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電撃戦隊チェンジマン』感想・第1話

◆第1話「出現! 秘密の力!」◆ (監督:掘長文 脚本:曽田博久)
 迷彩服姿の若者達が、
 サブマシンガンをぶっ放し
 ヘリコプターから降下して拳銃を構え
 機銃掃射の間を駆け抜けて手榴弾を放り投げ
 空中前転からナイフ二刀流を構え
 それをアサルトライフル構えた中年の軍人がヘリから見下ろす
 というのが、主題歌の格好良さもさる事ながら、2018年に見ると凄まじいパンチ力のOP。
 ……だがそれは、これから始まる血と硝煙のカーニバルの、ほんの幕開けにすげなかったのです。
 地球を守る国際組織・地球守備隊――その過酷な訓練において景気良く噴き上がる爆発! そして爆風で転んだ隊員に容赦なく浴びせられる、ヘリコプターからの銃弾!
 「何をぐずぐずしている! 前進するんだ! もたもたするな!」
 逃げる奴はベト○ンだ! 転んだ奴は弾の当てやすいベト○ンだーーー!
 「伊吹軍曹! 殺す気か!?」
 「走れ! 走れぇ!」
 仲間をかばった隊員の抗議の声には全く耳を傾けず、手元のスイッチをぱちっと入れると、仕掛けていた爆弾が立て続けに爆発(笑)
 ……思えば80年代作品を見るのも久々ですが、OPから冒頭1分で、満腹すぎて腹が張り裂けそうです。
 その後も伊吹は、地獄の訓練に苦しむ隊員達の頭上をヘリで飛び回りながら威嚇射撃を浴びせ、食事休憩さえ許さない横暴ぶりに反発した隊員の一人が状態を宣言して立ち去ろうとすると、その背中に発砲。
 士道不覚悟は死あるのみ!
 それをきっかけに隊員が次々と離脱していき、当然のごとく部隊は崩壊。疲れ果てた体を引きずりながら人里求めて彷徨い歩く脱走兵達は、道中で一抱えもある明らかに異常な大きさの卵を発見すると、「みんな! 卵よ!」と喜び群がり、人間性を奪われすぎて、既に正気が失われてしまっています。
 ところがその卵は、宇宙全てを侵略しようとする大星団ゴズマが送り込んできた尖兵であり、謎のガスと共に卵の中から青い肌で粘液まみれの気持ち悪い怪物(今作における戦闘員ポジション)が誕生。HPもMPも削り尽くされていた隊員たちは次々とその毒牙にかかり、生き残ったのはたったの5人。
 「このまま、こんなとこで死んじまうのか俺達?!」
 「へこたれるな! 俺達はあの地獄の訓練に耐えたじゃないか! 頑張るんだ!」
 耐えてないぞ。
 だがその時、 丁度良い人数に絞られた事で 最後まで諦めない5人の強い意志に腕のブレスが反応し、目もくらむような青白い光が5人を包み込む。
 「おお……! これはアースフォース! 遂に出たぞ! やっぱりアースフォースはあったのだ!」
 ヘリからその光を目撃した伊吹は歓喜の声をあげ、不思議なスーツをまとった5人は怪物を蹴散らすと、突如現れた巨大母艦に回収される。そこで5人を待っていたのは――
 「「「「「伊吹軍曹?!」」」」」
 「それは仮の姿。――本当は地球守備隊電撃戦隊長官である。君たちは、電撃戦隊チェンジマンとなったのだ」
 「「「「「チェンジマン?!」」」」」
 「大星団ゴズマの侵略から、地球を守るのだ」
 「「「「「大星団ゴズマ?!」」」」」
 「星王バズーの名の下に、宇宙を支配しようとしている恐ろしい宇宙人組織だ。私は宇宙からの襲来がいつか必ず来ると考え、地球守備隊の中に電撃戦隊を作ったのだ。君たちをチェンジマンにしたあの不思議な力を――アースフォースという」
 「「「「「アースフォース?!」」」」」
 「地球が危機にさらされた時、地球自身が発するといわれている、不思議な力だ。私はその力の存在を信じ、この時を待っていたのだ!」
 「じゃあ、あの地獄の訓練は」
 「今まさに宇宙人との戦いが始まろうとしている時、真にチェンジマンになれる戦士を選ぶ為のものだったのだ」
 有無を言わせぬ攻勢で怒濤の説明を放り込み、つまり、戦わなければ生き残れない!
