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ネバーストップ! 鬼軍曹

電撃戦隊チェンジマン』感想・第2話

◆第2話「星王バズーの怒り」◆ (監督:掘長文 脚本:曽田博久)
 「地球、なんという素晴らしい星だ」
 両腕と下半身が存在せず、全身が複雑な装飾に覆われた巨大な姿が宇宙空間に投影される、という星王バズーは、後のメガオーム様(『重甲ビーファイター』)の源流とも思えますが、「星王」を名乗る大宇宙レベルの巨悪として、納得の存在感。
 ギルーク司令官率いる遠征部隊それぞれの母星も、かつてゴズマに征服された事が示唆され、バラエティ豊かな構成員達を力と恐怖で従える姿が描かれます。
 設定としては真新しいものではありませんが、“被害者が加害者に変わる”という構造は、侵略者集団の最初のスパイスとして機能しており、後々、広がってくれると面白そう。
 一方、地球では電撃戦隊チェンジマンとなった5人が、レッドマフラー隊ならぬイエロースカーフ隊といったていの軍服(礼装?)に身を包み、電撃戦隊の一員として秘密基地に迎えられていた。男性陣は銀色のジャケット、女性陣は真っ赤なスーツで、共に黄色いスカーフを巻いているという派手な色彩の衣装は、未来感を漂わせつつなかなかお洒落で格好いい(女性2人の着こなしが違うのも良い)。
 ……黒い人はこの隊服写真の掲載された「君も特殊部隊に入ってモテモテだ!」という募集広告に騙されたのでしょうか(笑)
 「よろしく」
 秘密基地のサポート要員と握手をかわす5人だが、いきなり放たれた背負い投げを回避。そんな5人に今度はナイフが突き立てられるが、5人はそれも華麗に回避すると、襲ってきたサポート要員達を押さえつける。
 「よーし、歓迎式はそれまで!」
 伊吹長官、高倉健の映画を見て任侠の徒に成り切っている人、みたいな感じで、自分を戦争アクション映画の登場人物だと思い込んでいるのでは……? 表向きの階級を明らかに違和感のある「軍曹」に留めているのも、「鬼軍曹」と呼ばれたいだけに見え、なんだか、猫師匠(『獣拳戦隊ゲキレンジャー』)が人格者に思えてきた……!(正気に戻れ私)
 電撃流の挨拶で面々は意気投合し、それを満足げな笑顔で見つめる伊吹長官、高速道を200キロで走るのは当たり前。私は、一般道を300キロでぶっ飛ばす!というブレーキ無用ぶりに脳髄が溶けそうです。
 地球に大星団ゴズマから新たな宇宙獣士(怪人ポジション)が送り込まれ、今のところ怪人は、特定モチーフの改造や融合ではなく、粘液・触手・一つ目などを強調した、異形の奇っ怪生物路線。
 戦闘員のリトルグレイ×ミイラ×粘液もですが、ゴズマの戦力はかなりスリラー&グロテスクが強調されています(映画『エイリアン』辺りが背景にあるのかなと思ったら、初代は79年で『2』は86年だったので、そういうわけでも無い模様)。
 宇宙獣士の溶解液により市民が次々と溶かされ、出撃したチェンジマンは謎の建物を発見。早々に突入すると内部でナマコのような獣士と副官シーマに遭遇し、いかにも出渕女性幹部なデザインのシーマは、女性キャストに飯田道郎(ハンターキラー!)が声をあてる、というかなりの変化球。宇宙人混成軍団らしさを表現する狙いがあったのでしょうが、顔出し幹部ゆえに、独特の迫力を持つに至っています。
 眼前で展開するチェンジマンと戦闘員達の戦いを、命のエキスを吸いながら余裕で見つめる、というのも上手い印象づけとなりました。
 地球人から奪い取った生命エネルギーが還元される建物内部では戦況不利、と一時撤退したチェンジマンは、ヘリメカからぶら下げたロープに掴まって脱出。特殊部隊らしいアクションを見せて、さらばだゴズマの諸君ワハハハハハ、とやろうとするがそうは問屋が卸さずゴズマ戦闘機部隊の攻撃を受け、ロープに掴まっていたレッドドラゴン、第2話にして、敵戦闘機の直接攻撃を受けて転落、高所から地面に叩きつけられる、というハードなダメージ。
 下手な戦隊のスーツだと防御力不足で、いきなり尊い犠牲として二階級特進になりそうな案件でしたが、アースフォースのご加護により何とか生きていたレッドは他の4人に回収されて基地へと帰投。――しかし、そこで待っていたのは、明日も安らぎも要らない鬼軍曹。
 「何をしてる! すぐ反撃するんだ!」
 既に第1話の反乱行為については忘れ去っているようですが、伊吹長官にはブレーキも反省も要らない!
