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筋肉は裏切らない

ウルトラマンガイア』感想・第7話

◆第7話「地球の洗濯」◆ (監督:児玉高志 脚本:吉田伸 特技監督:佐川和夫)
 「我夢、目の前の敵を倒すだけじゃ駄目なんだよ。もっと自分の力を有効に使うべきだよ。……早く眼を醒ましてくれよ我夢」
 筋トレは……いいぞ!
 冒頭、クラシックをBGMに部屋で茶会を開きながら、地球に迫る破滅について設定を確認しあう監督とコマンダー、という少々困惑するシーンでスタート(笑) 後半の展開を見るとどうもコマンダーの部屋のようですが、壁にかかった「無」の色紙といい、思わせぶりな無言の間で無駄に隊員と視聴者を惑わせるコマンダー、段々と変な方向でお茶目な人になっていくような。
 我夢の乱雑極まりない部屋に、混ざった洗濯物を敦子が回収に来て一騒動、とコミカルな日常描写が挟まれ、我夢は横浜に落下した隕石と思われる物体の調査の為、地上へ。現地でジオベースの樋口と知り合った我夢は、これまで何度も台詞では登場していたジオベースへと招かれる。
 エリアルベースが空に浮かぶ攻防の前線ならば、地球防衛における頭脳の中枢が、ジオベース。天空に浮かぶ空中要塞と対になるのは、東京湾の地下に潜む秘密基地、という格好いい設定。
 隕石と思われる謎の物体は大気圏に突入してきた痕跡がなく、弾道計算した我夢が導き出したその発射元は、太平洋上に発生している巨大台風――その状況を確認した我夢はエリアルベースに戻って違和感を報告し、周辺大気の分析から、その台風が地上の大気を浄化している何らかの人工物である事が判明する。
 巨大台風の正体が見え始めたところでBGMで盛り上げてくるのが怪獣映画的でまた格好良く、台風の底に潜む何かの正体を見極めるべく、ファイターチームとブリーフィング。我夢の計算と梶尾リーダーの技術と経験が突入作戦を導き出す、というのも前回を受けての格好いい流れで、男の子心をくすぐる展開が釣瓶打ち。
 「差し詰めあの台風は巨大な洗濯機てとこか」
 変形シーンも劇的に六角ファイターが出撃し、台風内部へと突入する梶尾機。黒雲の映像が迫力たっぷりに展開し、中央部に潜む何かにミサイルを撃ち込んだ梶尾機は無事に離脱。作戦成功……かと思われたが、黒雲が晴れると姿を現したのはプレシャス、もとい、土器のようなものを思わせる、円筒形の巨大なメカ(発見のきっかけとなった物体は、吹き飛んだその欠片)。
 「何か書かれています……」
 「てん・かい……」
 コマンダー、謎の象形文字を読む。
 「天上の世界、天界」
 「……コマンダー読めるんですか?!」
 「……いや……篆書体の文字に、似ている気がしただけだ」
 何やら考え込む様子だったコマンダー、趣味の茶道や部屋の色紙が伏線だった事にされて誤魔化すのですが、どうにも怪しい(笑)
 ファイター部隊は地上に落下した洗濯メカに攻撃を仕掛けるが、再浮上した洗濯メカは小刻みなジャンプを繰り返しながら地均しを始め、更には再び突風を放出。
 人型を離れた巨大メカが結構好きなので、街を蹂躙していく巨大円筒というのは、なかなか燃える展開。特撮も大変派手に家屋や畑を吹っ飛ばしていき、ディザスタームービーさながらの映像が脅威としての説得力を十二分に持たせて迫力満点。
 「洗濯の後は掃除かよ……!」
 「このままだと、15分後に首都圏突入します!」
 こっそりとファイターに取り付けた(整備の時に見つかってまた始末書案件になりそうな……)遠隔操縦装置を起動した我夢は、コックピットを離れてガイアに変身し、『ティガ』『ダイナ』がどう処理していたかはわかりませんが、毎回のようにビートルを墜落させるのはどうか……とさすがに気になる初期シリーズの問題点を、天才的頭脳で解決。
 なんだか本日、いつもよりちょっと太ましい気がするガイア(気のせい?)は、意外とすばしっこい円筒の動きに翻弄され、危うくルンバの餌食にされそうに。パワー勝負でそれはこらえるも、激しい嵐に飲み込まれて消し飛んだかと思われたガイアだったが、地中潜行からのシュワルツ超函数スピンで、真下から巨大ルンバを貫通。抜き取った心臓部を投げつけて、巨大ルンバを木っ葉微塵に粉砕するのであった。
 「しかし……あれはいったい、なんだったのかね」
 「梶尾さんが、奴の事を、巨大な洗濯機と、掃除機だって、言ってました」
 「洗濯と掃除、何のために……」
 「空気を綺麗にし、大地を一掃し、次にする事は――」
 「…………種を蒔く」
 「種……?」
 「はい、侵略者の食料。もしくは、新しい生命体の」
 「なんだって?! それは本当なのか?!」
 「いえ、僕の妄想です」
 果たしてそれは、外来種による侵略準備兵器だったのか、或いは、地球環境の浄化システムであったのか……謎は残されたまま、エリアルベースの窓から見つめる夕陽の美しさに歓声をあげる我夢と、その横に並ぶコマンダー
 「……俺は、天界が地球を浄化していると聞いた時、おまえが攻撃に反対すると思っていた」
 「え?」
 「おまえには、あの機械を作った奴の気持ちがわかるんじゃないかと。たとえ人類が犠牲になったとしても、環境が戻った方が地球の為になるとな」
 「それは?!」
 「違うのか?」
 藤宮の言葉が胸に残っている故か、ぐっと顔を近付けてきたコマンダーに言い返せないまま我夢は黙り込み、去って行くコマンダー……で、つづく。
 背景に横たわるSF的な大仕掛け、奇抜な巨大メカ、それをしっかり脅威として面白く見せる迫力の特撮、と三拍子揃って非常に面白かったです。
 思想性の強い環境テロリスト・藤宮と関係しない所で、地球環境に対する人類の負の部分を突いてきたのも物語として視点を広げて良かったですし、真相を明確にしなかったオチも好み。
 そして急激に怪しげになってきたコマンダーは果たして、超力文明人だったりするのか、それともただの思わせぶりな人なのか?!