 『太陽戦隊サンバルカン』以来の軍人戦隊という事で、民間戦隊との色彩を強調する意図もあったのでしょうが、境界の向こう側へ行ってしまっているプロ軍人、という伊吹長官の濃縮120%な振り切れ具合が凄まじいインパクト。
 謎のブレスが都合良く5人だけに与えられていたとは思えないので(アースフォースに認められた事でブレスが“生じた”のかもしれませんが、演出的には最初からはめていたように見える)、参加した訓練生全員に与えられた上で、生き残った5人のブレスだけに力が宿ったのだと思われ、この人、もしかしなくても宇宙人が襲来するまで訓練を続けるつもりだったのでは。
 「よーし、俺はやるぞ!」
 守備隊の航空基地が襲撃を受けている、という報告と映像に、赤を皮切りに5人はチェンジマンとして戦う事を決意。
 「俺もだ!」「俺もだ!」「私も!」「……私も!」
 「うん! ……ありがとう」
 長官が、航空部隊(赤)・レンジャー部隊(黒)・陸上部隊(青)・作戦部隊(白)・諜報部隊(桃)、それぞれの所属と名前を合わせて呼んでから辞令を発する、というのが軍人戦隊らしいギミック。
 「只今をもって、電撃戦隊隊員を命ずる!」
 その言葉に合わせて主題歌が流れ出し、長官の前に並んだ5人が揃って敬礼、長官がそれに敬礼を返す、というシーンが、ついさっきまで滅茶苦茶頭おかしい展開だったのにそれら全てを吹き飛ばす格好良さで、THE・戦隊という劇的な魅力が凝縮。
 裏を返すと、この瞬間にほとんど許せてしまうというのが、私にとっての「戦隊の魅力」なのであろうなと。
 宇宙戦闘機部隊の攻撃を受けるも敵機を撃墜する母艦の映像を挟み、変身済みの5人はバイクで地上へ降下。
 「貴様等、何者だ?!」
 「チェンジドラゴン!」
 「チェンジグリフォン!」
 「チェンジペガサス!」
 チェンジマーメイド!」
 「チェンジフェニックス!」
 電撃戦隊!」
 「「「「「チェンジマン!!」」」」」
 戦隊のみならずその源流まで遡る古典的なやり取りですが、一度説明シーンを挟んで5人が自分たちの所属を把握しているのが明らかなので、定番のやり取りにストーリー上の説得力がプラスされているのがポイント(何が「電撃戦隊」って、上官が「電撃戦隊」と言ったからには、黒かろうが白かろうが「電撃戦隊」なのです)。
 5人は戦闘員を蹴散らすと、5人のズーカパーツを合体させて放つパワーバズーカで、怪人を文字通りに瞬殺。消し飛んだ怪人は、巨大化用怪人の巨大化光線で巨大化復活し、それを見た長官が母艦で自らパネルを操作すると、いきなりどこからともなく飛んでくる、とチェンジロボが豪快な初登場。
 5人が胸のハッチから乗り込むと、とんがり頭系のチェンジロボが起動し、電撃剣スーパーサンダーボルトで巨大怪人を一刀両断するのであった。
 ナレーション「地球を守る、5人の戦士。電撃戦隊チェンジマンが誕生した。遂に地球は、帝王バズーの眼に止まった。大星団ゴズマの攻撃を、果たして地球は、跳ね返す事が出来るであろうか」
 OP・ED除くと、本編は正味17分程度、という時代なのでとにかく全てがハイスピードで進んでいくのですが、その中で、軍人戦隊らしさの象徴にして、全ての説明役でもある伊吹長官が強烈な存在感。様々なアブない司令官ポジションを生んできた戦隊シリーズですが、背後から部下にセミオートで発砲するという、実に鮮烈なデビューを飾りました。
 とにかく、脳をもう少し80年代モードに切り替えないと、伊吹長官に対応しきれない……(笑)
 次回――星王様、いきなり怒る(不安になる早さ)。