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セントパ(以下略)

ウルトラマンガイア』感想・第8話

◆第8話「46億年の亡霊」◆ (監督:児玉高志 脚本:武上純希 特技監督:佐川和夫)
 突如、ダム湖に出現する巨大なワーム。直後にXIGへと送られてきた「近づいてはいけない」というメッセージを聞いた我夢はエリアルベースを飛び出すと地上の浅野古代生物研究所へ向かい、そこでメッセージの送り主、アルケミースターズの一員で古代生物学の第一人者・浅野未来と再会する。
 第1話の我夢に続き、またも秘密回戦に割り込まれるエリアルベースですが、ダニエルくんはもう、アルケミースターズ専用のバックドアが仕込んである事を、XIGに説明しておこうよ!(笑)
 未来は巨大ワームの正体は、カンブリア紀に生息し、既に絶滅した生物アネモスの幽霊だと主張し、ダム湖に出現したのは過去の生物の残留思念であり、意識と物質が等しい極小の世界に存在するそれは、観測者が増える事で実体化してしまう可能性がある、と我夢を通してエリアルベースに説明。
 二人の意見を尊重したコマンダーは、とりあえず、ダム湖周辺の警備を強化し、立入禁止区画を設定。
 「コマンダーは、理解なさったんですか? 二人の解説」
 いつもなるべく無言で、(俺は凄く色々考えているのだ)みたいな顔で突っ立っているけど、実際の所はどうなんですか? と破滅を恐れぬツッコミを果敢に入れた敦子さん、次回、僻地任務に転属されていないか大変心配です。
 「……いや、俺が理解できるのは、奴があそこに居るという、事実だ」
 唯物論者の現実主義を主張し、格好つけた言い回しでかわすコマンダーだったが、地上では水源地の取材にダム湖を訪れていたTVクルーがガードの交通規制をかわして取材を強行した結果、怪獣を発見。これを生中継する事で、未来の危惧した事態が起こってしまう。
 ここでマスコミが「今回の仕掛け」のみとして登場するのではなく、第1話時点から(我夢・XIGに続く)“第3の視点”として扱われていた事により、ここまでの要素の一つがきっちり噛み合う、という形で「『ガイア』らしさ」になったのは、良い展開。
 合わせてマスコミ、ひいては人間社会の風刺が盛り込まれるのですが、取材を仕切るディレクターがシャイダーでなかったのは、スケジュールの問題だったのか、知らぬ事とはいえ強引な取材活動で事態を深刻にしてしまうという役回りだったので、悪印象がつくのを避けたかったのか(カメラマンと女子アナの二人は、半ば強引に引きずられる描写になっている)。
 TVを通して多くの人々に観測される事により、残留思念から物質化したアネモスは紫色の体液を周辺に撒き散らし、慌ててその確認に向かう我夢と未来。
 「あいつが出現した原因はコッヴさ。奴が、量子力学レベルの不可知領域で、眠っていたアネモスを呼んだんだ」
 「なんの目的で?」
 足を止めた未来に問われると、ウルトラマンの事もあってか、言葉に詰まる我夢。
 「……我夢はいつも、直感だけよね」
 「じゃあ、君は説明できるのか」
 「知ってるでしょ。地球ではもう5回、二千六百万年ごとに、生物の大絶滅が起こっている」
 「ああ」
 「あいつは、地球に選ばれなかった生物。地球に愛されなかったものの哀しみを、聞いて欲くて来たのよ」
 アネモスの叫びをいちはやく耳にしてXIGに警告を送るなど、恐らく我夢と藤宮がウルトラマンと交感(或いは交神)したように、未来もまた量子の世界でアネモスと部分的にアクセスしている(アルケミースターズの特性?)のかと思われるのですが、ルックスに加えて「あいつを一番理解しているのは私よ!」と率先して駆け出す怪物への思い入れに漂う若干の狂気に、どうにも三枝かおる(『特捜ロボ ジャンパーソン』)を思い出してなりません(笑)
 研究(=愛の)対象の為なら、割と他の事はどうなってもよささそうというか。
 一方、ダム湖を経由して川へと流れ出した紫色の液体は、人体にも環境にも悪影響は無く、敢えていえば警報フェロモン――蟻や蜂が情報伝達の為に分泌する物質――に似た成分である事が、ジオベースの分析により判明する。
 「情報伝達? …………奴には仲間が居るのか」
 果たしてそれは何を意味するのか……コマンダーから質問された未来により、アネモスには生存競争を勝ち抜く為の共生関係にあった別の種が存在する事が判明したところで、紫色に染まった隅田川を遡上する謎の巨大生物がレーダーに確認される、という盛り上がる展開。
 「その二匹を、会わせちゃいけない!」
 急遽ファイターチームが出撃してアネモスを焼き払うべくナパーム攻撃を仕掛け、「彼らの哀しみを聞けるのは、私しかいない!」と我夢の通信を妨害した未来は、その光景を悲痛な表情で見つめる。
 「わからないの我夢?! 地球に選ばれなかった者達の、哀しみが!」
 響き渡るアネモスのどこか哀しげな鳴き声に加え、ゲストキャラの訴えとBGMで怪獣側(未来側)へと感情移入をさせる作りの中、炎の中で身をよじるアネモス。
