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黄金の竹輪

星獣戦隊ギンガマン』感想・第47話

◆第四十七章「悪魔の策略」◆ (監督:辻野正人 脚本:きだつよし
 新車乗り換え計画が思うとおりに進まない事に焦れる船長は、腹心のバットバスは責め立てにくいのでその矛先をビズネラへと向け、陣頭指揮を半強制。元はといえば無一文になったところを拾われた身、外様の悲しさで泣く泣く受け入れたビズネラは、自ら最前線へ出る事に。
 その頃、ひたすら斧スキルを上げようとする黒騎士ヒュウガは、必殺サーブ修得の壁にぶつかっていた。
 「何度言ったらわかるんじゃ。タイミングがズレとるんじゃ、タイミングが! まったく、余計な手間をかけさせおって。ほれ」
 樽爺コーチは負傷したヒュウガの手にスカーフを巻いて応急処置をほどこし、ぎゅいーーーんと上昇するヒュウガ(裏ヒロイン)のときめきゲージ。
 「勘違いするな。ゼイハブを倒すまでは、おまえは儂の大事な道具じゃからな」
 ヤングだった頃の樽爺、7頭身でキレキレの天才軍師だった上に、少女マンガにおける王子キャラ属性持ちであった可能性が急浮上。
 次の『スペース・スクワッド』の黒幕は、ヤング樽爺(CV:福山潤)でお願いします!
 バルバンの計画をくじく為、そして存在するだけで地球を汚染していく魔獣を撃破する為、ギンガマンと相談したモークはバズーカの強化を決意。早速その作業に入っている間、ギンガマンは姿を見せたビズネラと接敵。ビズネラが謎のリモコンスイッチを起動すると魔獣らしき存在が地を揺るがして近づいてくるが、イエローがビズネラを投げ飛ばしてスイッチを止めると、魔獣は何処かへ姿を消してしまう。
 「この装置、魔獣の動きと、何か関係があるんじゃないのか?!」
 「言わないなら!」
 ギンガマンはビズネラを取り囲んで剣を向け、質問は既に、拷問に変わっているんだぜ。
 ……先日ちょうど『ジョジョ』第5部アニメを見て、声に出して日常生活で使いたい日本語として忘れない内にどこかで使いたくて仕方がなかったのですが、こんなに早く使いどころが来るとは(笑)
 命乞いしたビズネラは、スイッチは魔獣の好む音波を発信するものだとあっさり口を割り、ギンガマンはそれを逆に利用する事を計画。モークが完成させたハイパーモークバズーカ(砲身に飾り羽があしらわれた強化デザインが派手でなかなか格好いい)を用い、人里離れた山中に誘い込んだ魔獣を木っ葉微塵にしてやると息巻くが、隠し持っていたヤスリで鎖から抜け出したビズネラが逃亡してしまう。
 「奴に作戦を聞かれた」
 4人を作戦に先行させ、俺がきっちり口を封じてくるぜ! とビズネラを追うヒカルだったが、増援のバットバスの出現により逆に囚われの身となってしまう。ギンガマンが魔獣誘導装置だと思って入手したのは、ビズネラが用意したリモコン爆弾の誘導装置であり、使えば魔獣どころか、強力な爆弾を呼び寄せてしまう事になる罠だったのだ!
 「折角ですから、魔獣を呼び出す前に、あなたにも見せてあげますよ。あなたのお仲間が吹っ飛ぶところをね」
 囚われのヒカルは西部劇よろしくロープで縛られた状態で疾走するジープに引きずられる事となり、己のひ弱な小物というイメージを奸計に組み込んでくるビズネラが、実にいやらしいえげつなさ。
 敢えてギンガマンに捕まる事で罠を仕掛ける、というのが宇宙海賊には出来そうにない、宇宙商人ならではの策略ともなっており、巧妙にギンガマンの隙を突けた事への説得力もあります。
 「いい格好ですね、ギンガマン。ははははははは」
 散々に痛めつけられるヒカルだが、諦める事も弱音を吐く事もなくじっとチャンスを待つ、という戦士としての成長を見せ、脱出に成功。リョウマ達に罠について報せようとするが、バズーカ強化による消耗でモークが休眠状態になっており、連絡する事ができない。
 (みんな、俺が行くまで無事で居てくれ)
 逃走に気付いたバットバス達の追撃を逃れながら必死に走るヒカルだったが、その目にしたのは誘導ミサイルによる大爆発の炎と、何も残っていない爆発の跡。がっくりと崩れ落ちたヒカルはビズネラに蹴り飛ばされ、急成長エキスの満たされたプールの上に、クレーンで吊り下げられる事に。
 ビズネラは満を持して魔獣誘導スイッチを起動するが、最後の最後まで勝利を諦めないヒカルは、渾身のアースをその身に溜めていた。
 (リョウマ……ハヤテ……ゴウキ……サヤ!)
 「さあ! これでこの星も終わりです!
