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胸に輝くマークはサイレン

快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第38話

◆#38「宇宙からのコレクション」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
 「にしても、警察との溝、深まってんじゃね?」
 「……快盗の利益を優先しすぎたんじゃないか?」
 冒頭から、視聴者の思っている事を一斉にツッコまれるノエル。
 仕事を盾に感じ悪い事をしているのは僕も一緒、と嘯く背中に哀愁が漂う一方、圭一郎は圭一郎で魁利に笑顔でバリアーを張られて踏み込む余地を与えられず
 「圭一郎先輩……歩み寄り方が、オヤジくさいんですよね……」
 咲也から実に的確な評価を受けていた。
 「僕たちも何の会議か聞いてない、って言っちゃ駄目だったんですか?」
 「知らないという事も情報だからな」
 コミュニケーション――ひいては「情報」のやり取りを丁寧に扱う香村脚本らしいやり取りの後、緊急の会議に向かおうとする圭一郎達だったが、ギャングラー出現の急報が入り、飛び交うエビフライミサイル。ところが、エビとヘビの幼なじみコンビと対峙する警察戦隊の前にザミーゴが現れ、エビを凍結・消滅させると、ヘビを強引に連れ去ってその姿を消してしまう。
 名前といいデザインといい攻撃が初期デストラと一緒な事といい、出オチ感満載だったエビがザミーゴによって消されてしまうのですが、コレクションを使っていない&声優が真殿さんという事でこれだけで終わるとは思えず、ザミーゴによって凍結消滅した人々の行方において、かなり重要な役回りを務める事になるかもでしょうか。
 ちなみにヘビの声優は『仮面ライダークウガ』の杉田刑事役だった松山鷹志さんで、個人的にはアニメ『ハーメルンのバイオリン弾き』のギータが凄く良くて、声優としても好きな方。
 ボスの使いとしてヘビをさらったザミーゴの目的は、ヘビの持つ“乗り物を自由に操るコレクション”。そして地球には今……宇宙に隠されていたジャンボジェット型のルパンコレクションが近づいているのだった!
 コグレからの情報で新たなルパンコレクション――ビクトリーストライカー――を待ち受ける快盗は、快盗ファイターからビクトリーに乗り込もうとするが、同じく待ち構えていたヘビがコレクションの能力でビクトリーを操り、快盗ファイターを攻撃。それに気付いたノエルはルパンXとしてヘビに戦いを挑もうとするが、そこに突如現れてハンマーで強襲を仕掛けたのは、久々に人間界に出てきたデストラさん。
 「ステイタス……ダブルゴールド!」
 「確かルパンXだったな……コレクションは、我らギャングラーが手に入れる!」
 デストラの繰り出すハンマーの一撃は銀Xの装甲でも防ぎきれず、上空のファイターもストライカーに近付けずに苦戦。防空射撃をかいくぐったレッドは生身で乗り込んでコントロールを奪おうとするもヘビのコレクションに阻まれ、デストラのパワーに押し込まれるXは警察チェンジ。
 懐に飛び込みアクロバットに接近戦を挑む金Xだが、渾身のキックを片手で軽々と受け止められ、数ヶ月分のストレスを込めたハンマーの一撃により、変身解除。
 「目障りな快盗だか警察だか、一匹始末できる」
 存在がややこしいのでストレスの捌け口としてぷちっと潰されそうになるノエルだが、その寸前、乱入した警察戦隊がデストラを食い止め、ハンマーのインパクトの瞬間にバイカーを中心として一斉射撃を叩き込む事で相討ちに持ち込むという、脅威の戦闘技術を披露。
 「君たちが僕を、助けてくれるとは……」
 「当たり前だろう!」
 振り絞るような圭一郎の叫びに、顔を上げるノエル。
 「おまえがどんな胡散臭かろうが、任務で対立しようが、助けない選択肢はない! ……おまえだって一人の人間だ」
 プライベートでは和気藹々と食卓を囲んだりしたくないけど、ミッションでは別、というのは警察戦隊として順当なロジックですが、当の本人が「自分だって一人の人間」である事を忘れていそうなが怖いところで、パトレンジャーの「公」のヒーローとしての位置づけを、改めて宣言。
 「…………君たちは本当に……素晴らしい警察官だ」
 その断定に今更ながら感銘を受けているように見えるノエルですが、快盗トリオがもともと一般市民という事もあり、特別な力を得て快盗という道を選んだことに対して割り切っている節が強いのに対して、敢えて自らを中間の位置に置いたノエルの方がむしろ、「出来る事なら真っ直ぐな道を歩みたかった」という、羨望が強いように思えます。
 ノエル自身は恐らく、両取りできる強さ、を自分に言い聞かせているのですが、真っ直ぐで在り続ける事にも相応の強さが必要なわけであり、ここはノエルが本気で、パトレンジャー3人の真っ直ぐさを曲げない強さに感嘆したのであろうかなと。
 そう思うと、エンジニアとしてシェフ透真へ向けたシンパシーというのも、「本当は自分の道を貫きたい」というノエルの心情の発露であったのかと思えます。
 ただしノエル……
 「メルシー。僕は君たちの事が、好きだよ」
 公と私の切り分けが徹底しているという事はつまり、その3人(咲也は除いても良さそうですが……)は、個人として、君が好きなわけじゃないからな!