 「人類に、彼らを消してしまう権利なんてない筈よ!」
 「だけど、破滅させられる理由もない!」
 藤宮の環境テロリスト宣言以来、藤宮が直接登場しないものの、地球における人類とは何か? というエピソードが続いているのですが、仮に人類が地球のガン細胞だとしても、天界によって浄化されるような存在だったとしても、これが生存競争だというのならば、人類にもまた闘争する権利があるという我夢の宣言が(そこまでの意識は無かったとしても)、ぴしっと決まりました。
 人類の生んだ科学の炎の中にアネモスが沈もうとしたその時、上陸を果たした巨大エビがそれを消火すると腹部に融合合体。ファイターの攻撃を弾き返す完全体となり、撒き散らされる花粉が餌として人々を引き寄せる。
 「奴らは目覚めさせられたんだ、人間の天敵として」
 「そんな事ないわ!」
 巨獣に走り寄り、訴えかける未来もまた花粉を浴びせられ、陶然としたまま巨大な爪につまみ上げられていただきます寸前、変身したガイアがフライング救出。
 ここから一気にバトルBGMになる劇的な切り替えが格好良く決まったのも束の間、怪獣はまさかのX変形を見せて上下逆転でフォームチェンジ、というのは面白いアイデアでした。
 東京湾内には無数の巨大生物がその影を見せ、共生怪獣の背後に回り込んだガイアが放ったバックブリーカーにより、怪獣が元のフォームに戻るという荒技は、スーツアクターさんとカット割による妙技がお見事。
 至近距離から花粉を浴びせられて苦しむガイアだったが、光線技で共生怪獣を強引に分離させると久々のうにょんバスターで消滅させ、東京湾の巨大生物の群れも、意識と物質が等しい極小の世界へと消え去るのであった……。
 我夢は川辺に佇んでいた未来に話しかけ、未来の古代生物への思い入れには、地球に見捨てられた生き物と、かつて親に見捨てられた(と思っている)自分、を重ね合わせていたという事情を補強。
 「私は、研究の為に見捨てられたのよ」
 「そんな事は無い」
 「……あの恐竜さえ、地球に見捨てられた。いつか、人類だって、幽霊になって地上を徘徊する時が来るのかも」
 未来の地球を彷徨う、かつての支配者種族達のゴースト、というのは面白いイメージを喚起する台詞で、個人的には特にレイ・ブラッドベリアメリカのSF・幻想作家)作品に通じるような空気を感じたのですが、繰り返し強調されたアネモスの鳴き声、それに呼ばれるように海からやってくる巨大生物……というのはもしかすると今回のエピソードがそもそもブラッドベリの「霧笛」或いは、そこから伸びた『原子怪獣現わる』→『ゴジラ』→《ウルトラ》シリーズ(特にジラース回?)、という流れを下敷きにしていたのかなとも思うところ。
 「それは違う! ……地球は、人類を見捨てないよ」
 「どうしてそう言えるの?」
 「それは……」
 言い淀む我夢に対して振り返った未来はしかし、からかうような笑顔を浮かべる。
 「説明できないんじゃない。昔から我夢はそうだった。いつだって、直感ね。……研究室へ戻るわ。滅びた者達の、声を聞くために」
 背中を向けると手を振り去って行く未来は雰囲気の出た好キャスティングでしたが、研究所の周囲にバリアーを張り巡らせいったい何を研究しているのか。
 服に付着していた共生怪獣の細胞組織から遺伝子を取り出すと薔薇に組み込んで(以下略)とかしないか心配になります(笑)
 「それは……人類を見捨てるつもりなら、ウルトラマンは居ない」
 未来の背に向けて小さく我夢は呟き、遠い過去に滅びた者達の声を聞いた未来、青い巨人と交感して筋トレに目覚めた藤宮、そして光のうにょんで繋がった自分……我夢が自分なりの、自分とシンクロしたウルトラマンの意味を掴み始めたところで、つづく。
 前半、説明を必要とする用語が多くてややテンポが悪くなったのは気になりましたが、古代生物の復活というアイデアを、今作の重要なファクターである量子力学と絡める事により『ガイア』的な味付けで成立させてラストのやり取りまで綺麗に繋げ、力の入った一編で面白かったです。
 今回は敵怪獣が甦った絶滅生物という事で、怪人ポジションが絶滅生物である『ビーファイターカブト』(1996)、中でも、2億年前に地上の覇権を巡って争った二大植物の一方が人間に憑依して花の戦士に、一方が絶滅怪人として激突し、その狭間で自分たちに都合良く大上段から「自然の摂理」を語る人類とは何かを問う第18話「絶滅花2億年の復讐」(監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)をちらほら思い出しながら見ていたのですが、怪獣ものの古典を土台にしつつ、今作は実に90年代的なドラマ性とテーゼが色濃く出ている作品なのであろうな、と改めて。
 『BFカブト』は迷走期間が長くて、その辺りのテーゼ的な掘り下げは弱いまま終わったのですが、そこに真っ正面から切り込んでいる『ガイア』がどんな場所に辿り着くのか、7-8話と好みのエピソードが続き、今後も楽しみです。