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1日15分からの成果

ウルトラマンガイア』感想・第9話

◆第9話「シーガル飛びたつ」◆ (監督:村石宏實 脚本:太田愛 特技監督:村石宏實)
 久しぶりに宇宙からやってきた気がする謎の巨大石塊が、ビル街に着陸。メルトダウン状態の高熱を発しながら地下へと潜っていき、その直下には都市ガスの配管が! 壊滅的なガス爆発を食い止めるべく、液体窒素弾を撃ち込む事による一時的な冷却が立案されるが、実行した場合は急速冷凍の余波で周辺に破壊的な熱風が巻き起こる事が予測される。
 逃げ遅れた市民のものと思われる携帯電話の電波が確認され、飛来体の干渉で正確な場所が特定できないまま、XIGは液体窒素弾による攻撃を前に、レスキューチームを現場へと急行させる。その名は――
 「チーム・シーガルだ」
 冒頭のシーガル顔出しから、出現した破滅招来体への対応、そして緊急出動まで怒濤の勢いでテンポ良く進行し、機体両側に回転翼を広げ、滞空能力に優れたシーガルマシンが発進。
 必死の捜索を行うも表面に赤い光を纏った飛翔体が潜行を加速し、重い決断を迫られるXIG。我夢が周辺被害を最小限に抑える攻撃方法を提案して一時冷却には成功するが、潜行を止めた飛翔体は周辺に根のような触手を伸ばす、という不気味な動きを見せる。
 一方、二名の要救助者を発見したシーガルは倒壊の危険性もあるビルに乗り込むと、負傷した要救助者に声をかけながらトーチでシャッターを焼き切る作業開始、と渋い展開。XIGでは飛翔体が自らの重量を急速に増加させる事で周辺に重力場を作り出している事が分析され、少しずつ明らかになっていく飛翔体の正体と、現場でのレスキューシーンを交互に展開する事で、絵空事の怪獣撃破ミッションと、地に足の付いた人命救助ミッションを、タイムリミットサスペンスとして組み上げる面白い構成。
 飛翔体の重量の増加が続けば、その生じさせた重力場は関東一円を飲み込んでしまう……それを防ぐ為、リパルサーリフト効果を持ったミサイルで飛翔体内部にマイナスの質量を発生させて相殺させる、という作戦が立案されるが、その前に今度こそ生存者を救出しなくてはならない。
 「……何もしてやれないのか……」
 「……神山くんは、必ず、生存者を救出して帰ってくる。彼は、18の時からレスキューをやってきた、ベテランだ」
 平泉監督はてっきり、2名の命の為に関東全域を危険にさらすわけにいかない、と最終的なシビアな判断の背中を押す役回りだと思っていたのですが、苦渋の表情を浮かべるコマンダーを励ましたり、我夢の面倒くさい説明を黙って聞いていたり、今回は常日頃より対応が柔らかく、上官としての貫禄を見せます。
 要救助者2名が、人のためを思って怪獣災害基金を運営するNPO法人(?)の職員だったり、レスキュー活動のシビアな面を活写しつつ、そのバランスを取るという意図もあってか、周辺人物達の善性と良心が強調されているのは一つ、今回の特徴になっています。
 「レスキューって仕事はな、救助を待ち望んだ人間の、力尽きて、息絶えた遺体を運ばなければならない時もある。ようやく助け出した人の命が、自分の腕の中で消えていくのを見なければならない事もある。……それでも、自分の手で、一つでも命が救えるなら。そう思わなければやっていけない」
 シーガルを率いる神山(こうやま)は部下にレスキュー隊員の志を諭し、立ち直った部下と共に生存者を発見。飛翔体が活動を再開してビルが完全に倒壊する寸前、離脱に成功し、待機していたライトニングファイターから放たれたリパルサーミサイルが、飛翔体に突き刺さる。
 続けて空中からアタックを仕掛けるチームライトニングだったが、飛翔体が突如変形して立ち上がり、久々に撃墜されるぽっちゃり隊員。脱出装置が作動せずに万事休すかと思われたその時、サポートとして同じく空中待機していた我夢が変身し、墜落寸前のファイターをキャッチ。
 戦闘チームの裏方(冒頭の、出番がないならそれが一番、というスタンス表明が素敵)としてのレスキュー部隊の活動を描きつつ、現実とリンクさせながらその心情に迫るという渋いエピソードに加えてチーム・ライトニングも活躍し、危うく出番なしかと思われたガイアだったが、ぽっちゃり機を地面に置くと、重力怪獣に先制の飛び蹴りを決めてここからはウルトラマンのターン。
 岩盤状の表皮の割れ目から触手を伸ばす伸縮自在の攻撃にガイアは苦戦するも、それを交わして格好良く飛び蹴りを決めたと思ったのも束の間、背後から触手で足を絡め取られ、地面を引っ掻きながら引きずられていく姿の、絶妙な我夢っぽさ。

 ??「だから言ったろう我夢。机上の計算は育て上げた筋肉には勝てないんだよ!」

 しかしガイアは、槍のように突き出される触手で足に絡んだ触手を切断させる、という頭脳プレイで体勢を立て直すと反撃開始。懐に飛び込んで殴る蹴るの連続攻撃を加えるが、調子に乗っていると今度は至近距離での発熱攻撃を受け、強火でじゅーじゅーと炙られてしまう。
 奇襲による先制攻撃 → 大技の余韻に浸っている内に文字通りに足下をすくわれる(これは藤宮もやった) → 機転を利かせて反撃 → すっかり忘れていた敵の特殊能力でまたも苦境
 という流れに、(まあ、中身、我夢だしな……)と納得できるのは、今作のいい所だと思います(笑)
 ウルトラダイナマイトならぬウルトラ鉄板焼きにされて大ピンチに陥るガイアだが、こんな時の為に密かに自室で鍛えていた僧帽筋にストレッチパワーを溜めると怪獣を高々と投げ飛ばし、無防備な空中でうにょんバスターを叩き込み、朝焼けを背に勝利するのであった。
 最後は、救出した男性がTVでインタビューされているニュースを見て(わざわざ病室にレポーターが入って救出の顛末を語らせる辺り、ガードによる広報活動の匂いがぷんぷんします!)喜ぶチーム・シーガルの面々、を和やかに描いてつづく。
 第9話にして遂に筋トレの成果を披露した我夢/ガイアですが、藤宮と出会わなくても、あの環境(エリアルベース)で周囲と友好度が上がっていくほどに筋トレの圧力からいつまでも逃げ切れるとは思えず、我夢もやがて、地球ばかりでなく筋肉の声も聞こえるようになっていくのでしょう。
 「戦い方を、僕は、無意識に知っていた……。筋肉の力、筋肉の刃……マッスルエッジ」
 深夜に基地のオペレーションルームでキレてるポーズを決める我夢の姿を見た敦子さんがどう思うかは、また別のお話。
 梶尾リーダーの一日とか、筋トレ→ランニング→飛行訓練(パトロール)→シミュレーター→筋トレ……の無限コンボな気がするのですが、まあ、ストイックそうな梶尾が意外な趣味を、とかも定番なのでそれは今後の描写に期待するとして、次回、そんな筋トレ集団、じゃなかったファイターパイロット達が大集合でハルマゲドンに挑む!