 「警察ども……このまま大人しく立ち去れば、この場は見逃してやる」
 「……残念ながら……その選択肢は無いね」
 残酷な現実はさておき、ニヤリと笑ったノエルは国際警察の一員として立ち上がると警察チェンジし、心理的には劇中初となる、パトレンジャー4人の揃い踏み。
 「国際警察の権限において、実力を行使する!」
 「――愚かな」
 パトレンジャーはデストラに猛然とコンビネーション突撃を仕掛け、ルパンレンジャーはスピーディーなドッグファイトを演じ、地上と空中で派手なバトルが展開。今回、蓋を開けてみればバトルと新ガジェット見せが主体だったのですが、地上と空中で別々の性格を持った戦闘を同時進行する、という趣向は面白かったです。
 空では青と黄もビクトリーのコックピットへと乗り込み、内部データを見てある事に気付いた赤は二人にコックピットを任せると機体前方に移動。そこでビクトリーに格納されていたもう一つのルパンコレクション――戦車型のビークル――を入手すると、ビクトリーから離脱し、地上へと降下。二台のビークルのどちらを操るべきか混乱するヘビに向け、容赦なく空中から戦車で砲撃を浴びせる。
 「今だ!」
 一方的に愛を感じている金X、ヘビが転がってくるや否や、後ろでパトレン3人がデストラと戦っている間に快盗チェンジでコレクションを回収し、これで素で、「圭一郎くん、僕らはもう心の友だよね!」とか思っていそうなのが大変困ります。
 ヘビがコレクションを失った事により、上空のジェットも快盗の手の内に入り、戦車は勢いよくデストラさんも砲撃。その隙を突いて警察&ルパンXは、一斉にヘビへと切りかかって連続なます斬りで撃破する。
 ゴーシュが登場してヘビを巨大化し、本日も結局ストレスが溜まったデストラさんは、ゴーレムを召喚して撤収。目的は全く果たせませんでしたが、戦闘能力においては引き続き快盗警察そしてXまでを蹂躙し、戦闘面での見せ場があったのは良かったです。
 巨大ヘビを相手に、戦車+マジック+消防車+グッティが合体し、胸部から戦車砲が突き出しているという、重火力・重装甲のサイレンルパンカイザーが完成。マジックの時点で苦戦した事すらないのにドンドン盛られるルパンカイザーは、一斉砲撃でヘビを塵に帰し、本日もオーバーキル。
 そしてグッティのアドバイスにより小型化した戦車ビークルを銀Xに向けて撃ち込むと、なんとそれは強化装甲としてノエルに合体する――祝え! 全コレクションの力を受け継ぎ、時空を越え過去と未来をしろしめす時の快盗、その名もルパンX:サイレンアーマー!!
 マネージャーさんの脳内ナレーションも高らかに誕生した、両肩にキャノン砲を搭載というスーパールパンXは、非常識な火力によってゴーレムを消し飛ばし、胸に輝くSマークをどう受け止めて良いのか大変悩ませるのでありました……(笑)
 新登場の戦車ビークル、陸上用・巨大化に4文字キャッチコピー・Sマーク、と完全に国際警察仕様なのですが、せめても「スーパーパトレンX」ではなく情け容赦なく「スーパールパンX」というところに、何やら世知辛い台所事情が見えてしまうのが辛い。
 まあ、もともと企画を聞いた時点でルパンレンジャー主体だろうとは思っていたので、当初の印象からするとさもありなんという状況ではあるのですが、蓋を開けたら予想を遙かに超えて警察戦隊にもバランス良くスポットが当てられていたが為にかえって、現状の警察戦隊の扱いにもどかしさを感じてしまう、というのがなんとも難しい所です。
 そんな中で、従来装備と戦闘技術でデストラの一撃を押し返してみせる、というシーンがあったのは、パトレンジャーらしくて格好良い戦い方でした。
 かくして宇宙から来たコレクションは回収され、ビクトリーは快盗トリオが、戦車――サイレンストライカーはノエルが所持する事に。すっかり警察戦隊と友好度が上がったつもりのノエルは、マカロンジュレをプレゼント。
 「こんな事では誤魔化されんぞ。 というかいきつけの店のお菓子などいつでも手に入るので、デパ地下で1日20個限定スペシャルスイーツを人数分揃えて持ってくるのが誠意ではないか? おまえが快盗にコレクションを渡してる事に、変わりはないんだからな」
 「感謝する気があるなら、正しい情報が欲しいものだ」
 「それは出来ない。僕には、守秘義務があるからね」
 「……言うと思った」
 いつものやり取りはしつつも喧嘩腰にはならず、なんとなく和やかな雰囲気が漂うが、圭一郎達とノエルの友好度が上がっているというより、もはや真っ黒なのは国際警察の上層部なので、こいつに言っても仕方ない、と諦められているのではないでしょうか(笑)
 やはりどうにも、警察戦隊とノエル(もはや堂々と快盗に協力)の関係強化は曖昧かつ強引にせざるを得ず、ノエルが全てを告白する日まで本当の意味で距離を縮める事は出来なさそうですが、そんな事情に加えてビークル2台とも実質的に快盗サイドが入手するという展開の中で、警察戦隊を道化にするのではなく、警察戦隊の強さに改めてノエルが目を瞠る、という話の流れにしたのは、抵抗と誠実さを感じたところです。
 そろそろ踏み込むかと思われたノエルの事情は今回もお預けで、その点はやや肩すかし。ギミック見せが主体になる中、ノエルがコレクションと合体して強化されてしまい、ノエル本当に人間ではないのだろうか?! とドキドキしたのですが、次回――なんだか少しキラキラ世界な、スーパールパンレッド、テイクオフ?! のようなので、大丈夫……そう? そして予告時点でエビフライが復活しており、ザミーゴとの直接対決から、一気に物語の核に迫っていきそうなのは楽しみです。