 「負けてたまるかよ! おまえらなんかに、俺たちギンガマンが負けるわけにはいかないんだ!」
 魔獣出現の寸前、ヒカルはアース電撃をスパークさせてビズネラ達を吹き飛ばし、ど派手な爆発と共に銀河転生。一つのシーンや台詞に集約するというよりも、苦境に追い込まれたヒカルの姿を通して、これまでの戦いの積み重ねによるヒカルの成長をその行動の数々で納得させていく、というのは割と面白い見せ方。
 そしてそのクライマックスが、森を出た当初は面白半分に大道芸まがいに使っていたアースの力を、ここ一番に最後の切り札として爆発させる事、と鮮やかに着地しました。
 地球魔獣はまたも地中を逃走してしまい、雷一掃で切りつけられたビズネラは魔獣の為に用意されていたエキスプールに落下。だが急成長エキスの作用によってか内なる猛虎魂に完全覚醒し、半ば野獣と化した姿に変貌すると、イエローへと襲いかかる。
 思えばヒカルとビズネラは、ギガ星獣編でヒカルが囚われの身となってからの因縁といえますが、腰の低い策士ぶりを捨て、野獣と化した猛虎ビズネラは、ネガギンガイエローとでもいえそうなデザインが印象的。
 奮戦虚しく猛虎ビズネラに追い詰められるイエローだったが、その時、爆死したかと思われた4人のギンガマンが姿を見せる。
 「何故だ?! おまえたちは死んだ筈!」
 「バルバンを倒すまで、俺たちは死なない! 俺たちは、絶対負けるわけにはいかないんだ!」
 某ストロンガーばりの不死身ぶりを見せるギンガマンの根拠不明具合は今作ここまでの積み重ねとはやや波長が合っていないのですが、脚本のきださんが好まれるという“昭和ヒーローの外連味”というのが恐らくこういったノリかと思われ、2本目の参加で、ここは好きな事を通させてもらった、という感じ。
 「ギンガマン、そのしぶとさを今後悔させてあげます」
 獣装光した5人によるギンガントレットパンチを跳ね返す強化ビズネラは、爪の一振りで、ギンガの閃光すらセンター返し。
 「なんだ、この強さは?!」
 「きっと、 野村克也監督就任によって 急成長エキスのせいで、凄い力を手に入れたんだ!」
 そう、野村ID野球で今シーズンこそ阪神優勝や!
 (……なお、1999年シーズンの阪神タイガースは最下位に終わりました。なお、2000年シーズンは(以下略))
 「諦めるな。俺たちには、モークが強化してくれた、獣撃棒がある」
 ドングリが運搬してきた竹輪の卵を、かんしゃく玉のように地面に投げつけた5人は、ハイパーモークバズーカを装備。対魔獣用に強化されたその一斉砲火により猛虎投手陣をオーバーキルするのであった。
 「悪く思うな。作戦変更」
 バットバスに助けを求めるビズネラだったが、バルバエキスを打ち込まれ、巨大化。存外、拾ってもらった恩義は真摯に感じていたようで最後まで「バットバス様」と呼び続けるビズネラですが、バルバエキス銃が恐らくビズネラ手製のアイテムだと考えると、それによって切り捨てられるのは何とも皮肉です。
 かつて、その銃により強制的に巨大化したパチプロ魔人がダイタニクス復活の引き金となった事を思うと、巨大化した猛虎ビズネラ(全身エキス漬け)が、飛び出してきた地球魔獣の餌となって(ヒカルの事を餌にしようとしていた)地球魔獣を成長させたら強烈な皮肉と最期だと思って少しワクワクしたのですが、さすがにそこまではやらず。
 猛虎打線の反撃に倒れるギンガイオーだったが、恨み重なるビズネラを倒す為にギガバイタスが直接その姿を現して支援砲撃を浴びせると、ライノスとフェニックス同時出撃の大判振る舞い。星獣拳ダブルギガスピンが猛虎ビズネラの胴体を貫き、トドメの大獣王斬りが炸裂すると、ここに阪神商人ビズネラはその長く卑劣な生涯を終えるのであった……!
 年末の頃は生え抜き上層部と一緒に高笑いをしていたので、外様メンバーの露骨な切り捨てがやや急展開でいかにもな在庫整理になってしまったのは惜しい所でしたが、よもやの生き残りから後半のスパイスとして、面白いキャラでした。根っこのところでバルバンではないので、ギンガマンの宿敵としてまでは扱いにくい、という所が影響したのでしょうが、そういう意味ではここで退場させたのはギリギリのタイミングであったでしょうか。
 地球魔獣の打破はならずも、結果としてモークの助力により史上最大の危機を突破したギンガマンだったが、その代償は大きく、どす黒い顔色となったモークの消耗は激しい……。果たして、モークは精気を取り戻す事が出来るのか、ギンガマンは地球魔獣を止められるのか、そして黒騎士ヒュウガは……?!
 次回――「私も、星を護る一員だよ」。
 ……モークぅぅぅぅぅぅ!!