。
戦闘では「攻撃」や「回避」を中心に、その他様々なボタンの組み合わせによる様々なアクションが、ボタンを押せば“状況に対応して”ある程度勝手に格好良く動いてくれる、というのも『アーカムシティ』を彷彿とさせますが、ゲーム中のヒーローは格好良く動くのに、プレイヤースキルが伴うまではその辺りのチンピラにさくっと殴り倒されるのも『アーカムシティ』シリーズぽいです（笑）
難易度：普通で、最初のイベントボス戦だけで５回ぐらい死にましたが、チェックポイントからの復帰が早いので、頻繁にゲームオーバーになっても、ストレスはたまらない仕様。
操作に慣れ、攻撃スキルが増えてくると爽快に敵をなぎ倒せるようになって楽しいのですが、好みの分かれそうなのは、アクションのポイントを軽快＆スピーディに置いているので、スパイダーマンが何をしているのか、早すぎて目で追いきれない部分。これはキャラクター性含めた方向性の違いであって良し悪しではありませんが、軽快かつスタイリッシュに加えて筋肉の重みのあったバットマンのアクションの方が、個人的には好み。また、スキルやガジェットを組み込んだコンボなど、戦闘における戦略性も『アーカムシティ』の方が高い感じで、ゲームとしての比重は、戦闘＜移動といった作り。
勿論これは、ゲームデザインの似た『アーカムシティ』との思い出補正込みの比較であり、今作単体としての戦闘は十分に面白いですし、ＬＶアップなどで様々なスーツをアンロックする事で、特殊能力を増やしていける（また、一度解放した能力は別のスーツに付けられるので、外見は常にお気に入りのスーツに出来る）などは、原作コミックの資産も生かした面白い要素。
事あるごとにぴょんぴょん跳ねたりスイングしたがるので、ビルの屋上にたむろしているギャングどもに奇襲をかけようとしたら、いきなり飛び出して的になったりすると、もう少し落ち着け、と思いますが。
今作のピーター・パーカーはヒーロー８年目の２３歳という設定で、最初に激突する事になるフィクスを始め、ヴィランを含む主な登場人物とは既知の関係性があるところから始まるのですが、原作を知らなくとも劇中の説明（＆キャラクター紹介）でなんとなく飲み込める作り。
特にＭＪは初登場シーンで「どういうキャラクターなのか」がよくわかる上で、好感度の持てるヒロインになっているのは良い所（某アイリスの事を思い出しつつ）。
……余談ですが、思えば『超人機メタルダー』の舞さんはこういう、社会悪に挑もうとする活動的な女性ジャーナリスト、みたいなキャラをやりたかったのなぁ。
ゲームは大きく、メインクエスト（ストーリー進行）・サブクエスト（程々ボリュームのあるサイドストーリー）・小クエスト（収集要素やギャングの拠点制圧など）で構成されており、小クエストで入手する素材によりスーツやガジェットを開発してスパイダーマンを強化。小クエストは、ランドマークの写真を撮ったり、特殊なデータを集めたり、と幾つかのカテゴリに分けられていて、それらをこなしていく事で自然と操作に習熟していくというデザインになっています。
個人的に結構好きなのが、学生スパイダーマン時代に街のあちこちに隠したナップザック回収（笑）で、中に入っていたアイテムに関するちょっとした思い出話が語られる、という小ネタがいい味。
それから定期的に、スパイダーマンを目の敵にし、真に街の治安を乱しているのはあの変態蜘蛛マスクだ！ と噴き上がり、賛同してくれるリスナーの話を聞く筈がむしろ反論されてしまう、というＪＪＪのニュースが流れてくるのですが、聞いていて腹立たしい、というよりは、完全に、微笑ましい、の領域になっており、面白みの一つ。
スパイダーマン自身も軽口を叩きまくり、ボス戦などは聞いている余裕が無いほど色々と喋り倒すのですが、独り言が多くなりがちなオープンワールドアクションに向いたキャラクターだな、と（笑）
大変楽しくやっています。