 チェンジマンがこれぐらいの事でへこたれてはならん! 君たちが浴びたアースフォースを信じろ!」
 ヤ・バ・い。
 「選び抜かれた勇者にもたらされる不思議な力を! 私の研究によると、古代からこんな事は何度かあったのだ!」
 ヤ・バ・い。
 「大昔から語り伝えられた、スーパー能力を持つと信じられた五つの伝説獣は、このアースフォースを見た人達が、名付けたのだ。チェンジマンのシンボルには、この星を守ってほしいという人々の願いが込められているんだ!」
 遠くを見ながら信念を持ってオカルトを語る軍人というキャラ造形が危なすぎる伊吹長官ですが、ちょうど10年後の軍人戦隊(80年代回帰的な作風でもある)である『超力戦隊オーレンジャー』の三浦参謀長が同じくオカルト軍人であり、キャラクターとして意識があったのでしょうか。偶然の一致かもしれませんが、サポート部隊の青を基調とした軍服も超力戦隊を彷彿とさせなくも無いですし。
 「そして今、地球は最大のピンチを迎えている。大星団ゴズマと死力を尽くして、戦わねばならんのだ! それが出来るのは…………君たち電撃戦隊チェンジマンしか居ないんだ!」
 ここで長官は5人に強い眼差しを向け、叩き込め、地球守備隊魂!!
 OPが象徴するように、職業軍人vs宇宙からの侵略者、という構図がストレートな今作、〔正義のヒーローvs悪の組織〕というオブラートによる寓意要素がやや薄れているのに対して、ファンタジックな能力源設定が作品全体のバランスを取っている面があるかと思われるのですが、なぜヒーローの象徴が幻獣なのかの理由付けを明らかにした流れから、息もつかせぬ一気の出足で「戦わねばならんのだ!」と魂に焼き付け、「戦争」と「幻想」という今作の二大要素を強調。
 無茶な命令 → 精神論 → 流れるようにオカルト → ※独自の研究です → 現実認識 → 我々に残された道は、「死ぬ」か「殺す」かの二つに一つだ!
 という思考経路が伊吹長官脳内では違和感ゼロで繋がっており、聞いている内にハートに火が点いてしまう恐るべき説得力により、再び立ち上がる赤。
 「レッツチェンジだ!」
 変身した5人は戦闘母艦シャトルベースに乗り込んで再び死地へと出撃し、ジェットチェンジャー1(赤)・ヘリチェンジャー2(黒白)・ランドチェンジャー3(青桃)、がゴズマ戦闘機とメカニック戦を展開。敵基地を破壊すると戦闘員との戦いではそれぞれスーパーパワーを発揮し、単独飛行からの対地攻撃により次々と撃破。
 怪人は今回もバズーカで瞬殺するとゴズマの巨大化担当が登場し、巨大化担当が割と目の前までやってきて巨大化光線を放ち、一発撃つと疲れ果ててしまうという仕様は、早晩「とりあえずあいつ殺っちまおうぜ」とならないか大変不安です(笑)
 「合体・アースコンバージョン!」
 3つのメカが変形合体してチェンジロボとなると、敵の猛攻に苦戦しながらも肩からチェンジバルカンをぶっぱなし、弱った所に電撃剣で成敗。戦いを終えた5人は、伊吹長官も交えて、基地の入浴施設でくつろぐのであった。
 「まあ俺達にとって、安らぐのは風呂だけだからな」
 ハードだ! ハードすぎるぞ電撃戦隊!
 ナレーション「鬼の伊吹長官も、裸になれば、優しい男だった。今、5人の若者は、戦いの汗を流しながら、本当の戦士になった気分がした。大星団ゴズマの魔の手から、この地球を守るもの。それは、電撃戦隊チェンジマンだ」
 焼肉説得ならぬ大浴場完備により5人はあっさり懐柔されてしまい、伊吹長官、恐るべき人心掌握術! 風呂さえあれば大丈夫、5人の戦士に明日はいらない!